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ノボリが居なくなってから、
もういくつ経ったのかな
どこを探してもいない。
ジョウト、パルデア、アローラ、ガラル、シンオウ…
知ってるところ、全部探した。
なんで、いなくなっちゃったの?
仕事、嫌になっちゃったの?
ぼくのこと、嫌いだったの?
産まれた時からずっと一緒だったのに。
ノボリがいない食事も、バトルも、仕事も日常も
ぜんぶ、つまらない
一人きりの家が、寒い。
なにも、やる気が起きない。
でも、みんなに迷惑かけれない。
だってぼくはサブウェイマスターだから
つらい
さみしい
かなしい
さみしい
帰ってきてよ
帰ってこない
さみしい、さみしい、さみしい、さみしい、さみしい、さみしい、さみしい
ぼくたち、2両編成じゃなかったの?
つらいよ、ノボリ。
ぼく、つかれたよ。
きみにあいたい。でもきみはいない。
きみをおもいだすだけでつらい。
こういう時ノボリはなんて言うのかな。
ねぇ、ノボリ
ぼくの中から、ノボリがいなくなれば
つらく、なくなるのかな?
ねぇ、ノボリ
こんなぼくをゆるしてくれる?
いつか、ぼくをみつけて
いつかもどってきたら、
ぼくのこと、みつけてよ
ぼくにただいまって言って
ぼくにおかえりって言わせて
また、2両編成で出発しようよ
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『やだ…いやだ…っ!!』
また夢なのか。
目の前に■■■が居る。
今まで何回もやったじゃないか。
やっと会えたと思って手を伸ばしたら、
霧のように消えていく。
目を覚ましたら、隣のベッドはもぬけの殻で。
2つずつあった食器も、1つしか使わなくて。
お揃いのコートや帽子も、片方はホコリが被って。
もう嫌だ、期待してまた無くなるんだ。
『やだ…いやだ、よぉ…っ!』
膝をついたままぼろぼろと涙を流すクダリ。
“ノボリ”はクダリの前にしゃがみ、
優しく抱きしめた。
「クダリ」
優しく呼ぶその声。
「わたくしは、ここにおります。
貴方に、ただいまを言わせてくださいまし」
夢?
現実?
分からない。
でも、
すごく、あったかい。
クダリは恐る恐る、肩に触れる。
触れられる。
ここに、居る。
『あぁ…あ…ッ、』
あぁ、
夢じゃ、ない。
ここに、ノボリがいる。
『…おかえり、ノボリ』
震える声で絞り出した。
その瞬間、なにかが崩れた気がした。
クダリはぼろぼろと泣きながら、
強くノボリを抱きしめ返す。
涙でコートが濡れることさえ気にしなかった。
「…ただいま戻りました、クダリ」
ノボリもつられて涙を流す。
二人はそのまま暫くトレイン21両目で
抱きしめ合いながら泣いた。