メンバーに紹介され、初めて元貴の作った曲と元貴の歌声を聴いた。その時の衝撃は忘れられない。
彼は本物だ。直感的にそう思った。そんな元貴がなぜ俺を選んだのか。確実に演奏ではない。だって元貴は俺の演奏などきいた事もなかったから。なぜかたずねると「なんとなく」と答えられた。
「わかんない。でも涼ちゃんを見た瞬間「この人だ」って思ったんだ」
「なんだよそれ、まるで一目惚れかなんかみたいじゃないか」
若井がからかうが元貴は「そう思った」の一点張りだった。
正直複雑な気持ちだが嬉しいものは嬉しい。元貴を後悔させないように。いつか元貴に俺を選んでよかったと思ってもらえるように、精一杯がんばろうと心に決めた。
元貴は音楽に関しては才能の塊だった。作詞作曲のセンス、どこまでものびる歌声、そして存在自体が放つカリスマ性。その全てを元貴は持っていた。自分の求めるものを手に入れようとどこまでも走り続ける姿はキラキラと輝いて見る人を惹きつけてやまない。
でも、順調にデビューも決まり、どんどん人気も出て順風満帆…という時に元貴が突然活動を休止したいと言い出した。
フェーズ1終了。今ならこれは避けて通れない事だったのだとわかる。
これは『休止』であってミセスを解散するわけではない、元貴はそう言っていたがそれを本気で信じるのはかなり無理があった。実際俺と若井以外の2人は去ってしまった。
でも、俺と若井は待つと決めた。一番苦しんでいるのは元貴だとわかっていたから。
それに、多分俺たちは『仲間』と言うのはもちろんだけどきっと何より元貴の『ファン』だったんだと思う。また再開すると信じていたというよりまた一緒にできると『信じたい』という思いが強かった。
そうやって結局2年もの休止期間を経て、俺たちは無事にフェーズ2開幕の日を迎えた。
止まっていた時が一気に流れ出すような怒涛の日々。それでもあの休止期間のつらさを思えばどんな忙しさも喜びに感じられた。
そして、活動再開後初めてのライブは俺にとてつもない興奮をもたらしてくれた。何より嬉しかったのはステージに立つ元貴の姿を同じステージの上からもう一度見られた事。
それまでは追い続けるだけだったその背中とやっと肩を並べられたような気がした。
本当に俺たちの新しいシーズンが始まったと思えた瞬間だった…。
ただ、ここでひとつまずい事が起こった。
ライブが終了した日、興奮も冷めやらぬまま自分のベッドに入った俺はスイッチが切れたように寝落ちしてしまった。
そして、夢を見た。
俺は元貴と一緒にステージに立っていた。元貴はやっぱりキラキラと輝いていてあまりの眩しさにギュッと目を閉じる。そして次に目を開けると目の前に元貴の顔があった。そのまま口付けられ性急に身体をまさぐられる。あまりの快感に俺は喘ぐ事しかできなかった。そして…。
俺はバッ!と布団から飛び起きる。心臓がドキドキと脈打っているのがわかる。
なっ、なんて夢見てんだよ!
確かに俺はゲイだ。でも今まで元貴の事をそんな目で見た事なんかなかったはず。なんで急にこんな夢見ちゃったんだよ。
俺は頭をかかえる。
やっと話が進みはじめました😅
これはUtopiaの事かしら?色々な点けっこう適当に話進めてます。
コメント
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うんうん。あのライブのことですねっ! 夢で恋に堕ちるのもいいです〜✨