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「付き合ってほしいんだけど」
はあ。
放課後校舎裏に手紙で呼び出される、なんてベタもベタな手口を仕掛けられた時から、何となく告白されるんだろうなと思っていた。私は今はフリーだし、別に告白を受けようが受けまいが他人からとやかく言われるようなことじゃない。ただ今日は帰りに新発売のドーナツを食べていく予定だったから、売り切れる前には学校から出たい。
だから告白されても断る方向に気持ちが傾いていた。いや、色気より食い気って言われても私だって食べたいものの方を優先したい気分はある。今日発売のトリプルチョコクリームドーナツ、見た目から甘そうだったけど絶対美味しいし。
万が一カツアゲだった時のために財布の中身がほぼ空にして(カツアゲで全財産取られたらたまったものじゃない)、期待四分の一、早く帰りたい気持ち四分の三位で校舎裏に向かった。
正直今は恋人とかいらないし、断っちゃおうかな。イケメンで金持ちでなおかつ頭良くて、あと私のえげつない甘党に付き合える男の子だったら考えるけど、まあそんな完璧超人この世にいないか。
「……今恋人いないなら、俺とかどう?」
数分後、イケメンで金持ちでなおかつ頭良くて、えげつない甘党である五条悟という人間に告白されることを、まだ私は知らない。