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#ラブコメ
親愛なる想い人へ。
私は今、君が運転する車に揺られながら、
ほろ酔いを片手に、煙草を吸っております。
親愛なのに、『想い人』なんて、
変だと思うだろう。
けれども、そうとしか形容できないんだ。
『 ……何処迄だ 』
「 家まで 」
青色の車を運転する君は、
言葉にする必要の無い温もりを反射する。
『 ……寒いか 』
「 ううん、 」
煙草を肴に、酒を煽る。
何時もはセブンスターな処を、ピアニッシモに。
何時もはウイスキーな処を、ほろ酔いに。
何故そうしたのかは知らない。
そろそろ病気になるかな、
なんて邪念が邪魔したとでも云うのか。
でも、此処は酒のツマミになるように、
敢えて、理由を上げるとするならば。
たぶん、君の所為だ。
『 ……手前、今日は変だな 』
「 何が? 」
『 酒も煙草も、普段俺が使ってる奴だ 』
『 手前にとっては、薄すぎるんじゃねぇの? 』
「 ……そうだね、 」
煙草を吸うと、こく、とまた酒を煽る。
飲んでも、喉にざらりとした異物が残る。
嗚呼、矢っ張り ウイスキーにすればよかった
なんて問いをしても、もう遅い。
『 ……よりにもよって、桃味か 』
「 変? 」
『 否、予想通りっつーか 』
『 手前、桃の花が好きだったよな 』
『 モモノハナ野郎 』
「 新しい渾名増やさないでよね 」
一秒毎に窓を叩く雨音が、
沈黙を優しく仕切る。
やがて其れは血液に溶けて、
甘く苦いシャンパンにでもなるのだろうか、
そんな柄にもない幻想に、微かに笑った。
「 ……あーあ、 」
「 お酒と煙草は、そろそろ止めたいんだけどな、 」
『 依存性かよ 』
「 ううん、 」
「 現実から逃げる手段が、偶々之だったってだけさ 」
『 ……ふぅん 』
『 其の儘飲み続けたら死ねるンじゃねぇの 』
「 やだなぁ、私はこんな事で死なないよ 」
言葉を紡ぐ度、小さな雨粒が応えて、
やがて、小さな星座となって、
胸の奥に閉じ込めていた言葉が、
形を持っていく。
「 ……ねぇ、中也 」
『 何だよ 』
「 私は、生きていてもいいと思うかい 」
『 …… 』
瞳に夜景がすっぽり映る程、目を見開いた君。
そして、心底可笑しそうに、
『 ……気持ちわりぃ質問 』
埃のように、払い飛ばした。
「 夜になると、妙に哲学が好きになるじゃない 」
「 夜は、たぶん、誰かのため息でできているから 」
『 …… 』
『 ……手前が死にたいなら、勝手に死ね 』
『 ……ただ、 』
『 俺より先は、許さねぇ 』
「 ……何それ 」
「 寂しいの?(笑) 」
『 寂しがり屋は、手前も同じだろうが 』
「 ……そうだね、 」
親愛なる想い人へ。
私は昔、君が居ない夜、
ウイスキーを片手に、煙草を吸っていました。
親愛なのに、『想い人』だなんて、
変だと思うだろう。
けれども、そうとしか形容できないんだ。
もう、
セブンスターで吐き出さなくても、
ウイスキーで洗い流さなくても、
今夜は、
ほろ酔いとピアニッシモだけで、
いいですか。
もし、
生きていてもいいのなら、
こいを、してもいいのなら、
親愛なる、なんて前書きは置いておいて、
私の心を、コーヒーで割って、
君の舌先に届けて頂戴な。
コメント
1件
深夜に脳死で書いた代物です。 楽しかったです😊🤟