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港の倉庫街は夕立の名残で濡れている


その水たまりを器用によけながら、太宰治は退屈そうな足取りで歩いていた。

「……ふうん。さっきの騒動、やっぱり中也のせいだったんだね」


後ろからぐい、と肩を掴まれる。


「あァ?てめェ、何をまた勝手なこと言ってんだよ、太宰!」

中原中也が睨みつけてくる。その帽子は雨粒でまだ濡れていた。

太宰はおどけて肩をすくめる。

「だって、中也がいる場所ってだいたい爆破された後か、喧嘩の後だもん。まるで現場猫だね」

「現場猫じゃねえ!お前が余計なちょっかい出したんだろうが!」


太宰はくすくすと笑い、その目はどこか懐かしげだ。「でも、懐かしいね。こうして二人で現場仕事って」

中也は少しだけ何処か懐かしそうに目を細める。

「くだらねぇ過去の話すんなよ」

「でも、今だっていいコンビだと思うけど?」

「黙れバカ太宰。手前が足引っ張らなきゃな」

並んで歩く二人。太宰は片手を上げて、「ああ、そんな怖い顔しないでさ。君が怒鳴ると空まで泣いちゃうよ」と冗談を言う。


中也はふいに足を止める。「……雨はもうやんだ。勝負だ、太宰。先にあっちまで走った方が勝ち」

太宰はわずかに目を見開き、やがてふっと口元をゆるめた。

「いいよ、中也。たまには君の勝ちでも、譲ってあげる」

「そう簡単にいくかよ!」

二人は走り出す。長い影を夕焼けが引き伸ばしていく。

やがて、互いの肩が触れ、笑い声が重なった。


雨上がりの匂いの中、すれ違いと信頼がそっと溶けていた。






✻✻

こんにちは〜!そらです!Ü


今回は小説コンの方です!何時もと違って明るめなお話しを書いたのでみゆきちゃんにも皆様にも気に入って頂けると嬉しいです!^> ·̫ <^

次はイラストにしようと思います!


ではまた〜

みゆきちゃんのコンテストへ参加

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