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【第一章 新たなる人生】
懐かしい建物内の風景。置かれている装飾品。どこもかしこもなんちゃ変わっていない。
(あの頃から変わってないなぁ……)
数百年と経っているのだから、どこかしらは変わっていてもおかしくないはずなのに──あの頃からそのまま残されている。ここは俺と5人との大切な場所だ。伝統が受け継がれていることに表には出さないが口元が緩みそうになる。カツンカツンと靴音を鳴らしながら、他の子達は違う部屋に通されていく中で、あるひとつの絵画に目がいってしまう。そこに描かれていたのはかつての弟子の姿絵であった。なら、この学園の始まりは弟子からたったのだとどこか腑に落ちた。しかし、案内をしてくれている人からもらったパンフレットには校長の名前──【ルーフィル・エドゥアルド・フォン・ヴェネツィア=ブラック】と記載されていた。それに弟子は魔族と天族の混血の子供だ。儚い生命の人間よりも何千年と生きる種族であるために、不思議ではない。それに魔族も天族もあまり年は変わらない。それにしても弟子が校長とは師としてはとても誇らしいな!アイツらもここにいればそう思っていたのだろうか……。
「それではこちらの部屋の中でお待ちください。何かございましたら、中にベルがございますので」
「わかりました。ありがとうございます」
「いえいえ、それでは私はこれで」
案内をしてくれた人はそれだけを告げると颯爽と姿をした。今のは転移魔法だろう。魔力感知で見たところどうやらハイエルフと人間の混血のようだったし、使えることには納得だ。エルフという妖精族は精霊族とも深い繋がりがあるからな。言われた通りに部屋の中に入っていく。すると既に自分以外にも5人の人間が部屋の中にいた。しかしどこか見た事のある顔や魔力に困惑してしまう。すると、赤髪に柘榴色の瞳の同じ年齢の青年と目が合う。すると赤髪の青年がこちらに向かって突っ込んでくる。俺は崩した体勢をどうにか戻し、振動を受け止める。
「ないくん……ないくんだよね!? 」
「え?うん……って、りうら!?」
「そうだよ!アニキたちもいるよ♪」
そう自分の胸の中に飛びついてきたのはりうらであった。あのころと変わらない愛らしい笑みを向けながら、嬉しそうに言葉を紡いでいる。
「お、ほんまにないこやん。あの日ぶりやな」
「本当だないちんゃだ!!!」
「お、ないこたーん♪ ポエポエ」
「ないちゃん。イケメンなとこは変わってへんな」
懐かしい奴らから言葉が飛び交う。まさか、自分と同じように『転生』をしていたとは思っていなかった。こんな奇跡が起こるとは──“輪廻”とは、髪の気まぐれだろうか?
「ああ、みんな久しぶりだね!りうらはますます可愛いなぁ〜」
「そ、そんなことないし……(う、嬉しい//////)」
「りうちゃん照れとるな」
「そうやな。久しぶりの恋人との再会やしな」
悠佑と初兎はヒソヒソと耳元で話している。そこに横槍を入れるようにイフが言う。
「それ言うなら、俺らもやからな」
「そうだ!そうだ!!」
「おや、いむさん今はえらい素直に言わはるやないですの?」
「っ!//////……そんなこと……」
「はぁー、俺の恋人が可愛すぎる」
「まろ、その気持ちよォわかるで!」
「「そこで共感し合うな!!!!」」
恥ずかしさのあまり、ほとけと初兎が羞恥の叫びをあげる。
「だけど嬉しいな!」
「ん?どうしたのかな?」
りうらの嬉しそうな声にないこは気づき、どうしてかと聞く。
「だって、あの頃のようにみんなとまた仲良くできて、素敵な恋人とも再会出来たんだもん。りうら幸せ者だね✨️」 りうらはそう答える。
ないこも「俺もだよ〜」とデレデレは笑みをりうらに向けながら抱きついた。
それからは、懐かしい “昔話” に花を咲かせていく。もちろん、周りに盛れないように防音呪文を唱えている。それに古代の弟子にも教えていない悠佑が生前に編み出した遮音も張っている。
チクタクとただ、賑やかな声が広がる部屋の中に時計の秒針の音だけが響いた。