アテンション
・BL
・一次創作
それでは、どぞー
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高校の卒業の日。
卒業式がおわって、みんなは外でワイワイ賑わっている中、俺と彼は教室にいた。
「今日で卒業かー、全然実感わかないな」
「そうだな、なんだか明日も学校来ちゃいそう」
二人で静かに、まだ実感わかないねって話して、いきなり彼の顔が真剣になる。
あ、これって振られるんだなって思って。
「あの、さ…」
「もう終わりにしよう」
「もっと詩音にはさ、俺みたいな男じゃなくて、もっとかっこいい人とか、可愛い人とか綺麗な人とか、そんな人と恋をしてほしいとおもってる」
何言ってるんだって思った。
俺にとって一番カッコイイ人は、お前なんだよって。
言いたかったのに、なんでだろう。
口があかない、喉でつっかえてる。
目頭が熱くなって、瞬きしたら、涙が溢れてきちゃって、結局困らせてしまった。
「分かってた、分かってたよ」
「俺も霧斗にはこんな、俺みたいな男じゃなくて、もっと素敵な人と付き合って欲しいっておもってたよ」
「でも…」
「…でも?」
このあとの言葉が全然でてこない。
喉でつっかえて、声がでない。
彼を待たせてしまっているのに、どうしようって。
「ごめん、なんもない」
「そうだね、終わりにしよ」
「今までありがとう霧斗」
綺麗に上げれているかは分からないけど、口角を上げて、目を細めて、笑顔をつくる。
「…うん、ごめん」
「謝んなって」
別れをきりだしたのは霧斗なのに、霧斗が涙を流しているのがなんだか面白くなっちゃって。
「じゃあな」
「ん、じゃーな」
別れたのにいつもの日課みたいな、そんな感じで、一緒に帰り道を歩いた。
でもいつもは、帰るときには手を振って、“またな”って言っていたけど、今日は“じゃあね”って。
もう会うことは無い。そして実感する。
本当に別れたんだなーって。
「思えば、本当に幸せだったな」
出会いは部活。
どちらもバスケ部で、俺はほぼ幽霊部員だったけど、活躍している霧斗を見て、すごいな、かっこいいなって思うようになった。
そんな幽霊部員にも優しくしてくれて、真面目なところを見ると、胸が高鳴る。
この感情は恋なんだって自覚した。
でも、男が男を好きになるなんてって、胸が苦しくなる。
そもそもで俺は釣り合わないから。
「この恋は、諦めるしかないかなぁ」
諦めようとした。
そんなとき、霧斗が風邪で学校を休んだ。
家が近いからという理由で、俺は霧斗の家へと足を運んだ。
霧斗の家に近づいていくと同時に、脈が早くなって、呼吸も荒くなる。
これも恋のせいかな。
家に着いてチャイムを押すと、霧斗が出てきた。
顔真っ赤で、本当に辛そうだった。
ぼーっとしていたからなのか分からないけれど、入りなって、家に入らせてくれた。
霧斗の部屋に入って、少しだけ看病をしていた。
霧斗の親が帰ってくるまでスポドリを飲ませたり、冷えピタを変えたりと、誰でも出来る簡単な看病をしていた。
自分も霧斗と至近距離だから、鼓動が早くなって顔が熱くなってくる。
それに霧斗の部屋だから、霧斗の匂いが充満していて、もうキャパオーバー。
考え事をしていたら、霧斗が急に体を起こして俺を見る。
その眼差しは、辛そうだったけど、真剣だった。
「…おれさぁ、詩音のこと好きかもしんねぇ」
「…え?」
俺は自身の耳を疑った。
霧斗が俺のことを好き?本当なのかな。
「それってどういう…えっ」
それだけ言うと、霧斗は充電が切れたかのように、ぼふっと倒れ込む。
鼻が詰まってるから、あまり幸せそうな寝息には感じられなかったけれど。
「え、えー…」
でも起こすのも可哀想だったから、さすがに起こさずにいた。
「…ごめん!!いきなりあんなこと言って…」
次の日にはすっかり調子が良くなっていて、俺に全力で謝ってきた。
「昨日のことは、本気?」
それだけが気になる。
もし本気なのであれば、両思い確定になる。
「あー…きもいよな、俺」
「男が好きって…」
霧斗がこの恋は終わった、もう諦めたという感じの表情をうかべていた。
そんな言葉に俺は首を横にふる。
そんな君に届ける言葉は_
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