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#病気パロ
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美優side
あの日から、拓実とは一度も連絡を取ってない。
スマホを開けば今までのトーク履歴が残ってる。
(今日何食べた?)
(おやすみ)
(大好きだよ)
そんな何気ない会話ばかり。
前は当たり前だったものが、今は全部大切な思い出になってた。
トーク画面に何度も文字を打っては消す。
(元気?)
(頑張ってる?)
(会いたい)
どれも送れなかった。
拓実が夢を追うために私から離れたから。
私から連絡したら拓実の夢を邪魔しちゃう気がした。
そんなある日。
優香「ねえ、美優」
「ん?」
優香「これって….拓実くんじゃない?」
その言葉に、心臓が跳ねる。
「え?」
画面をみる。
そこには、ステージの上で踊ってる拓実の姿があった。
“PRODUCE101JAPAN”
まだ正式にデビューした訳じゃない。
それでも、沢山の人の前で夢だった場所に立ってる。
「……拓実、」
思わず名前が溢れる。
画面の中の拓実は私が知ってる拓実だった。
でも、少しだけ違って見えた。
堂々としていて、
楽しそうで、
キラキラしてた。
「…..すごいな、」
そう呟いた瞬間、胸がぎゅっと苦しくなった。
拓実が夢に近づいている。
あの日、「頑張って」って言った自分の言葉が、ちゃんと届いてる気がした。
その日の夜。
ベットに入ってもなかなか眠れなかった。
そして、午前0時を過ぎた頃。
スマホが震えた。
通知を見ると見覚えのある“拓実”の文字。
一瞬、息が止まった。
拓実(久しぶり)
拓実から届いたたった5文字。
それだけなのに、胸がぎゅっと締め付けられた
別れてから何度も見つめていたトーク画面。
自分から連絡する勇気はなかった。
(久しぶり)
私も同じように返す。
すぐに既読がつく。
けど、数分経っても返信はない。
「…..何?」
拓実は何を思って連絡してきたんだろう。
数分後。
スマホがまた震える。
拓実(元気?)
画面を見つめる。
たったそれだけの言葉なのに付き合っていた頃の拓実との時間が一気に蘇ってくる。
(元気だよ)
拓実(そっか)
それだけ。
また、会話が終わる。
でも、数秒後、また連絡が来る。
拓実(今何してるの?)
昔と同じ聞き方。
(今家にいるよ)
そう返して、拓実からの返信を待った。
(そっか)
(俺も今帰ってきてる)
「…それだけ?」
思わず小さく笑う。
別れてから何ヶ月も経ってるのに、こんなことっで嬉しくなる自分が少し嫌だった。
拓実(今日何してたん?)
拓実からまたメッセージが届く。
(大学行って帰ってきただけ)
拓実(そっか)
(拓実は?)
拓実(今休止期間で実家戻ってる)
(こっちいるんだ)
拓実(そう)
そこで、また会話が途切れる。
やっぱり、昔とは違う。
拓実(美優)
数秒後、それだけ送られてきた。
(ん?)
既読がつく。
けど、なかなか返信はこない。
拓実(なんでもない)
(何それ笑)
思わず送る。
拓実(いや、)
(久しぶりに連絡したからさ、緊張して笑)
その文章を見て、胸が少しだけ暖かくなった。
(私もわからない笑)
拓実(だよな笑)
(なんか変な感じ)
拓実(俺も)
その後、2人で他愛もない話をした。
最近好きなもの。
学校のこと。
オーディションの話。
昔みたいにくだらない話をして、気づけば1時間以上経っていた。
時計を見る。
(そろそろ寝よっかな)
そう送ればすぐに既読がつく。
拓実(そっか、おやすみ)
そこで一度画面が止まる。
そして、もう一件。
拓実(話せてよかった)
(私も)
それだけ返し、スマホを伏せる。
久しぶりに聞いた拓実の言葉。
久しぶりに交わした会話。
久しぶりに感じた、あの頃と同じ安心感。
「…忘れられたと思ったのにな」
小さく呟く。
なかなか眠れないまま朝を迎えた。
スマホを見ると通知が一件。
拓実(おはよう)
たった4文字。
なのに、昨日より嬉しかった。
でもすぐにその感情は消えてしまう。
その日以降、拓実から連絡が来ることはなかった。
そうして、数週間が過ぎた。
優香「ねえ、美優!」
「なに?」
優香「これ見て!」
スマホを見せられる。
そこには、大きなニュース記事。
“ボーイズグループJO1デビュー決定”
その文字の下に、メンバーの写真が並んでいた。
「….これ、」
見覚えのある顔。
何度も隣で見てきた顔。
私の大好きな顔。
「….拓実 」
指先が少し震える。
優香「拓実くん、デビュー決まったね」
スマホの画面を見つめながら、私は小さく笑った。
「….よかった」
ずっと、これだけを願ってた。
拓実が夢を叶えることを。
嬉しいはずなのに、胸の奥がどうしようもなく痛かった。
その日の夜、久しぶりに拓実とのトーク画面を開いた。
最後のメッセージは数週間前のまま。
(デビューおめでとう)
そこまで打って、指が止まる。
文字を消して、画面を閉じる。
拓実の夢がついに始まった。
拓実と進展がないまま何日も過ぎた。
テレビをつければ、拓実の名前をよく見かけるようになった。
雑誌にも、SNSにも。
「すごいな….」
そう呟くたび、少しだけ寂しくなった。
私が知ってる拓実は、まだ何者でもなかった拓実。
一緒に帰って、コンビニに寄って、
くだらないことで笑い合ってた拓実。
でも今は、沢山の人に愛される拓実になっていた。
私が応援すると約束した夢。
ちゃんと叶えてる。
そう思うと、嬉しかった。
だけど、
「….遠くなったな」
その言葉が、自然と口から溢れた。
それからしばらくして、テレビから聞きなれた声がした。
拓実「初めての音楽番組で緊張しているんですけど、頑張ります」
そうコメントをし私の大好きな顔で笑った。
眩しいくらいの照明。
沢山の歓声。
堂々と歌う姿。
昔、私の隣で夢を語っていた男の子とはまるで別人みたいだった。
でも笑った瞬間、やっぱり昔の拓実で少し安心する。
その瞬間、スマホが震えた。
画面を見ると久しぶりに拓実からの通知。
心臓が跳ねる。
拓実(テレビ、見てる?)
まさかの問いに手が止まる。
(見てるよ)
すぐに既読がつく。
拓実(そっか)
(どうだった?)
(かっこよかった)
そう送って取り消そうとしたところで既読がついてしまう。
拓実(ありがとう)
(美優に見てもらえてよかった)
その一文を見た瞬間、胸がいっぱいになった。
別れてから何度も忘れようとした。
もう終わった関係だって、何度も言い聞かせた。
なのに、たった一言であの記憶が全部蘇ってくる。
「…..ずるいよ、拓実」
画面を見ながらそう呟いた。
その頃の私はまだ知らなかった。
拓実と私の関係がもう一度動くことになるとは
拓実「美優に見てもらえてよかった」
そのメッセージを最後に、また連絡が途切れた。
忙しいんだろうな。
そう思って、私から連絡することもしなかった。
それから、さらに数ヶ月。
拓実はどんどん有名になって行った。
テレビに出て、大きなステージに立って、
沢山の人に名前を呼ばれている。
私はその姿を見るたびに、あの日のことを思い出す。
“アイドルになりたい”と言われたあの日。
あの時の拓実は、夢を語るただの男の子だった。
今は、沢山の人の夢になっている。
「….よかったね、拓実」
テレビの中の拓実に小さく呟いた。
その瞬間、スマホが震える。
また、拓実からだった。
拓実(久しぶり)
(久しぶり)
拓実(今度、少しだけ会えない?)
心臓が、大きく跳ねた。
数日後、待ち合わせ場所に行くと拓実は先に来ていた。
「久しぶり」
拓実「うん」
「元気だった?」
拓実「元気」
昔と同じ会話。
でも、昔とは違う距離。
拓実「俺さ」
「…..うん」
拓実「デビューしてからずっと考えてた」
「何を?」
拓実「美優のこと」
思わず目を逸らす。
「……なんで?」
拓実「分かんない」
拓実が少し笑う。
拓実「夢が叶ったら、全部すっきりすると思ってた」
拓実が空を見上げる。
拓実「でも、違った」
拓実はゆっくり言葉を続ける。
拓実「忙しくなって、毎日楽しくて、夢だった場所にも立てて、」
「うん」
拓実「それでも、何か足りなかった」
胸の奥が苦しくなる。
拓実「それが何か、ずっとわからなかった」
拓実が私を見る。
拓実「でも、今日わかった」
「…..何?」
拓実「俺、美優に1番に見て欲しかったんだと思う」
何も言えなかった。
拓実「デビューした日も」
「初めてテレビに出た日も」
「ステージに立った日も」
「全部、美優に伝えたかった」
拓実の声が、少し震える。
拓実「….だから、さ」
「もう一回、俺と向き合ってほしい」
涙が勝手に落ちた。
「…..遅いよ」
拓実「うん」
「私、ずっと寂しかった」
拓実「ごめん」
「拓実のこと忘れようとした」
拓実「…..うん」
「でも、無理だった」
拓実は、何も言わずに私を見ていた。
「私ね」
涙を拭いて、ちゃんと拓実を見つめる。
「拓実が夢を叶えたこと、本当に嬉しい」
拓実「……ありがとう」
「だから今度は、私も自分のこと頑張りたい」
拓実が笑う。
拓実「うん」
「お互い夢を諦めない」
拓実「うん」
「忙しくても、ちゃんと話す」
拓実「約束する」
「勝手に別れたりしない」
拓実「約束する」
そして、あの日離れた2人は
もう一度、ゆっくり歩き始めた。
数年後。
大きなステージ。
歓声の中で、拓実が笑ってる。
私は客席から、その姿を見つめた。
夢だった場所に立つ拓実。
その姿を見ながら、あの日のことを思い出す。
夢を選んだ拓実。
それを応援した私。
一度は離れたけど、それぞれの時間を過ごしたからこそ今がある。
ステージを終えた拓実からメッセージが届く。
拓実(今日、見に来てくれてありがとう)
(こちらこそ、今日もかっこよかったよ)
拓実(一緒に帰ろっか)
(うん)
あの日、夢を叶えるために離れた2人。
今度はそれぞれの夢を抱えたまま同じ場所に帰っていく。
あの時の「さよなら」は、終わりじゃない。
夢を叶えた君と、もう一度出会うための長い道のりだった。
長くなってしまいました!!
結構いい感じなのではと思います!!
それでは、また次のお話で会いましょう!🐉
コメント
1件
美優の気持ち、すごく伝わってきたよ……😢💕 拓実の夢を応援したい気持ちと、寂しさが混ざり合って、でも連絡できないもどかしさがリアルだった。 「久しぶり」のたった一言で心臓が跳ねる感覚、わかるなあ。 最後の「さよならは終わりじゃない」って言葉が、めっちゃエモいし温かい気持ちになったよ🥺✨ お互いの夢を大切にしながら、もう一度歩き出す2人、本当に素敵だった!