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曲名…あの夏が飽和する
作曲…カンザキイオリ
「…ネェ…嘘ニキコエルカモダケド昨日人ヲ殺シテシマッタンダヨネ。」
みどりはそう言っていた
何もかもずぶ濡れのまんま
家の前で震えていた
夏が始まったばかりというのに
みどりはひどく震えていた
そんな話で始まる、あの夏の日の記憶だ
とりあえず家にあげた。
そして話を聞いた
「隣ノ席ノイツモ虐メテキテタアノ人 ナンカ嫌ニナッテキテ
アノ人ヲベランダカラオタシタノ。
多分モウ居ラレナイト思ウカ ドッカ遠イトコロニイッテクル。」
そんなみどりに俺は言った
「…そんじゃ、俺も連れてってよ。」
財布を持って カッターを持って
携帯ゲームも全てカバンに詰めて
いらないものは全部壊して証拠を消そうよ。
あの写真も、あの思い出も
今となっちゃもういらないからさ。
人殺しとダメ人間のみどりと俺の旅だ!
そして俺らは逃げ出した
バスに乗り込みみんなの知らなそうな場所へ向かった。
この暗い暗いこの世界から
家族も友達も何もかも捨てて
君と二人で
r「…ほんとごめん。」
遠い遠い誰もいない場所で
二人で一緒に死のう
もうこの世界に価値などもうないし、
犯罪者なんてそこら中湧いてるじゃん
m「…ゴメ…ンナ…サイ…。」
みどりの寝顔のおでこにキスした。
m「みどりはなんも悪くないから…」
結局俺らはやっぱ誰にも愛されたことなんてなかったんだろうな。
そんなよくわかんない共通点で俺らは簡単に愛し合っていたんだろうな。
mdの手を握った時
微かな喜びなのか、恐怖でなのか、震えも既に無くて。
誰にも縛られないで二人 線路からズレて歩いたんだ。
金を盗んで 二人で逃げて
どこにも行ける気がしてたんだよね。
正直怖いものはもう俺らにはなかったんだ
額の汗も 二人で越した大人の道も
「今トナッタハモウイイヨネ。
社不ト大キナ逃避行ノ旅ダ」
いつかゲームやアニメで出てきた
優しくて 誰にも好かれるような人がさ
汚れてしまう前の俺をちゃんと救ってくれるのかな。
m「デモマニアワナカッタシ…モウ捨テタヨ」
「ダッテテレビミテミテヨ?」
「逃テモ幸セナンテヤッパナカッタ…ドコマデモツイテクル
今マデノ人生デモサホントシッタジャン」
「自分ハ何モワルクナイッタ思ッテルカラ…」
あてもなく海で彷徨う魚の群れに
水も無くなり揺れ出す視界に
迫り狂う鬼たちの怒号に
バカみたいには二人でしゃぎあい
ふとあの子はナイフを取った
「ラダオガズットソバニイテクレタカラココマデコレタンダモンネ。」
「ダカラモウ大丈夫」
「モウイイヨ」
「死ヌノハ俺ダケデイイヨ」
そしてあの子は首を切った
赤く飛び散る血はまるで何かの映画のワンシーンだ。
白昼夢を見ている気がしたの。
気づけば俺は大人に捕まって。
あの子いや、…みどりがどこにも見つからなくって。
みどりだけがどこにもいなくって。
そして時は過ぎていった。
ただ暑い暑い日が過ぎてったんだ。
家族も友達もクラスの奴らもいるのに
なぜかあの子だけはどこにもいない。
あの夏の日をいつも思い出す。
俺は今も今でも書き綴っている。
あの子をずっと探しているんだ。
みどりに言いたいことがあるんだ。
九月の終わりにくしゃみして
六月の匂いを繰り返す。
あの子の笑顔は
あの子の声は
頭の中を飽和している。
誰も何も悪くない。
みどりは何も悪くはないから
もういいよ。
投げ出してしまおう。
そう言って欲しかったのでしょ?
ねぇ?