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ニョントリ
学パロ nmmn
今回だけ追加…獣人パロ
獣人パロがお好きらしいので…書きます
r-18含む
ストーリー的に、r-18は結構緩めです。
一万字超えなので、 どうかご無理なくお読みください!
ジヨン視点
僕は足を踏み鳴らしながら、額にじっとりと汗をにじませていた。
🐲「……あれ?」
今の時間は17時。
もう外は薄暗くなりかけているというのに、いつもの時間になってもスンリが来ない。
いつもなら僕よりも早く来て、待っているはずのスンリが。
そんなこと、ある?
このまま待とうかとも思ったけれど、流石に心配だ。
僕は歩幅を早め、スンリのいる教室へと向かった。
🐲「すんちゃ〜ん」
廊下に僕の声が響く。
でも、返事はなかった。
居ないのかなと思いながらも、そっと教室を覗き込む。
🐲「あ、すんちゃ……ん?」
名前を呼びかけたそのとき、僕の声は自然と小さくなった。
スンリが、机に肘をついて、顔を両手で覆っていたから。
……泣いてる?
もしかして、勉強が分からなくて?
……いやいや、それはないか。
それより、スンリは僕に気付く気配がまったくない。
だったら……。
こっそり近づいて、様子を見てみよう。
僕は足音を殺して、スンリの机へとそっと歩いた。
彼の隣に立ち、地面に膝をついて顔を覗き込んだ瞬間、僕は気付いた。
……これ、バレバレすぎる。
でも、いまさら戻るわけにもいかない。
僕は変に緊張しながらも、ずっと覗き込んでいた。
🐼「わっ……!!」
🐲「なっ、」
目が合ったスンリは、瞳を大きく見開き、同時にビクリと体が跳ねた。
僕もつられて驚いてしまった。
🐼「す、すみません…」
スンリは咄嗟に謝り、僕の目を見ながら不思議そうにした。
🐼「でもヒョン…なんでここに?」
その言葉に、呆れたようにため息が出た。
🐲「はぁ……。すんちゃんが、いつまで経っても来ないんだもん。でも、無事でよかった」
そう言うと、スンリは照れくさそうに笑った。
その笑顔に、僕の胸は締め付けられる。
思わず頭に手を伸ばそうとした瞬間だった。
🐼「やめっ……!」
スンリは僕の手を避け、目には涙が浮かんでいた。
え?
僕が戸惑っていると、スンリのフードの中がピクリと動いたのが目に入った。
でも、スンリ自身はそれに気付いていない様子。
🐲「……?ごめん」
🐼「……その、……あの、すみません……」
言葉がうまく出てこないようだった。
どこか挙動不審で、ますます怪しい。
🐲「……隠し事、してる?」
🐼「い、いやあ……」
またフードの中がもぞもぞと動いた。
よく考えれば、僕はまだスンリの種族を知らない。
いつもフードをかぶっていて、何度見せてって頼んでも絶対に応じなかった。
でも、なぜ今日だけこんなに挙動不審なんだろう?
前日までは普通だったのに。
もしかして…何か異変でも?
今日は、すごく凶暴化しちゃう日とか……?
いや、まさか。スンリが?
僕は混乱しながら考え込んだ。
🐼「ヒョン……?」
🐲「……そうだ!」
急にひらめいた僕に、スンリは首を傾げた。
🐲「すんちゃんのフードの中、僕だけに見せてよ」
僕にしては、なかなかの名案だと思った。
きっとスンリは、種族を見せるのが恥ずかしいんだ。
でも、僕はスンリの幼馴染。
スンリのことなら何でもと言っていいほど、知ってる。
見せてくれたらきっと相談にも乗れる。
大丈夫。皆じゃなくて、僕だけだから。
もし凶暴化したって、僕なら止められるし……。
スンリも、放課後にこうして一人で悩まなくて済む。
どう? 良さそうでしょ?
僕は自分の頭の冴えに、ちょっとニヤついた。
でも、スンリの反応は…、
🐼「え……」
ぽつりと小さな声で呟いたあと、スンリはぽかんと口を開けたまま、固まっていた。
その顔を見た瞬間、僕は悟った。
……あ、これ、ダメそうだ。
やっぱり無茶だったかな。
空気を変えるために、慌てて話をそらす。
🐲「冗談冗談〜。さ、帰ろう、すんちゃん」
そう言って背を向けようとしたとき、制服の裾をぐっと引っ張られた。
🐼「まって……ください……」
振り向くと、スンリは少し俯きながら、もごもごと口を動かしていた。
🐼「あの……その……ヒョンになら……見せれます……」
僕の思考は、一瞬だけ止まった。
そしてスンリの顔を見ては、逸らして。
……それを、何度も繰り返した。
やっとのことで、僕は念のために尋ねた。
🐲「…いいの?本当に?見せてくれるの?」
スンリはこくんと頷いた。
🐼「特別…です。ヒョンにだけ、ですから」
そう言って顔を上げたスンリの頬が真っ赤に染まっていた。
そっと頬に手を当てると、熱が指先に伝わってくる。
まるで、子供みたいだ。
🐲「あつ…」
🐼「へへ……あの、ヒョン」
僕が首を傾げると、スンリは恥ずかしそうに視線を逸らしながら言った。
🐼「家、行ってもいいですか……?ここで見せるのは、なんか…その、えっと…」
言葉を濁すスンリの気持ちは、痛いほどよく分かった。
🐲「もちろん」
すぐに答えると、スンリの目がぱっと輝いた。
僕はスンリの手を引いて、走った。
🐼「ちょっ、急に走らないでくださいっ!」
フードを押さえながらも、スンリは僕の手をぎゅっと握り返してくれた。
🐼「はあっ、はあっ、はああっ……!」
🐲「ふぅ……着いた。ほら、おいで」
🐼「お昼に食べたご飯、出そうです……」
🐲「お手洗いならあるよ」
🐼「そういうことじゃないですっ!」
🐲「ふふ、冗談冗談」
微笑みながら、僕はスンリを家に迎え入れた。
とぼとぼと歩いて部屋に入ったスンリは、真っ先にベッドへとダイブする。
🐲「すんちゃん、飲み物は?」
🐼「……あ、いや…、すぐ帰るんで」
ベッドから体を起こしながら、スンリはそっと首を振った。
僕も隣に腰を下ろすと、自然と見つめ合う形になった。
スンリは手をもぞもぞと動かしながら、照れくさそうに目を逸らす。
🐲「いいんだよね……本当に」
最後にもう一度だけ確認すると、スンリは黙ったまま頷いた。
それを合図に、僕はゆっくりとフードを下ろす。
……すると、
真っ白な兎の耳が、ふわっと現れた。
ふわふわで、柔らかそうで、今にも触りたくなるような感触がそこにあった。
🐼「…変、ですよね」
🐼「俺、他の兎より耳が小さくて」
耳をしゅんと垂らしながら、スンリはぽつりと言う。
🐼「ヒョンみたいに、猫だったらよかったのに…。猫って、かっこいいし……」
思わず僕はスンリの頬を包み、左右にぶんぶんと揺らした。
🐲「全然そんなことない。すんちゃん……すっごく可愛い」
僕の言葉に、スンリの耳がぴんっと立つ。
その瞬間、可愛すぎて耐えられなくなった僕は、耳の付け根にそっと触れた。
🐼「んっ、ふふ…触られるの、初めて…」
くすぐったそうに笑いながら、スンリの体が触れるたびにびくっと反応する。
もう一度なぞるように触れると、スンリはベッドに仰向けに倒れ込んだ。
🐲「…死んだ?」
🐼「死んでないです……!!」
体を起こして僕を見つめるスンリ。
固まっている僕の手を、スンリはぎゅっと握り、自分の耳のほうへと誘った。
🐼「あの…もっと…」
スンリが、積極的!?
あっけに取られていると、耳がまたしゅんと下がり始める。
スンリの感情はすぐ耳に出る。
分かりやすくてありがたい。
望み通り、僕は耳を優しく撫でてあげる。
🐼「ひゃうっ… 」
🐲「……」
🐼「ひょ、ヒョン…やっぱり、きゅうけい……」
徐々に、スンリの体が抵抗するようになってきた。
🐲「嫌?」
🐼「いやっ…その……」
潤んだ瞳で僕を見つめるスンリ。
手を握ってくるその仕草に、僕もつい、手を握り返してしまう。
反対の手で、 容赦なく耳を撫で続けた。
🐼「はあぁうっ…」
びくんと跳ねたスンリが、僕の首に手を回してくる。
そのまま、僕は唇を重ねて、彼の肌にそっと跡を残した。
数時間が経ち、
スンリの耳は、ぴくぴくと痙攣していた。
🐲「すんちゃん、帰れる?」
疲れ切った表情で、スンリは頷いた。
🐼「はい……!」
🐲「…そう」
本音を言えば、泊まってほしかった。
けれど、スンリの体のことを考えれば、仕方がない。
僕はスンリの荷物をまとめ、玄関まで見送った。
🐲「はい、これ。忘れ物あったら、また教えて」
🐼「は、はい!また、明日」
🐲「うん、また明日」
スンリの姿が見えなくなるまで、しっかりと見送った。
その後、僕はふと空を見上げ、月にうっとりとした。
いつの間にか時間は流れていて、そろそろ寝ようと部屋の明かりを落とした…その時。
🐲「……ん?」
携帯が震えた。
誰かからのメール。
⸻
🐼「ヒョン!帰れました!」
⸻
スンリ。
内心、僕はすごく嬉しい。
でも、メールではいつも通りを装って返信する。
⸻
🐼「ヒョン!帰れました!」
🐲「そう、良かった」
🐼「ヒョン、時間ありますか?」
🐲「うん、あるよ。どうしたの?」
🐼「電話しても良いですか?」
🐲「うん、いいよ」
⸻
僕は胸を膨らませながら、電話が鳴るのを待った。
ぷるるる……。
音が聞こえると、
すぐに通話ボタンを押す。
⸻
🐲「すんちゃん!」
🐼「へへ…ヒョン、夜遅くにごめんなさい」
電話越しでも、照れくささが伝わってくる。
🐲「急にどうしたの?」
少し間があってから、スンリはぽつりと呟いた。
🐼「…ヒョンの声が聞きたかったんです」
🐼「それと……言いたいことがあって」
……スンリは沼らせるタイプだな。
そんなことを思いながら、僕は続きを促す。
🐲「うん、それで?」
🐼「あの…またいつか、耳…、触ってもらえますか…」
僕は思わず聞き返した。
🐲「……耳?」
🐼「あああっ!あのっ!変態だと思わないでくださいね!?」
焦って早口になるスンリに、つい笑ってしまう。
🐲「ふふ、分かってるよ」
🐼「へへ…その、初めて触られたんですけど、ヒョンの手、心地よくて…」
🐼「そ、それで!自分で触ってみたんですけど、なんかこう…違ってて……」
🐼「ヒョンみたいに、うまく触れないんです…!」
🐲「仕方ないなぁ……」
画面越しでも、僕は微笑んでいた。
不意打ちすぎる。けど、嬉しい。
沈黙が続いたとき、ふと思い出した。
……そうだ、あのこと。
🐲「…すんちゃん」
🐲「放課後、何を隠してたの?」
…
……
………。
🐲「すんちゃん?」
返事がない。
スピーカーにして耳を澄ますと、
🐲「やっぱり……」
寝息が微かに聞こえてきた。
さっきまで元気だったのに、突然の寝落ち。
可愛すぎる。
でもこうしてずっとスンリの寝息を聞いている訳にもいかない。
明日になって充電が無いとなると、大変だからね。
🐲「すんちゃん、僕も寝るね。また明日」
⸻
そう言って、通話を終わらせ、電源を切る。
ベッドに潜り込み、しばらくぼーっとしてから目を閉じた。
…また、明日。
🐲「…ん、朝…だ」
鳥のさえずりが静かに響く。
僕は瞼を持ち上げた。
眠気の残る頭を抱えながら、渋々ベッドを抜け出す。
朝は、どうも苦手だ。
しんとした空気の中で、取り残されたような気分になる。
いつものように携帯を手に取り、朝ごはんの準備をしながら画面を覗く。
🐲「……あ」
通知の一番上。
一分前、スンリからのメッセージ。
起きたばかりか、それとも寝付けなかったのか。
僕は指でアプリを立ち上げた。
⸻
🐼「ひょん、おれ、ねてました?」
⸻
文面から、寝起きの気配が伝わってくる。
僕はヨーグルトをひと口含みながら、ゆっくりと返信した。
⸻
🐲「うん。いきなりでびっくりしたよ」
🐲「さっき起きたの?まだ眠いでしょ」
🐼「ねむくなくて」
🐼「昨日から、いや、」
🐼「今日の朝から、すごく体があつくて」
🐲「熱?今日は学校休む?」
🐼「いや、大丈夫です!ヒョンと会いたいから」
🐲「そっか。じゃあ、お昼は一緒にいようね。何があっても大丈夫なように」
🐼「はいっ!ありがとうございます、ヒョン!」
⸻
どうやら、昨日の放課後の様子も、それが理由だったのかもしれない。
……でも、直接は聞かないでおこう。
何故か、触れてはいけないと感じるから。
少しだけ眉間に皺を寄せ、深呼吸ひとつ。
僕は制服に袖を通し、学校へ向かった。
🐲「……大丈夫かな、すんちゃん」
心配は胸の奥に留めた。
⸻
午前中の授業なんて、何一つ頭に入らない。
というか、早く昼休みになってほしい、そればかり考えていた。
⸻
ようやく、昼休み。
弁当を手に、僕は一目散にスンリの教室へ走った。
廊下を駆け抜け、階段を降りながら声を張り上げる。
🐲「すんちゃーん!」
手を振るスンリの姿が見えた。
今日も深くフードを被っていて、表情ははっきり見えない。
🐼「ひょーん!こほっ、こほっ」
大きな声を出したせいか、スンリはむせた。
僕は駆け寄り、背中をさすった。
🐲「大丈夫?」
彼は言葉を発さず、首だけを横に振った。
そのまま指差したのは、自分の机。
ああ、きっとここで一緒に食べようということだろう。
僕は彼をそっと机まで運び、椅子に座らせた。
🐼「ヒョン、ありがとうございます…」
🐲「ううん、大丈夫。ご飯食べよう」
🐼「あ、はい!」
この時間、教室にいるのは僕とスンリだけ。
ちょっと気まずさもあったけど、僕は弁当を開き、スンリに見せた。
🐲「じゃじゃーん、すんちゃん見て!」
少し得意げに、自作の弁当を差し出す。
するとスンリは笑顔を浮かべながら、自分のカバンに手を伸ばした。
🐼「すごい……おいしそうです」
🐲「すんちゃんのも早く見せてよ」
ワクワクしながら待っていると、スンリが急に焦った表情を見せた。
🐼「あの、ヒョン…お、俺、弁当忘れました……」
僕は思わず、ぽかんと口を開けた。
🐲「…え?」
🐼「あっ、いや、気にしないでください」
スンリは慌てて手を振り、僕に食べてくださいとジェスチャーで伝えてきた。
でも僕にはそのようなことはどうにもできない。
僕は弁当箱を机の中央に置き、予備の箸を差し出す。
🐼「ヒョン?」
首をかしげるスンリに、優しく笑いかける。
🐲「すんちゃん、いっしょに食べよ」
その言葉に、スンリの顔がぱっと華やいだ。
🐼「あ、ありがとうございます!」
🐲「いただきまーす」
二人で一つの弁当を分け合って食べる。
その時間は、あっという間だった。
⸻
午後の授業。
スンリが元気そうで、僕は安堵した。
やっと、授業にちゃんと集中できそう
…だったのに、ノートの端にはスンリの名前ばかり。
名前を書いて、似顔絵を描いて。
それだけで、気づけば授業が終わっていた。
⸻
荷物をまとめて、僕は靴箱の前でスンリを待つ。
やがて、遠くから歩いてくる姿が見えた。
…でも、どこか様子が変だ。
🐼「ぁ…ヒョン……!」
僕に気づいたスンリは、ぱっとフードを脱ぎ、そのまま飛び込んできた。
僕は反射的に、彼の体を抱きとめる。
🐲「すんちゃんからなんて、珍しいね」
その瞬間、彼の耳に僕の息がかかった。
🐼「ひゃっ!?」
スンリの体がふにゃっと崩れ、しがみついてくる。
🐲「かわいい…」
🐼「…ばか」
顔を真っ赤に染めながらも、スンリはそっと寄り添ってくる。
僕は彼の頭を抱きしめた。
そっと顔をのぞくと、赤みがさらに増している。
🐲「…すんちゃん、顔、赤くない?」
そう尋ねると、スンリはあからさまに動揺した。
🐼「え、あ、いや?ちがいます」
否定するけれど、頬も耳も真っ赤で、ぴくぴくと震えている。
…ああ、やっぱり。
猫の勘は鋭いため、すぐに分かる。
🐲「すんちゃん、もしかして」
耳に手を伸ばすと、スンリはぎゅっと目を閉じた。
🐼「っ…ヒョン、だめ…今日は……」
彼の足が一歩後ろに下がり、うずくまる。
その背中が、小さく震えていた。
僕にはわかっていた。
スンリの身に、何かが起きていることなんて。
だけど、それが本当に合っているのかどうか、確信はなかった。
だから僕は、なるべく柔らかく尋ねた。
🐲「……保健室、行く?」
するとスンリは小さく首を振り、震える手で僕の手を掴んだ。
🐼「いやっ、ちがくて…その、ひ、ヒート、来ちゃって……」
…やっぱり。
僕はそっと背中に手を置く。
スンリの呼吸は次第に浅くなり、肩が小刻みに揺れている。
🐼「ひょん…っ」
🐲「……」
……そうだ。
兎族は、ヒートというものが強く出る種族の一つ。
だから、こうなるのも不思議じゃない。
僕は自分の気持ちを落ち着かせながら、静かに尋ねた。
🐲「……すんちゃん、いつから?」
🐼「き、昨日…昨日から体が変で……」
僕の勘は全て命中していた。
昨日のあの違和感、スンリが何かを隠していた理由は、これだったんだと確信に変わった。
僕が一歩近づくと、スンリはびくりと肩を揺らした。
🐼「ヒョン…」
潤んだ瞳で見上げてくるスンリ。
瞳孔が少し開いて、うるうるとした目つきで…僕を、誘ってくるような顔。
思わず、喉が鳴った。
でも僕は、まだ冷静だった。
心配の方が勝っていたから。
🐲「僕のこと、避けたらよかったのに」
🐼「…むり、です。ヒョンの匂い、すごく落ち着く、んです…」
ふらふらとした足取りで、スンリは僕の胸元に顔を埋めてきた。
普段はフードの奥に隠されていた兎耳が、今は無防備に揺れている。
スンリが自分から外しているのを見たときから、僕の理性はずっと崖っぷちだった。
耳をそっと指でなぞるだけで、スンリは甘く震えた声を漏らす。
まるで、耳そのものが。
🐲「すんちゃん、」
🐼「ひょ、ひょん、…おねがい、します…おれを…、たすけて…ひょんが、いい…してほしい…です、」
そんなふうに潤んだ瞳で囁かれて、誰が平気でいられる?
僕はスンリの手を取って、静かに耳元で囁いた。
🐲「…僕の家まで、歩ける?」
スンリは小さく頷いた。
でも、すぐに顔を伏せて呟く。
🐼「…で、でも…がまん、できないです……」
もじもじと体を寄せ、顔を真っ赤に染めながら言った。
🐼「あ、あの…ここ、じゃだめですか…?」
その表情はもう、理性の限界を超えている。
僕は、思わず言葉を詰まらせた。
🐲「でも…、」
🐼「人は、いないですから…!」
その真剣な瞳に押されて、僕はため息のように応えた。
🐲「せめて、人が来ないところに…」
🐼「…きょうしつ…、とか…?」
逡巡の末、僕は頷いた。
🐲「…わかった。行こう」
歩き出そうとした瞬間、僕の腰に軽い衝撃が走った。
🐲「っ…!?」
振り返ると、スンリが僕の尻尾を掴んでいた。
🐼「…もふもふ」
🐲「ちょ、すんちゃん…そこは……」
僕は思わず眉をひそめる。
すると、スンリはにこにこと笑った。
🐼「えへへ……今まで触ったことなかったから、気になってて…」
僕はその仕返しのように、スンリの耳をふにっと掴んだ。
🐼「んっ、ぁっ…」
くすぐったさに肩をすくめ、目を細めている。
その仕草が可愛すぎて、僕の何かがぷつりと切れそうだった。
手を掴み、そっと言った。
🐲「…僕もちょっと、限界かも」
また歩こうとすると、スンリが僕の袖を引いた。
🐲「…?」
🐼「おんぶ、してください……」
🐲「…わがままだね」
僕はゆっくりとしゃがみ、彼を背負った。
スンリは何度も僕の耳を触ったりとしてくる。
🐲「っ、やめて…、くすぐったいから、」
🐼「へへ…、」
教室に着くと、スンリをそっと降ろした。
でも彼は離れようとせず、甘えるように僕の胸元に頭を押し当ててきた。
🐼「あたま、なでて……」
僕は言われるままに頭を撫で、耳にもそっと触れていく。
包むように、ゆっくり、優しく。
🐼「ふぁ…っ」
震えた声が、空気に溶け込んでいく。
スンリはさらに僕の胸に顔を押しつけ、真っ赤な耳と頬のまま、小さく呟く。
🐼「あんまり…いじめないで……いま、もう、がまんげんかい、ですから…」
🐲「…かわいい」
🐼「……ひょん、」
スンリは大きく手を広げ、僕の体を強く抱きしめた。
🐲「……すんちゃん、もういい……?」
🐼「はい……」
🐲「っ…、すんちゃん、痛くない……?」
🐼「あっ…は、はひっ……」
🐲「よかった、動くからね」
僕はそっと呟き、スンリの髪を撫でる。
指先に触れるその柔らかさに、思わず息が漏れた。
その吐息が届いただけで、スンリの身体はびくんと震える。
🐲「…感じすぎ」
🐼「ごめっ、ごめんなさ……っ」
🐲「ううん、謝らないで」
スンリの身体に負担をかけないよう、そっと抱きしめ直す。
抱きしめるたびに、スンリはかすかに甘い声を漏らしていた。
彼は目を閉じ、僕の背をぎゅっと抱きしめ返す。
与えられている刺激に、スンリは耐えているようだった。
🐼「あっ、ふっ…んんっ」
兎耳はピクピクと反応し、少し折れ気味になっている。
頬を真っ赤に染めたスンリの顔には、羞恥と興奮が混ざっていた。
🐼「っ、ひょん…、きて、……」
僕は動きを止め、そっと顔を近付ける。
すると、スンリは僕の口元に近付き、唇を重ね合わせた。
ゆっくりと唇を動かし、彼の受け入れる気配を感じたところで、そっと唇の内側に触れた。
そして、彼の舌先が遠慮がちに触れてきた。
目をぎゅっと瞑るスンリに、僕は目を伏せる。
意識がとろけてしまいそうなほど甘く、唇を離す気にはならなかった。
🐼「〜〜〜っ、」
息が持たなくなったのか、スンリの指先は僕の制服の裾をぎゅっと握る。
そっと唇を離すと、スンリはまだ物欲しそうな顔をしていた。
🐲「……すんちゃん、」
🐼「ん…ひょん、もっと……」
僕はスンリの言葉に応えるように、そっと抱きしめ直す。
スンリは僕の手をぎゅっと握り、指先を絡めてきた。
🐼「あっ、ん…っ」
彼の耳がピクリと動くたび、頬がどんどん染まっていった。
僕に身を委ねるスンリの声は、だんだんと甘く震えていく。
🐼「まって…なんか……へん、っ」
スンリの手が僕の制服を掴む。
小さく震える身体を、僕はそっと受け止めた。
🐲「…すんちゃん、大丈夫?」
スンリは頷きながら、涙滲んだ目で僕を見つめてくる。
その視線だけで、胸がぎゅっと締め付けられる。
僕は彼の頭に手を回し、優しく撫でる。
耳の根元がくすぐったそうに震え、彼はそっと僕の腕を掴んだ。
🐼「ひょん…すき……」
🐲「…僕も」
スンリの呼吸は次第に落ち着いていく。
頬を撫でると、彼の表情がふっと和らいで、目を閉じた。
きっともう眠ってしまったのだろう。
僕はそっと身体を離し、彼の肩に制服を掛けた。
先程まで震えていた手は、今ではもうおさまっていた。
しばらくすると、スンリは目を覚ました。
🐼「ん、ん……、」
🐼「ひょん、……ありがとうございます…。すっごくよかったです……」
スンリは身体を起こして、制服のボタンをひとつずつ留めながら言った。
🐲「…うん、僕も」
僕がそう返すと、スンリは照れくさそうに笑って、こちらを向いた。
🐼「…ひょん。また、いいですか?」
僕はスンリの言葉に目を丸くした。
🐲「…え、うん。いいの?」
スンリはこくんと頷きながら、僕の方へ歩いてくる。
僕は首を傾げた。
どこか言いにくそうに目を逸している。
するとスンリは、顔をそっと近づけてきた。
🐲「……?」
🐼「約束、の…きすです……」
僕はふっと笑いながら、スンリの言葉に応えた。
🐲「…っは」
唇が離れると、スンリはぽつりと呟いた。
🐼「…ん、約束ですから……」
🐲「うん、約束」
僕が立ち上がると、ふとスンリの後ろに、机の上に置かれている、少し汚れたパーカーが目に入った。
🐲「……すんちゃん、そのパーカー、替えないの?」
思ったことをそのまま口にしたけれど、急すぎたのか、スンリはきょとんとしていた。
🐼「え?」
僕は少し焦って説明した。
🐲「あのパーカー、ずっと使ってるでしょ?そろそろ新しいのに替えてもいいんじゃないかって……」
スンリはますます不思議そうに首を傾げた。
そして机の上からパーカーを手に取り、じっと見つめる。
🐼「たしかに、もう何年も使ってます…」
🐲「新しいの、買いに行く?」
そう言うと、スンリの顔がぱっと明るくなった。
🐼「ほ、本当ですか!!」
🐲「うん」
頷いた僕を見て、スンリはなぜか視線を落とした。
何か引っかかることがあるのかと思い、僕は考えた。
手放せない理由があるのだろうか?
もしかして大切な人からの贈り物……?
その時、スンリが小さく僕を呼んだ。
🐼「ひょん、あの……」
🐲「ん?」
🐼「ひょんって……パーカー、持ってますか?」
🐲「え、あ、うん。持ってるよ」
唐突な問いに戸惑いながらも答えると、スンリの耳がぴんっと動いた。
🐼「そ、その!!そのパーカー、俺にくれませんか……!!」
🐲「いいけど…なんで?」
🐼「ヒョンの匂いが好きなんです…! その…落ち着くっていうか…」
言い終えたスンリは、ぷいっと顔をそらした。
その姿を見て、聞いてはいけなかったのかと、僕は少し焦った。
🐲「…どうしたの?怒っちゃった?」
そう聞くと、スンリはゆっくりと顔を戻して、照れくさそうに言った。
🐼「いや……恥ずかしくて」
怒っていたんじゃなくて、僕の顔が見れなかっただけけらしい。
僕はくすっと笑って、そっとスンリの頭を撫でた。
まだ身体に残る余韻のせいか、スンリの体がぴくりと小さく跳ねる。
🐼「んっ、」
🐲「もう歩ける? 大丈夫?」
スンリはにこにこと笑いながら、こくんと頷いた。
それを見て、僕は手を差し伸べる。
🐲「じゃあ、パーカー貸すから。おいで」
🐼「……はい!」
その日、僕は自分のパーカーをスンリに貸した。
それからというもの、スンリはそのパーカーを、まるで宝物かのようにずっと大切にしていた。
お疲れ様です。
キャラ崩壊してますよね、すみません。
獣人パロ、これで合ってますか?
狼×兎…等が多いとは思うんですが、どうしてもジヨンは猫のイメージが強いです。
そこに関しては、解釈違いがあるかもです。
久々の投稿が長すぎるという…、何故か罪悪感があります。
どうでもいいことですが、今日から本格的に人様の作品を拝見します!!
地雷でも見ます!
というより、BL全般地雷です😹
既読感覚でいいね押すので、迷惑でしたらすみません!
コメント
13件
皆様〜!訂正します...。 BL全般地雷→一部です!! 一部だけ例としてあげますが、示唆無、過激、無理やり、総受け等がテラーノベルでは多いため、全般と書かせてもらってます!!全部が全部苦手という訳ではないので...🙏説明不足でした、すみません!
もー、大好き😇💘 ヒートで積極的になっちゃうスンリ可愛すぎるし、それを心配するジヨンも優しくて愛が伝わる…🫶😌(?) そうだよね地雷って言ってたもんね💦 無理せずで好きなように投稿してこ!!👊✨️
最高だァ~😭😭 ジヨンが猫でスンリが兎なの解釈一致すぎる……😫😫 地雷なら無理しないでね💦