犯人を見つけるにしても、手がかりがない。赤羽によれば、一応タイムカプセルの時のLINEグループはあったようだから連絡は取れるが、あまり交流もなかったため気が引けるとのことだ。
「確かに、関わりのない人にいきなり探り入れられたら怪しむしね」
「莉犬が不審者になるよそれ」
「え、それって担任の先生はグループに入ってない?」
「えーーっと……あ、入ってる!」
担任に聞いてみる、という新たな選択肢が浮上し、早速LINEを送ってみることにした赤羽。
「指輪の持ち主が見つからなくて、当時のクラスメートの事で覚えていることを教えてほしいんですが」
割にすぐ来た返信によると、「文章だと説明が難しいし会って話そう」だそうだ。
「次の土曜日に会おうって」
「おぉ〜」
「その時に色々聞けるな」
「何聞こうかリストアップせんと」
「まず三人を恨んでそうな人ですね」
「いじめとかあったかとかもだな」
聞きたいことをリストアップして約束の日に備え、とうとう土曜日がやってきた。赤羽は担任に健斗とはるが亡くなった事、美羽が行方不明だという事、また三人の家にタイムカプセルに入っていたものと同じネックレスが送られていたことも伝えた。
「ーーで、『三人に恨みをもってそうな人がクラスにいませんでしたか?』って聞いたら、新しい名前が出てきたんだよね。」
赤羽が転校してくるのと入れ違いで別の学校に転校してしまった澤井、という生徒について担任は話してくれた。
「実は、澤井って生徒は三人からいじめを受けてたらしいんだ、転校した理由もそれだって」
「じゃあ、三人を恨んでる人物ってその澤井って人になるな」
「まさかいじめをしてるなんて思わなかったからびっくりしたよ…」
「気付かなかったの?」
「俺が転校してきてからいじめはしなくなったらしいから」
三人がいじめを行っていた。その事実が発覚して、捜査をやめようなどの話は出てこなかったが、五人の態度が明らかにぎこちなくなったのも確かだ。因果応報、自業自得、そんな言葉が頭の隅に食い込み、捜査は停滞した。そして、そんな態度を見た赤羽が焦り気味になっていたこともまた確かだった。
「…警察に連絡してみようかな」
「まてまてまて」
「証拠がなさすぎる」
「まず会ってみたら?」
気の早すぎる発言に慌ててストップをかける五人。しかし、赤羽も担任も澤井の住所を知らないらしく、だったらとりあえず澤井が犯人だと決めて警察に通報するべきではないのか。そう主張する彼は、行き場のない怒りを澤井にぶつけているかのように見えた。
「……」
「と、とりあえず美羽って子がいたやろ?その子が澤井に誘拐されましたーって言ってみたら?」
「…そうしてみる」
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