テラーノベル
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ところで、と言いながら今度は、司が類の前に出た。
司「類は、何がしたいんだ?」
それは、以前司の家で聞いた内容と同じだった。あの時、類は答えられなかった。
でも、あの時から、もう答えは決まっていた。
一度は、忘れてしまったけれど、もう大丈夫。
君達が、思い出させてくれたから。
手に持った台本を広げて、初めて演出を書き入れたページを開いて、それをなぞった。
類「僕は…司くんと…ワンダーランズ×ショウタイムと、ショーがしたい…!」
言い切ってから、顔を上げて司を見据える。
司くんは、どこか安堵したような、不安が解消されたような顔で、笑っていた。
奏「…来た」
ポツリと、奏が言葉を落とした。
奏は、コチラに来てからずっと、窓の外を眺めていた。その言葉が、何を表しているのか、分からない人は居なかった。
カンカンと、外の階段を登る足音が響いて聞こえる。
まふゆが、類の手を握った。震えていた。
今まで、類を救おうと皆行動していた。真ん中は、いつも類だった。それを後悔したことは無いし、そもそも、一番辛い想いをしてきたのは類だ。これからも、類の手を取り続ける。
…でも。
辛くなかった訳じゃない。恐くなかった訳じゃない。
類が、手を握り返した。
類「…大丈夫だよ、姉さん」
震えが止まった。
そうだ。何を勘違いしていたんだ、思い上がっていたんだ。一方的に類を救うなんて。
…私たちは、ずっと救い合って来たじゃないか。
ノックの音は、ワンルームのこの部屋では良く耳に残った。確かに、鼓膜を揺らした。
ノック音とは対象的に、父さんは静かに扉の鍵を開け、それから扉を開けた。
手を握り合った双子の頭を、それぞれ司と奏が、優しく撫でた。
朝比奈母「急にどこに類を連れ出したと思ったら…。帰るわよ、類。」
母さんは、躊躇無く類の片腕を掴んだ。
けれど、類は動かない。帰りたくない、そして、勉強漬けの日々に戻りたくない、その意思表示。明確な、母さんへの反抗。
それでも、類はもう、恐くなかった。
恐ささえ忘れるほど希望を、光を知って、貰って、受け入れられた。
類「嫌だ。」
あの家から逃げる為ではなく、この一言を言う為に、ここに来たのだ。
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コメント
1件
わあ…第19話、読み終わりました🥀 類くんが「ショーがしたい」って自分の言葉で言えた瞬間、すごく胸が熱くなったよ…。あの時答えられなかった問いに向き合って、ちゃんと答えを出せたのは、司くんたちがずっと寄り添ってくれたからだよね。お母さんに「嫌だ」って言える強さも、ちゃんと育ってたんだね。 「救い合ってきた」ってまふゆちゃんが気づいたところ、本当にその通りだと思った。みんなで支え合って、ここまで来たんだなって✨ 次も楽しみにしてます!かのさん、素敵な物語ありがとうございます🌙