前の話から 2日後の朝 。
自分の部屋のクイーンサイズのベットから体を起こし、陽の光を浴びる。髪を梳かし、貰った服に着替え、ネックレスを整える。
腰には、これまた貰ったリボルバーと刀をそれぞれのポシェットに入れた。
いつも通りの朝で、今日もいつも通りの1日を送る、 はずだったのに 。
部屋の外に出て、ふと近くの窓から滑走路が見えた。
そこではスタンと、その部下の人達が何やら少し急ぎの様子で作業している。
何かあったのか…?
そう思いながら、少し急ぎめで私はゼノのいる実験室へと足を運んだ。
千星「 … ゼノ 居っかー ? 」
軽くノックをしてから部屋の扉を開け、中を覗く。
すると、ゼノは “ いつも通り ” 実験室にいた。
ゼノ「 … おぉ 、 千星。起きたいのかい ? おはよう 。 」
千星「 ん 、 はよ 。 なんか 外騒がしくねぇか ? 何かあったのかよ 、 」
ゼノに歩み寄る。なにやら こちらも作業をしているようだった。
千星「 … ! マシンガン 、? 」
目の前の彼は、どうやらマシンガンの手入れや修理を行っているようだ。
…動物を殺すならアサルトライフルやピストルで充分だし、 わざわざ今更マシンガンを使うか…?
そんなことを考えながら、作業の邪魔をしないように彼の机の上を覗き込んだ。
すると、彼は急に立ち上がり私の方を真っ直ぐ見つめてきた。
ゼノ「…そろそろ 、君にも話しておかなくては 。 …今日 、もしもの事があるとすれば… 」
今の僕らの日常が、終わりを告げるかもしれない_ 。
千星「 … は ? 」
ゼノ「 … そこに 座りたまえ 、ちゃんと説明をしよう 。スタンを呼んでくる 、 少し待っていてくれ 。 」
そんなことを伝え、彼はドアを開けて外の滑走路へと行ってしまった。
この日常が終わりを告げる…?
何を言っているんだ、ゼノは。頭がおかしくなったのか。
頭を抱えながら椅子に腰を下ろす。
さっきのマシンガン、どう考えてもあれは襲撃用だ。
だとしたら考えは1つ…
【 私達の、敵がいる 】
ガチャッ 、
音を立てて扉が開く。
スタンとゼノがいつもよりも真剣な顔をして実験室に入室し、私の目の前の椅子に2人で腰かけた。
今から、何の話が始まるのか。
ゼノ「 …まずは僕から話そう。 君も、もう挨拶くらいはしたかな? 僕らのレーダーマンをしているMr.レナードが太平洋側からの大型船の接近を確認した。」
千星「 … !? 」
ゼノ「驚くのも無理はない。なんせこのストーンワールドだ 。 …そして、その微弱な電波に気づいてから数日が経っている。もう彼彼女らはアメリカの陸地が見えている頃だ。 そして、僕らは今日の夜から ある作戦を実行する 。 そのことについてはスタン 、君から話してくれ 。 」
私は黙って聞くことしか出来なかった。
大型船の接近?作戦?もう何が何だか、頭がこんがらがっているからだ。
スタンリー「ん 、 千星 。あんたにもこの作戦に協力してもらいてぇ 。…んま 、別に大したことさせるつもりはねぇけどな。俺は、今日の夜中に電波のする方角に単独調査しに行く。…それが敵でも味方でも、調査することからしか始まんねぇからな。 」
〃 「…それから 、ワンチャン相手が俺らを石化させた犯人かもしれねぇ 。 そしたら、俺が見つかって、石化する可能性もある。その時は必ず情報を伝えてから石化する。もし俺との連絡が途絶えたら、ゼノと千星…他の奴らは全員俺を見捨てて逃げな。 」
煙草を吸いながら、スタンは私に向かって真剣に話を進める。
正直、私は理解をしていない。
千星「は、…おい… 待って…スタン 、 ゼノ… 話に着いてけねぇよ 、 」
スタンが石化? 私たちはスタンを置いていく? …出来るわけ、ねぇだろ 、
この生活が、こんな形で終わりを迎えるのか。
今日は美しいほど太陽が綺麗に輝いている。
私はここから見る景色が大好きだ。
科学という好きなことをして、楽しそうにしているゼノが大好きだ。
そんなゼノを横目に美しい姿で煙草を吸い、微笑んでいるスタンが大好きだ。
…そんな生活を壊されるのは 、腹が立ってしょうがない 。
千星「 … なぁ 、1個聞いていいか 、 ? 」
スタンリー 「ん 、 質問なら受け付けてやんよ 。あんた困惑してそうだしね 、 」
千星 「… もし 、 その危険すぎる作戦が全部終わったら … 」
また 、 2人は 私を抱いてくれるよな ?
ゼノ / スタンリー 「 … ! 」
何を言っているんだろうか私は、 今はそんな話をするべきじゃない。
…だけど、これは私からの圧だ。
誰も欠けない、誰も見捨てない。
ここにいる全員で幸せになる、ハッピーエンドを迎えるのだ。
私は強い眼差しと、無意識な涙目で彼らを真剣に見つめた。
千星「…これだけでいい 、てめぇらが了承してくれんなら、その作戦に全力で協力する。 …約束できねぇんなら私は必死でてめぇらを止める。 」
頬が冷たい。
自然と目から涙が零れていた。
気持ちは不安でいっぱいいっぱいになっている。
けど、私はこいつらの期待にも応えたい。
ゼノ「… 当たり前だ 、 この作戦が長引いても、短くても 君の意思を尊重しよう 。」
スタンリー「 嗚呼 、できんよ 。 だから泣くなよ 、チセ 。 可愛い顔が台無しだかんね 、 」
2人はその場から立ち上がり、目の前にいる私の頭を撫で、涙を拭う。
思い出した、私は彼らと約束した。
何があっても離れないって、自ら離れたら殺してもいいって。
少しばかり嬉しい気持ちになり、口角が緩んだ。
千星「…ありがとな 、 ゼノ 、スタン 。 …んじゃ 、チンタラもできねぇな。 私は何をしたらいい ? 」
俯きがちだった顔を上げ、2人の目を見て微笑む。
私の目にはきっと、希望と未来の光が灯っていることだろう。
スタンリー「ん 、あんたは俺のかわりに ゼノの手伝いと護衛を頼む。 後は、ゼノの指示を電話持ってねぇ奴らに伝言。 あんたの持久力にかかってっかんね 、 」
ゼノ「おぉ、…こんな女の子に守られるほど僕は弱くもないが 、 スタン ? 」
スタンリー「体力が無いに等しいあんたじゃ無理だね 、今はあんたよりチセの方がよっぽど強いぜ ? あんたは俺らのリーダーなんだから、大人しく守られときな 」
新しい煙草を取りだし、火を付け、吸う。
それに毒ガスだと言って説教する。
そんな言葉を見事に交わしながら煽る。
なんとも平和な光景で、幸せな空間。
この生活を終わりになんてできるはずがない。
千星「 っくく … ちゃんと承ったぜ 、ゼノのお守りと護衛は任せやがれ 、 」
そっと、ポシェットの中にあるリボルバーと刀に手を触れる。
大丈夫、もう怖くない。
そう思いながら彼らから貰ったネックレスを大事に手に握った。
私はその作戦を遂行することに決めた。
( 数時間後 )
全員勢揃いでアタフタと準備を進めているうちに、もう夕方になった。
スタンは木や植物などと擬態できるようなスーツを身にまとい、マシンガンを持って太平洋側の森林に姿を消してしまった。
一応連絡は取れるのらしいが、何が起こるかわからないため、必要最低限に控えているらしい。
ゼノは今、実験室の中で薬品の整理や武器の修理など、様々な事を行っている。
私はそんな彼の隣に立ち、お願いされたことに従って仕事の手伝いをしている。
ゼノ「千星 、2列目の下から数えて3番目の瓶を持ってきてくれ。」
ゼノが科学をしているのを見るのは楽しい。
自分じゃさっぱり分からないが、少しでも役に立ててると感じると機嫌はよくなるものだ。
言われた通りに瓶を取り出し、彼の机へと置く。
… あと少しで夜になり、短期で終わるのか、長期になるのか分からない作戦が始まりの音を鳴らす。
私は彼と一緒にスタンの安否を願いながら、自分たちの仕事に集中をした。
△▼△▼△▼△
( 千空 side )
ゲン 「 なに 千空ちゃん着くなり 、 ライトに… 白い布 ? 」
アメリカに無事到着し、久しぶりの肉と凄腕シェフの作ったハンバーガーで腹を満たした。
夜になり、ちょうどこの虫たちが姿を見せる頃だろう。
大樹「そんなに夜に明かりをつけたら無視がよってくるぞ ? 」
千空「虫を呼び寄せてんだよ 。 走光性ある虫の何かが集まるかで、付近にあるもの が読める。 俺の読みが正しけりゃ_ 」
〃「ヨーロッパアワノメイガ… コーンが主食の蛾だ。 すぐ近くに大量のコーンがある…!!! 」
思ったよりもすんなりと先々が進んでいる。
これなら冬までにコーンの採取に間に合い、全人類を早く助け出す1歩になる。
…しかし、こんなにもサクサクと物事が進むものなのか 。
コハク「蝶か 、 美しいな … 」
ゲン「 いや 蛾よ ? 」
羽京「蝶も蛾も、人が勝手に呼び分けてるだけだもん 。 妖しい綺麗さがあるね 、誘 蛾灯だ 。」
こいつらの飯は穀物や衣類だ。
もし全人類石化してるっつーなら、こんな大量にこの種類の蛾がいるはずねぇんだが…
千空「… ! …コハク 、いや村の連中全員だ。 てめぇらそもそもこのタイプの蛾見たことあるか? 」
銀狼「 ?? 」
コハク「はっ ! 確かに言われてみれば初めて見るが 、蛾の種類など気にしたこともないな 。 」
蛾や蝶が美しく煌めき、飛び回っている。
… 俺らの光に誘惑されて_
千星「…こいつらのメシは穀物や衣類だ 。つまり人間様が滅びてから共倒れで相当減ってるはずなんだよ 。 」
〃「にしちゃ 、この短時間で集まった数、ち〜っと多すぎねぇか 。 コーンの大規模農園でもあんのかよっつうくらい_ 」
そうだ、何かが引っかかる。
3700年間コーンが自主的に育ち、枯れ、また育つ。
…こんなループを奇跡的に、それも大規模農園並みのコーンが繰り返しているとでも言うのか。
大樹「わはは! なんだ千空、深刻な顔をして! こんなに大勢復活させるんだから、コーンが大量なら最高にいい知らせじゃないかー!」
大樹の声が耳を支配する。
確かに、コーンが大量にあってそんなことは何一つないのだから。
ふと、ラボから顔を出し横を見る。
司の雰囲気がいつもと違う気がしてならねぇ。
あいつは、何をあんなに突っ立って考えてんだ。
司「 … これは _ 」
殺気 … !!!
司の野生の勘が働いている。
…猛獣か 、それとも 【 敵⠀】 か。
コハク「何だ、猛獣の類か ? 」
銀狼「この最強軍団なら、全然心配ないよぅ。 」
金狼「隠れながら言う台詞じゃないぞ… 」
松風「分かるのですか そのような 気が!?」
…敵は誰だ 、何だ 、石化の犯人か 、頭をぶん回せ 。
…いや、やはりここに関しては俺は理解出来ねぇ。
戦闘に慣れたやつらに、任せるべきだ。
司「…いや 、気なんてものは無いよ。 アドレナリン分解物の刺激臭などを判断しているんだとは思う 。 自分でもハッキリは分からないが_ 」
司や氷月などの戦闘者が戦闘IQというものを利用し、敵は何か、今から何をしようとしているのかを考えているだろう。
俺は、咄嗟の判断の後に行動できるよう、準備できる位置に身を隠す。
氷月「ちゃんとしている…敵は。 誘蛾灯に引き寄せられたのは、どうやら私たちの方だったようですね。 」
【 総員 ボートへ 伏せるんだ … !!! 】
勢いのある銃声と、仲間の悲鳴、そして硝酸と火薬の匂い。
これは … 敵意だ 。
千空「っ “、 !! 」
こちらに向かってきた弾丸をラボのドアで受け止める。
威力が強く、押し負けそうだ。
羽京「 マシンガンだ … !!! 」
銀狼「ひぃぃぃ ! 何なのそれぇぇ!!? 」
相手は銃を作り上げ、完全に臨戦態勢だ。
こちらの今の戦闘力じゃ勝てるわけが無い。
逃げるが勝ちである 。
龍水「ふぅん 、 なめるなよ 船乗りの操舵を … 」
〃「水の防壁だ … !!! 」
司の超反応と水飛沫による龍水の操舵で、何とか危機を去ることが出来た。
マシンガンという現代社会でも通用する戦闘力最大武器だ。
…これから俺らは、あいつら に立ち向かわきゃいけねぇのか。
??「 WHY DID THEY FIND OUT . 」
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( 千空だ〜!!! うぉぉ !!…はい、ええと アニメは1度終わっちゃったけど…これからこっちはアニメの場所に入っていきます!! あと少しでようやくタイトルの回収ができる…嬉しいよ\(^ ^)/ )
(千空と千星の関わりにも次回からご注目ください!! 読んでいただきありございました!次回もお楽しみに!! )
コメント
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超最高でした見てて鼻水垂らしました
今日の朝この作品に出会って面白すぎて、ぶっ通しで読ませて頂きましたぁ 続きがきになりすぎます!!! あ! フォロー失礼します👍!!(・ω・)b
来たァァァァァァ!! ほんとに応援してますぅ!