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「…あ、あぁ……。」
目の前には大きな箱がある。
ちょうど、男の人が1人入る程の。
そしてその奥には、扉があった。
その側には、香炉と写真がある。
「……。」
その写真には、中学からの男友達が写っていた。
とても、良い笑顔だった。
扉が開く。
その箱がその扉の奥に進んでいくのを見届けることしかできなかった。
皆が手を合わせる。
私も慌てて俯き手を合わせた。
あの男友達とは、とても仲が良かった。
とは言っても、「friend」としての仲の良さだったけれど。
休みや時間さえあればどこかに一緒に出掛けて馬鹿騒ぎして。
カラオケやらスポーツ観戦、ゲームセンター…
まあ、いわゆる「デート」なんかには、ちっとも間違われることなんてないくらい、大騒ぎして楽しんでた。
だからだろうか。
今、物凄く胸が苦しい。
大事な「友達」が欠けてしまったからだろうか?
いや、そう頭で呟いても…ほんの僅かに納得できなかった。
それに気づいた途端、その納得の出来なさが膨れ上がり、心の中を埋め尽くす。
「どうして?」
「友達だと思ってたのは、勘違いだったの?」
今度はその納得の出来なさに疑問が浮かぶ。
そうしていると、その「友達」の母親が私に寄ってこう声をかけた。
『可哀想に…貴方を彼女のように想っていたというのに…』
「…え?」
『あら?知らなかったのかしら?ずっと貴方との外出から帰ってきたら、何をしたのか事細かく教えてくれたのよ?だからずっと、デートに行ってるのかと思って…』
「…。」
あぁ、そっか。
この話を聞いて合点がいった。
私、私…
「私、死体に恋してた」