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今回は志摩弱らせ、退行、小スカです。色々構造してます⚠️
前回同様、少しでも苦手だと感じる方やhnnm、ibsmの意味を知らない方はブラウザバックをお願いします。
回想の会話は『』で表してます。
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志摩はあの日から変わった。
あの日の空は曇っていて、昼間でも薄暗く怪しい雰囲気だったのを今でも覚えている。秋に差し掛かった頃で、少し肌寒かった。
『ねぇー、志摩ぁ、寒いよー、
…志摩、ねぇ、ねぇ志摩。そろそろ腕まくりやめたら???寒いでしょ』
『知らん。俺は平気だから気にすんな』
『見てる方が寒いんだってーーねぇーーー』
『…はぁ、
…これでいいか?』
『うん!志摩ちゃんさぁ、ぶっちゃけヤセ我慢してたでしょ?小学生じゃないんだからかっこよくないぞ〜』
『誰が半袖短パン小僧だ。癖なんだよ』
『へへ、癖の癖つよ〜』
そう、密行中いつものようにくだらない雑談をしていて、その少し経った後に入った通報。
《警視庁から各局 ⚪︎⚪︎署管内。スーツを着た大柄な男が刃物を振り回している、との通報。
現場は△△交差点 近い局どうぞ》
現場が近かったため、無線を入れて急行した。
現着した時もまだ被疑者の男は刃物を人に振り回し、今にも致傷者を出しそうでパトカーを止めた後俺は志摩を待たずに飛び出して、男はついに来たかと激しく訴え始める。
『もう、もう何もかもがどうでもいい!!
俺はこの後死ぬ!!その前に幸せそうなムカつく奴らも一緒に連れてってやる!!!!
恨むなら俺をこんなにした社会を恨め!!!』
はあ?何、言ってんだ、お前…』
『…伊吹、先に行くな。』
意味の分からない被疑者の訴えに呆ける伊吹を横に、追いついた志摩はそのまま男へ言葉を淡々と続けた。
『お前が憎んでるのは“幸せな奴ら”じゃない。
自分がそこに立てなかった現実だ。』
『ぅ、うるせええええ!!!!!』
『志摩ッッッ!!!!!』
逆上した男は志摩に刃物を向け、そのまま向かってくる。どう考えても間に合わない志摩の防御を見て、伊吹の体は勝手にその前へ動いた。
瞬間的に鋭い痛みが右下腹部に走った。志摩は何か言っていたようだが、音のようにしか聞こえなかった。おおよそ何してんだ、とかかな。今はそんな事考えれるけどその時は刺されてることすら頭に入らなくて、被疑者を確保してやっと傷の痛みに悶え始めたんだったな。
痛い痛いと連呼して志摩ちゃんを困らせちゃった、通報の電話でかなりテンパってるなって。今になってあんな焦らすような事言わなければとかタラレバを言って。
救急車に乗って、疲れたなぁ、とか思ってそのまま目を閉じた。
次に目を覚ましたのは3日後。
目が覚めると志摩は横で伊吹の手を握って眠っていた。この時からおかしかった。
目覚める際に手に力を入れたのかそれに気づいた志摩は目を覚まし、目が合うと涙を溢した。今まで涙のなの字すら見せない志摩から流れる涙に驚きつつ、そこまで心配してくれてたんだ、と思い大丈夫だよと言いそのまま抱き締める。いつもなら突き飛ばされる胸。今日は、すんなりと収まった。これも驚いた。
志摩は思い出したかのようにナースコールで伊吹が目を覚ましたと告げまた、ごめんと平謝りした。伊吹はごめんなんて要らないと言いたげに掌で口を塞ぐ。
『志摩、これは俺がした事だよ。刺したのはあん時の男だよ。志摩は、悪くない。何も悪くない。
だからごめんなんて言わないで?』
『ご、…いや、目を覚まして、良かった…。』
『ん!言ったろ、俺の生命線は長い、って!』
『ふ、そうだな。…ありがとう』
ガララ、と扉がスライドする。医者と看護師が入ってきてバイタル諸々を見て言った。
『うん。伊吹さん、刺し所が良かったみたいでこのまま回復していくと二週間足らずで退院できそうですよ。良かったですね。』
『また朝、検診などありますので。
…では、私達はこれで失礼しますね。』
『ありがとうございます』
志摩はちゃんと聞いてた。この後良かったな、とも言ってくれた。でも、退院して数週間後の仮眠中、荒れた呼吸音で目を覚ますと、顔を白くさせて過呼吸を起こしていた志摩が居た。テタニーで震えた手を握って背中を摩り、息を吐く事を促す。握った手は温もりを感じれなく、とてもひんやりしていた。
呼吸がなだらかになった頃に何か悪い夢でも見た?と聞くと志摩は、少し躊躇ってやっと口を開く。
『…ぃ、ぶきが、俺を庇って、し…死ぬ夢…っ、』
『っ、そっかぁ、でも大丈夫。俺はちゃんと生きてるから。
…心臓の音聞く?』
『き、く…。』
未だ不安な表情が抜けない志摩を安心させるべく、生きてる実感が一番湧く心音を聞かせるようにした。
手を広げるとスッと入ってきて、胸に耳を当てた。屈み丸まった背中をぎゅっ、と抱く。少しビクッとしたけど、数秒後に志摩も遠慮気味に伊吹の服を掴みまた、胸に耳を押し付けた。
『いき、てる……。ちゃんと…、』
『心配しなくても、志摩ちゃんを置いてそんなコロっと死なないよ。』
『…ん、』
そのまま安心したように胸の中で志摩は眠りについた。伊吹は暫くベビーチェアのように揺れて、すっかり熟睡した志摩を確認しベッドへ寝かせてその隣で眠りについた。
それから数日、数週間と続く悪夢に魘され、夢と現実の境目が区別つかなくなった。心療内科を通うようになって、処方された睡眠薬を服用していつものように眠り、いつものように悪夢で飛び起き、また辛い過呼吸に苦しむ。そんな志摩を助け出せることを導き出す前に、
____志摩は壊れた。
また過呼吸から泣き疲れて眠って、ベッドの冷たさで目を覚ました。下半身の違和感に疑問を持ち、かけてあった毛布をガバッと剥ぐとその正体を知った。隣で寝ていた相棒のズボンは大きくシミを作っていて、湿り気は毛布、ベッド、伊吹のズボンへと続いていた。
伊吹は処置のため、志摩を起こす。とまた異変が起こった。
『志摩、志摩ちゃん、一旦シャワー行こっか。』
『んぅ…、ぁ、あ、ごぇなさ…きたなぃ、ごぇんなさぃ…っ!』
『…志摩?』
志摩は現状に理解して子供のように泣きじゃくり謝った。明らかにいつもと違う態度に違和感を感じつつも大丈夫、大丈夫と宥めてシーツと毛布を持ち、志摩を連れシャワー室へ向かい未だ泣きじゃくる志摩を脱がせて一緒に個室へ入る。献身的に洗いながら志摩に尋ねる。
『志摩ちゃん。どうしたの?トイレ行くの忘れちゃったとか?』
『んーん、いった…、でもぉもらし、しちゃった…うぅっ、ごめんなさっ、』
『大丈夫だよ。志摩ちゃんはいっぱい頑張って、きっと疲れちゃったんだね。』
『ごぇんなさい…っ、』
涙かシャワーの水か分からないものを拭ってあげて、シャワー室から出る。
着替える前に一応、とさっき備品から一つ貰った介護用おむつを志摩に履かせようとする。志摩は少し不服そうにやだ…と呟くが、伊吹はまた宥めてしっかりと履かせた。
『よしっ完璧。…しーま、大丈夫だから。ね?ほらもーまた泣いてー』
『だって、ぅっ…はずかし、ぃからっ、』
『誰も気にしないよ。みんな志摩が頑張ってる事知ってるから。大丈ー夫、大丈ー夫。』
そう言い置き服に着替えさせ、分駐所へ戻る途中に汚れたシーツや毛布、服を洗濯機に入れ、スイッチを押す。水の音が流れて分駐所へ戻った。
4機捜の人達には志摩の事を説明した。皆、志摩を困らせないよう暖かく接してくれた。
翌日、志摩をいつもの心療内科に連れて行った。
志摩の症状は退行。一種の防御反応だと言う。
『志摩は…大丈夫なんですか、?』
『えぇ、あくまでも一時的な反応です。早くて数週間〜一ヶ月で自然に治りますよ。大丈夫です。
刺激の少ない場所で、安心させて、沢山甘やかしてあげてください。』
『はい。』
『お薬はエチゾラム、安定剤出しますね〜。
PTSDの症状、パニック発作が起こった時などに服用してください。
はい、ではお大事に〜』
『ありがとうございました。
志摩ちゃん、行くよ。』
『ありがとぅございました…、ぅん…。』
志摩を連れ診察室を後にして、薬局で処方箋を提出して薬を貰い、志摩のマンションへ向かった。部屋に入った途端眠くなったのかぐずり出す志摩を眠りに促し、ベッドに寝かせてトン、トンとリズムよく手を置く。
そん時、凄い不安だった。先生に大丈夫だって言われたのに、志摩は回復してるだけだって分かったのに。余裕無いことを隠してそれから志摩を介抱するために、俺も休暇を取った。隊長達も理解してくれて、本当に助かった。こんな志摩ちゃん置いて出勤なんて、できるわけないよ。
「ん…ぅ、…いぅき……、?」
「志摩ちゃん。大丈夫だよ、俺はここに居るから。」
いつの間にか手は止まっていて、ふと目を覚ました志摩は手の在りどころを探るようにモゾモゾし始める。伊吹は記憶を遡らせるのを止めて、布団から飛び出した志摩の手を押し戻してまた手をトン、トン、と置いて、志摩はそれに安心してまた瞼を下ろした。
あれから一ヶ月経ってもまだ、少し語尾が弱い。少しの心配と不安はまだある。でも、志摩ちゃんに気取られないよう振る舞うしか無い。不安にしたらまた、パニック発作が起こり得ないのは勿論。俺が不安にさせたく無いから。
全ては俺が招いたこと。志摩をこんなにした責任として、今度はちゃんと、守らなきゃ。だから、
「…志摩、大丈夫だからね。」
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