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暖かい日差しが差し込む中学三年生の春。
式にて思い出を振り返ったあと、校庭の桜の木の下で幼馴染と話していた。いつもの、なんともない。いつも通りの会話のはずだった。
最早、沈黙も気まずくないほどに築かれた僕らの関係に一瞬の静寂が訪れた。
少しばかり緘黙した彼は、訥々と話始めた。
連「俺ね。ずっーと、晴のこと好きだったんだよね。ずっーと片想い。」
晴「…」
連「急に言われても困るよね~でも今日しかチャンス、ないと思ってさ。」
連「バレンタインだって、いつだって俺はチャンスを疑ってたけどさ。やっぱりおかしいよねって(笑)…」
晴「おかしいよ…僕なんか好きになるなんて、そもそも、男に恋する気持ちがわかんないよ。良い親友だとは思うけどさ。」
連「…そうだよね。もういいんだ」
高校の入学説明の用紙を軽く握ったあと。涙を流しながら足早にかけて言った。
連「高校…分かれるから、げんきで、やれよ」
晴「分かってるよ。連に心配されるほど僕はコミュ障じゃないけどね。」
連「そこまでは言ってないじゃないか…なんなの?矢っ張り俺がおかしいからダメだった?今日機嫌悪い」
晴「知らない。とにかくお前が俺をそんな目で見てるなんて思ってなかった…」
連「嫌だったよね…ごめんね!!!!!」
ダンッ…!!!!!タッタッタッタッ
そんな我武者羅に走る彼を見て僕は、混乱していたことに気づいた。
記憶が無いのだ。今まであったことの記憶が。この数十分であろう告白された後の時間の記憶が全て飛んだ。泣いている?彼はないている?、なんで?分からない。僕が何を言ったのか全く記憶がなくて。
ただ、「お前、おかしいよ。」
こんなことを口走ったことは記憶が微かにあった。
そう。別に彼は別れを惜しみ泣いているわけでも無い、僕の発言で傷つけてしまった。すなわち、喧嘩別れだ。
ただ、僕に彼に対する恋心がないのは確かだから、どっちみち断っていただろうな。なんて感じながらとりあえず家に向かった。
連は…私立の高校に行くそうだ。元々頭良かったから、偏差値65の高校に行くのも納得だ。それに比べて僕はふつーの公立高校偏差値50言っちゃ悪いが、インパクトが無さすぎるというか。話題にもなり得ないくらいの一般的だ。
まぁ、僕が望んだことだから別に何も不満は無いが
連に劣等感を抱いていた所はあったかもしれない。容姿、身長、学力、運動、性格全てにおいて1歩秀でていた。なのに友達はあんまいないみたいで信頼も得られていない俗に言う陰キャ。模範人間の癖になんでこんなに不遇なのか一切理解できなかった。
…好き?
そもそも、好きってなんなんだろう…
あぁ、バレンタインも、必ずハートの形をしたチョコやチュッパチャプスを渡してきた。意味にすれば「あなたが好き」
じゃぁ、ホワイトデーの。赤いチューリップ、パンジーも。ちゃんと花言葉は「愛の告白」
小学校の卒業式、あ、卒業アルバム…なんか書いてたな。
誕生日のカードも?…縦読みか!!!!!
クリスマスの手編みマフラーも、貝殻のアクセサリーも…
あぁ、すべてに辻褄があった。
こんなあからさまにされて気づかなかったのだろう。
家に帰りすぐ自分の部屋の窓を開けて連の家の窓を見ると同じタイミングで連が出てきた。目が合うと気まずそうにそそくさと帰っていった。