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ゆたしく。

ゆたしく。

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第1話 ゆたしくや。

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2023年01月21日

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「7時30分だよ起きて」

いつも通り母が起きてと言う。

適当に起きて朝食を食べ、学校の準備をする。

毎日同じ始まり。

俺はまさや。工業高校の生徒。少し周りと変わっているかもしれないけど、なんとなく馴染めているような気もする。「適当」って言葉がお似合いである。自分でもそう思う。

門をくぐった。自分の学校についた。教室に入ればヤンキーの世間話が響く。

「昨日はまた巡査にわーぎられたよや。にりた。」

俺のクラスの金城だ。こいつの一言目はこんなもん。いつもパトカーとバイクの話ばかりだ。

「やーは巡査から逃げれるようになったんだや。」比嘉はいつも金城を馬鹿にして笑う。

こう見えて俺はバイクが好きだ。走り屋がどちらかと言えば好き。暴走族は嫌いじゃないけど周りからの視線が痛いから本当に好きな訳では無い。

「そういえばやーはバイク買ったば?免許は中型やし。」後ろの先のバイク好きな友達の島袋が俺に突然聞いた。

「まだだよ。俺が好きなバイクって何かや。」

ずっと400ccのバイクに乗りたいと思うけど、なかなかはっきりしないで

手が出せずにいた。本で眺めるだけではなく、バイク屋で直接見てみようと思っていたけどほったらかしだった。一応原付を持ってる。ホンダのタクト。1989年式の2サイクルのエンジンが乗ってるいる原付だ。中学の時にぼろぼろな原付に一目惚れしてバイク屋のおじさんに5000円で譲ってもらった。自分でエンジンかかるようになおした。それくらいはできるようになっていた。だって好きだから。バイクが。

あ。あの感覚だ。あの一目惚れ。

学校が終わるまでその感覚をはっきり思い出した。放課後、少し歩いたとこにあるバイク屋に行った。バイク屋の人に声をかける。

「すみません。400ccのバイクってありますか?」

「あるよ。でもZRXとXJRとイナズマの3台しかないな。俺のお店はちっちゃいからよ。」

その人はこのバイク屋の店主らしい。

「見たいです。」

「わかった。ついてきてみ。」

400ccのネイキッドタイプのバイクしか無かった。でも理想はそれだ。だからついていった。

「ZRXは速いよ。XJRは音がいいな。イナズマは、んー、大きいくらい?まぁバイクは好みがあるからな。」

バイク屋の店主はそう言った。

「このバイクに跨りたいです。」

俺はイナズマ400と言うバイクと目が合った。なんでだろう。店主はそのバイクを褒めなかったのに何故か惹かれた。真っ白なタンク。黒色のホイール。誰が買えたのかわからない紫のリアサスペンション。何故か惹かれた。

あ。これだ。あの時の。

俺はそのバイクに跨った。凄いくらい重かった。

「おっと。転けるなよ。400にしては大きいからな。」

俺はバイクから降りた。俺がこのバイクと走るのが一瞬で想像できた。これだ。俺の理想のバイク。

「俺これ乗ります。」

店主にそう言うと返事はこうだ。

「さっき跨ったやし。」

「そういう意味じゃないです。買います。これ。」

びっくりした顔をした店主だが俺の目を見たら微笑んだ。

「ありがとう。じゃあ名前と電話番号教えて。」

店主教えた。

「まさやって言うんだや。俺はりゅうじ。ゆたしくや。」

「こちらこそよろしくお願いします。」

俺はバイクを買った。

スズキイナズマ400か。分かりやすい名前だな。初めて聞いたけど、かっこいい。俺は一目惚れした。

「もう暗いから気をつけれよ。送るか?俺の店だからそろそろ閉めようかなてるからよ。」

「大丈夫ですよ。ありがとうございます。」

「良いよ乗れ。暗いからよ。」

俺は感謝の気持ちを伝えながらりゅうじさんの車に乗った。

「まさや、お前高校生か?」

「そうですよ。高一です。」

「そうか。免許は?」

「中型取りましたよ。今は足で原付乗ってます。」

「そうなんだ。それなら400は楽しみだな。」

「めちゃくちゃ楽しみです。」

「良かった良かった。改めてありがとうな。分からんことは教えるから聞けよ。いつでも来い。」

「ありがとうございま、ぐぅぅぅ。」

お腹がなってしまった。恥ずかしい。

「お腹すいてたば。早く言えや。コンビニ行こう。」

「すみません。ありがとうございます。」

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