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「生きる意味ってあるのかな?いやいや、別に死にたいわけじゃないよ?たださ、私達は何か理由があって生きているのか、それがちょっと気になってさ」
……はっ、またこの夢だ。
あの日、親友に言われたただの雑談。
なぜか強く頭の中にこびりついていて、こうしてたまに夢として見る。
でも、その夢とは別に、なんとなく今日はなにか悪いことが起こる不吉な予感がした。
理由はないのに、そう思った。
それでも私は今日もいつも通り家を出た。
──私は君が描く絵が好きだった。
絵を職業としてる人や賞を取った人、そんな人達の絵は、確かに凄いと思うよ?
でも、上手い下手とか関係なくて、あの絵は、唯一無二で、君にしか描けない絵だから好きなんだ。
「今日も学校で見せてもーらお!」
そう言って私は、いつもの交差点へ足を踏み出した。
季節外れに、綺麗な花が咲いていた。
学校に着くと、無意識に彼女を探していた。
いつもなら、この時間にはもうクラスに居るはずなのに、おかしいな?
……まぁ、寝坊でしょ。
あまり深く考えなかった。
だけど、朝のホームルームになってもこなかった。体調不良かも?と思っていた。
でも、その時、先生が君の席を指さして、何でもないことのように言った。
「残念ながら、彼女は昨日転校しました。」
一瞬意味がわからなかった。
息が詰まり、音が遠のく。体は冷えていっても、心臓だけはうるさかった。
何も言わずに消えていった君へ、怒りや悲しみ、そして深い喪失感。
心の奥にぽっかりと大きな、もう塞がることなど無い穴が空いたような気持ちだった。
──気づけば足は動いていた。
教室を飛び出し、教師たちをくぐり抜けていつもの交差点へ出る。ただひたすら前へ前へ。
肺が痛い。
息が苦しい。
声が出ない。
それでも、止まれなかった。
──ここはいつも一緒によく通ったコンビニ。
君は毎回必ず、大好きなサイダーとラムネを買っていたなぁ…
私は同じ物を手に取って、外に出た。
湖の見える坂道。
ここで、君はデッサンをしていた。
他愛のない話をしながら君の絵を見るのが、好きだった。
彼女の家の前を通り過ぎた。
そういえば、君は遅刻が多くて、いつも起こしにいってたっけ
ちょっとめんどくさかったけど、そんな日も楽しかったな。
今は、人の気配ひとつなく、
家の中は空っぽだ。
「…なんで、居なくなっちゃったんだよ、笑」
その声は誰にも届くことなく、暗い部屋の中に落ちていった。
それでも私は泣きながらひたすら走り回った。
気が済むことはなかった。
一緒に遊んだこの公園。
一緒に乗り間違えたあの駅。
石を蹴って帰ったあの瞬間を。
今まであった全てのことがこれからはもう無いんだと、理解したくなかったが、どうしても頭は理解をしてしまった。
”嗚呼、君はもう本当に居ないんだ”
そう、思ってしまったんだ。
──日が傾き、公園から子供たちの声が消えていく。
私はベンチに腰を下ろした。
友達と、親と、笑いながら帰っていく背中を、ただ、見ていた。
なんで、君は、私に何も言わずに引っ越したんだろう…
答えは、出なかった。
「馬鹿野郎がよ、、」
そんな声も、闇に溶けた。
家に帰ると、ポストには、一通の手紙が入っていた。
差出人を見たとき、手が震えた。
私は急いでそれを開けた。書いてある内容なんて何でもよかった。彼女が最後に残してくれたものだから。
『私たちが出会った、あの山のあの場所に、日が暮れに前に来て!』
手紙には、そう書かれていた。
理由や説明は書かれていなかった。
でも、十分だった。
まだ、ギリギリ日は沈んでない。
まだ行ける。
私は覚悟を決め、私たちが出会った場所へと駆け出した。
はぁっ、はぁ、
──日が暮れるまで、あと少し。
私たちが出会った場所、それは、山の中にある。光が差し込む、小さな木がある秘密基地。
そこについたとき、何もなかった。
それでも私は探し続けた。
必死に、何度も。
君が残してくれた何かを絶対に見つけ出すために。
ここに君はもういない。
それでも私は木の前に立った。
「やっと、見つけたよ…」
夕日が傾き、影が伸びる。
その光の中で、何かがきらりと光った。
瓶だった。
中に、紙が入っている。
私は、心なしか絵の具の匂いがするその瓶を開けた。
『十年後の今日。この木の下でまた会おう。』
そう、書かれていた。
本当に、身勝手だ……笑
思わず笑ってしまった。
でも、そんなところも君らしい。
十年後。
絶対、一発殴ってやる。
それから、またサイダーとラムネを買って、君の絵を見るんだよ。
十年が経った。
私は約束通りあの木の下へと向かった。
『生きる意味ってなんだろう』
遠い昔、君が言っていた言葉に今の私なら答えられる気がする。
あの頃は、どこかに答えが落ちている気がしていた。
でも今は違う。
生きる意味は、落ちていたり、見つけたりするものではなくて、
知らないうちに自分が作るものだったんだと、
ようやく気づいた。
…あの時小さかった木は、十年経って見違えるほどに大きくなっていた。
爽やかな風が吹く中、私は待ち続けた。
そして、
君はそこに──