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その後、上の池のモロコとカエル全てが水路を通って下の池に集まり、殿様や評議員達からの説明を受け、滞りなく王国入りを受け入れたのである。
共和制であろうが、封建であろうが、決定権者が明確にされていた社会構造下に暮らしていた事が、良い方に影響したのであろう。
メダカ達に対する説明はナッキがしたのだが、こちらは質問を返すことすらなく、いつも通り笑顔で頷いて貰えたのである。
上下の池が水路で繋がった事によって、それぞれ小さくない変化が見られていた。
具体的には上の池から流れ下った大量の水によって、下の池の水位は池の縁ギリギリまで上がり、反比例して上の池の水位は半分程にまで減ってしまい、一番大きなナッキの三倍位の深さしかない浅い物に変わってしまっていたのである。
これ程の変異を目にして、指を咥えて黙り込むほど、ナッキも殿様も、カーサ、サム、議長やメダカの長老たちは、木偶の棒ではない、違ったのである。
温度感知に長けたカエルたちは挙(こぞ)って提言をしてくれたのである。
『上の池、熱いっ! 下の池、涼しいっ!』
と……
この提言を聞いたナッキは大きな決定をする事とし、上下の池の有り様を一転させる決断に踏み込む事となる。
曰く、
「ほらほらぁ! 上の池は浅くて水温が高いじゃない? だから子供たち、卵を上の池に移したらどうだろう? それにこの池全体に酸素を与える為にはさ、僕が下の池に植え付けた水草も一緒に上の池に移せばもっと呼吸が楽になるんじゃないかなぁ? それに合わせて下の池、水位が深くなって水流の影響が減ってくれたからさっ! この『メダカ城』をさっ、もっともっと堅固な砦、いいや、僕たち皆が身を潜めて余りある位にまでさっ、強固で巨大に改造しっちゃったりしないぃ? その方が安心でしょう? どう? どうなのぉ、皆ぁ?」
『御意っ!』
メダカだけでなく、カエルも、それに生まれ変わったかのように口ではなく、体を動かし池全体の役に立ち始めたモロコたちも揃って、イエスマンである。
満足気な微笑を見せてナッキは言った。
「やった、んじゃぁ明日からは大工事、皆で力を合わせて池を生まれ変わらせるんだよっ! いいね? よろしくだよぉっ! 土木土木ぅ、楽しみだねぇ!」
『ぎょ、御意ぃっ!』
「うふふふ」
翌日から、モロコもカエルもナッキの無茶振りに答え続けて、死んでしまうかもしれない程の池、改造計画に無理やり従事させられたのであった。
具体的には、下の池に植え付けられていた水草の全てを上の池、浅瀬に移植する事から始まり、逆に上の池でカエルたちの本拠地に自生していた浮き草の類は、全て下の池へと移動することを余儀なくされたのである。
それらの作業に一息つくや否や、ナッキの無邪気ながら邪気に溢れかえった言葉、
「手が空いたんならさっ、僕がここに持ってきた石を築地の脇や上部に積んで行ってねぇ! ほらほら、早くしないとここが石置き場になっちゃうからさっ! ほらぁ、さっさと運んでよぉ!」
その声に追われる様に、不眠不休で働かざる得ないのであった。
カエルもモロコも、勿論メダカ達も死ぬ直前まで働き続けた結果、無邪気で邪悪な悪魔はついに大きな声で宣言をしたのである。
「んんん、良いじゃないのぉ! こんな物じゃないのかなぁ! どう? 皆ぁ?」
『も、勿論良いですよ…… これ位で勘弁してくださいませぇー、はあぁー』
「あははは♪」
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