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好きな人が出来た。
俺は男でその好きな人も男だった。
でも最初は認めたくなくて。
〇〇ちゃん好きなんだよね、と嘘の好きな人まで言った。
カモフラージュのために好きだと言ってた〇〇ちゃんとも付き合った。
でももちろん男が恋愛対象の俺は〇〇ちゃんのことを好きになることなんて出来なかったし
〇〇ちゃんが俺に尽くしてくれても嬉しい所か気持ち悪いとさえ思ってしまった。
本当に最低だ。
自分を慰める時も決まって〇〇ちゃんじゃなくて好きな人―親友―に突かれる妄想をした。
大きさはどのくらいなんだろうか。
行為の時どういう顔をするんだろうか。
そんなことばかり考えて、あんあん言ってる自分を想像しては興奮した。
俺は何から何まで気持ち悪いし最低な男だ。
「ねぇ一輝」
俺の名前を呼びながら振り返った俺の彼女の〇〇ちゃんに
「どうした?」
と俺が返す。
今日の空は晴れ渡っていて俺達がいる放課後の屋上は珍しく人も居なく広々としていた。
そんな光景からはどことなく浮いている様子の〇〇ちゃんは思い詰めた顔をしていてとても苦しそうだった。
「一輝さぁ私の事好きじゃないでしょ」
一瞬時が止まった。
まさか〇〇ちゃんにバレてるとは思わなかった。
徹底して隠したつもりだったのに。
好きだよ
そんな言葉が喉から出かかったけど寸前の所で詰まり吐息と共に空気に溶けた。
俺は最後まで俺の事を好きでいてくれるこの子に嘘をつき続けるのか。
そう思うとどこまでも自分が嫌になるけどそうするしか今の俺には道がなかったし、それ以外の方法が考えつかなかった。
「ごめん。俺他に好きな人が出来たんだよね。」
もうこの子と付き合い続けることは不可能だろう。
そう思った俺は下を向きながらか細い声で言った。
半分事実で半分嘘だった。
最初から俺の気持ちはずっと違う人に向いていた。そんな事は口が裂けても言えなかった。
「うん。なんとなく分かってた」
そう冷たい声音で言った〇〇ちゃんは俺の前までずかずかと近寄ってくると声音に似合わない今にも泣きそうな顔で俺を睨みつけた。
パチンッ
乾いた音がその場に響き渡る。
〇〇ちゃんが俺の頬を叩いたことはすぐに分かったけどその威力があまりに強くて俺はなんだか驚いてしまった。
まっすぐ育った大輪の花のように綺麗で純粋な全男子が好きそうな〇〇ちゃん。
俺の恋愛対象が同性なんかじゃなかったらこんな子を好きになってたに違いないし〇〇ちゃんも俺も苦しい想いなんかせずにすんだだろう。
って俺はなんで被害者ぶってるんだ、
自虐的に笑った俺はふと無人の屋上を見渡した。
〇〇ちゃんはもうその場に居なくて屋上から校内に繋がる階段を降りる音だけがその場に小さくこだましていた。
「あーあ」
ごろんと小汚い屋上の地面に寝っ転がった俺は体を大の字にしながら晴れ渡る空を見上げた。
何がダメだったんだろうか。
自分が他と違うことを隠すために嘘で〇〇ちゃんを好きだと言った事だろうか。
それかその〇〇ちゃんと男が恋愛対象の俺が付き合うという事までしてしまったことだろうか。
〇〇ちゃんに自身の事が好きではないという事を悟らせてしまったことだろうか。
〇〇ちゃんの気持ちなんか考えず自分の都合だけを考えてしまったからだろうか。
俺が親友のことを好きになってしまったからだろうか。
俺が男なんか好きになってしまったからだろうか。
「なに泣いてんだよ。一輝」
ポンと視界を遮るように置かれたハンカチに俺は自分が泣いていたのを今更ながらその言葉で
悟った。
「……いつの間に来てたんだよ。
和。」
俺がそう親友の名前を呼ぶと和が太陽のようにニコっと微笑み俺の前に座った。
「クズなお前の報復現場を見た辺りかな」
「まあまあ前の方だな」
ずびーとハンカチで鼻水をかんだ俺に嫌そうな顔を向けた和は
「あ!」と何か思いついた様子でポケットからスマホをまさぐり始めた。
「一輝が美和ちゃんと別れた事クラスラインに送らないとだな。喜ぶぞ〜皆」
人の不幸は蜜の味とにまにましながらスマホをいじり始めた和の手からスマホを奪い取ると
「………少し待ってくれ」
と下を向きながら言った。
いつもより1層落ち込んだ声を出した俺にすーーーっと息を吸った和。
「……まじか」
結構美和ちゃんの事は大切にしてたもんな、と頭をかいた和は急に俺の肩をがしっと掴むとブンブンと前後に振った。
「お前はクズで自己中だけど顔はいいからな。すぐ新しい彼女が出来るさ!!いつもみたいに3日後とかに彼女作っちゃえよ」
全くもって慰めになってないけど本人は慰めた気になっているのだろう。
元気出せ!とばしばし背中を叩き始めた和に俺は深い深ーいため息をついた。
「俺ってなんでこんなにクズなんだろうな。死にたい」
「oh……これまたこじらせてんな」
珍しいなお前がこんなに落ち込むなんて、とぽりぽり頭をかいた和はどこか俺への対応に困っているようだった。
長年の付き合いだけどこんなにも和の前で気分が落ち込んだのは初めてだった。
もう今は全てがダメだ。本当に。
「……なあ」
「……なんだ?」
恐る恐る声を掛けてきた和は見ろ見ろと言うように俺が取り上げたはずのスマホを手に持ち視線を誘導させてきた。
これまた何をしようとしてるんだ、とため息をついた俺に
「男の気分が落ち込んだ時はやっぱこれだよな。おっぱいは世界を救う」
と女の人が男優の人に突かれあんあん言ってるAVを見せてきた。
「この女優胸バリでかいんだぜ。Iとかだった気がする」
ほれ見ろ見ろ。と押し付けてきた和に放心状態だった俺はなされるがままそのAVに見入った。
「一輝、百戦錬磨そうなのにそういう話にはいつも乗ってこないよな」
ムッツリだったかとどこか嬉しそうな様子の和。
言い返す気力すらなかった俺は機械的に繰り返している性行為をただ機械的に眺めた。
「…………気持ちよさそうだな」
「だろ?ああ俺も早く童〇卒業してぇー」
うんうんと噛み締めるように頷いた和は
本当にTheバカな男子という感じで
俺ってなんでこいつのこと好きなんだっけ、とふと思った。
確かにイケメンではあるけど俺に比べたらそこまでじゃないし。
優しい時もあるけど基本的にクソ性格悪いし。
俺の不幸を誰より喜ぶし俺の幸運を誰より妬むし。まあ俺もそうだけど。
……考えれば考えるほどなんで親友なのかも分からなくなってくる。
周りからはいいペアだ!とか俺達ニコイチだよなーみたいな事をふざけて言ったり言わたりしたことはあるけど よくよく考えてみたら俺と和の関係ってなんなんだろ。
幼なじみ?
親友?
片思いの相手?
どれも全くピンとこない。
「なあ和。」
俺がやけに綺麗なフェイスラインに半ば見惚れながら和の方を見ると、当たり前だけど宙でバチっと視線が交差した。
「おっなんだなんだ勃ってきたのか?」
にっまにまのふざけ口調の和に
「うん」
とコクっと頷いた俺。
「おぉ正直に言われるとそれはそれで反応に困るな」
まあ適当に抜いて戻ってこいよと
スタコラサッサと屋上からすぐさま退散しようとした和の袖をキュッと掴む。
なんだなんだ、と怪訝な顔をした和を上目遣いに見上げた俺は和のちんこに手を伸ばすと
「抜いてやるよ」
と舌を出し舐めるような動作をした。
「…………………え?」
和の間の抜けた声が屋上に静かに響いた。