私は大きく1つ深呼吸してから玄関の鍵を開けて家に入る。
平凡だった『私』はこのドアを通った瞬間に変わらなければならない。
…ここでの私は聞き分けのいい子。
仮に文句があっても本音をいうことは許されない。
そう自分自身に言い聞かせ、ありきたりな生徒の仮面を剥ぎ取る。
『平凡』と言う言葉は可もなく不可もなく…
そんな言葉で…
どちらかと言えば『良くない方』で捉えられることが多いけれど
今の『私』からすれば、家にいる時が1番安心するというような平凡な家庭に憧れる。
…厳格な父に過保護な母。
そんな環境で育った私にはこの仮面が必要だった。
今の私に求められるのは両親が求める姿でいること。
『いつも任せてごめんね…』
そんな声がどこからか聞こえた気がした。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!