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左┆朝日奈 徹 (あさひな とおる)
年齢:29歳┊ 身長:188cm
右┆五十嵐 直哉(いがらし なおや)
年齢:35歳┊ 身長:177cm
・18禁 ** / ♡ 濁点 付き ** ※ 下品 NO
・モロ表記 ・ 隠語 ・ 擬音 混合
⚠︎︎ 不倫
先に予告を見るのをおすすめしますが、内容少し変わってます。
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「 …… はぁ 」
何度目かのため息。むしろ息を吐くよりもしている気もしてきたほど毎日毎日回数が増えていく。そりゃしない方がいいなんて誰もが思ってて分かっている事だけれどもう何年も癖づいてしまったものはそう簡単に直せるもんじゃない。もう、直す気もさらさらないが。
その日もまた、彼が働く覆面BAR<NIGHTtown>に行こうとしたものの今日は彼は休みだという。彼─<朝日奈君>の容れてくれるカクテルが呑みたくて、彼に弱音を吐くついでに仕事と家とでボロボロにされた羽を休めさせたかったのに。
はぁ、とまたひとつのため息が溢れる。それはストレスなんかじゃなくて、ただ大人気なく彼に会えないのが少しばかり寂しいと感じてしまって出たため息だった。
街灯やネオンの光、横をすぎる車のライトやらが寂れた半身を照らす帰路の中ドンッっとした衝撃が体を揺らした。ぐらりと体が揺れたのもつかの間「痛ってぇなぁ」と少しばかりドスの効いた、酒の匂いを纏った声が少し上から落ちてきた。
「あーあー酒かかっちまったよ。どうしてくれんだよ、あ?」
曲がった眼鏡を直すと視界がどんどんクリアになる。なった目の前の先には手には飲みかけの缶ビールに、それで端を濡らしたであろうヨレヨレのワイシャツを着た男。今にも次の問題行動を起こさんとする男に「す、すみません。前あまり見えてなくて…」なんて謝罪と共にスーツの胸ポケットのハンカチを出して、彼に手渡した。
「 あー?ンなんで足りると思っ……アンタ、中々いい顔してんじゃん」
ハンカチを払い除けようとした男と咄嗟に視線がぶつかった時、不機嫌そうな顔していたのにも関わらずその瞬間に男の顔はニタリと歪んだ。ハンカチを掴む私の手ごと、男の熱の回った熱く分厚い手で腕を掴まれると強引に顔と距離が近づいた。
「なァ、これから付き合ってよ」
「は…?いや、私──」
「服汚した弁・償・代。払って?」
ぶわりと二人の間に酒の匂いが充満する。ぎゅぅ、っと掴まれた手からひしひしと伝わる”逃がさない”という強い意志。酔って判断力が鈍っているクセに、なんて抵抗しようとしてもビクともせず「ちょっと」「離して」と手をぶんぶんと振りながら諦めず抵抗しようと試みるもその度に力は増して、周りの通行人の目も痛々しく感じて来た。
グイグイと無理矢理人混みを掻き分け、引っ張られて連れられた先は一際光を放ち、雰囲気を見せる1件の店。
「俺今日出勤じゃないけど…」「こいつ男だけどいけっかな」と男は意味深さをふらふら、ブツブツ呟きながら<DREAM>と書かれた店の扉を押した。
中はまるでホテルみたいに綺麗で、支配人なんかも少し先に佇んで居るほど高級感に満ち溢れていた。なんで私ここにいるんだろう、なんてぼうっとしていればふと、だんだんと違う声が近づいて来ていた。
「 ………… その人、俺のお客様なんすけど」
ぬるりと柱の影から顔を出した誰か。身長は私よりも、私の腕を引いたその人すらも優に越すくらいの体格に、柔らかそうな茶髪の男性。
”俺のお客様”なんて言われてもあいにく私には見覚えなんてない、ないはず。
「あ?ちげーよ、こいつ…この人、さっき俺が誘って──」
「”俺の”お客様っす」
ずいっと彼とも近くなった距離。まるで網に捉えられる魚にでもなったような気持ちで、心底目の前がぐるりとする。
目の前に来た彼の声は優しく、まるで包むように優しいのにどこか変な感じがする。大きな圧のようで、のしかかるみたいに重い。
その声に私の腕を掴んでいた誰かは小さく舌打ちをして「クソ」と暴言を吐き、私を彼に投げつけるようにして腕を離され、急なことでゆらっと揺れた体は助けてくれた…はずの彼の胸板にとすっと落ちた。
「おわ、っ…大丈夫っすか、?!」
なんだろう、おちつく。
包んでくれるような柔らかく雲のようにふわふわな声、太陽みたいだけどどこか大人な匂い。
「す、すみません!だいじょ──」
羽を休ませるつもりなんてなかった。なのに勝手に意識が沈む。きっと日々の疲れのせいだろう。最近体を動かしたり、休めたりなんてこれっぽっちもしなかったから。
「すみません」と完璧に言えるまもなくとくん、とくんっと鳴る心音と支えてくれる彼の胸板と肉ついた腕に支えられたのと「──かわいい」と言う声が、最後の記憶だった。
No.2 ﹌ < 次回R >