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抱えた幾つもの白詰草を束ねて結うと紡がれた冠に満足する。
「なぁ、見てろまーのさま!」満面の笑みで抱えた白詰草の冠を持って駆ける彼は何も無い所で足をもつれさせ盛大に緑と白の絨毯に身が沈んでしまった。
「ああ!!」悲痛の叫びと無惨な冠と悔しそうに噛み締めたその様子に思わず小さな溜息をつくと「マリア」一言掛けて頭に手を添えてわしゃわしゃと撫でる。
真ん丸に見開く紅玉の眼が此方を眺めながら「ここ、いっぱい生えてんだから……まだ作れるだろ?」そう言って1本また1本白詰草の花束が出来ていく。
満面の笑みで頷いて隣で結われた冠を眺めながら彼の髪に1本の四つ葉のクローバーを挿して「幸運。やるよ」とそのまま額にキスをひとつした。
1つドクンと恋の花を咲かせた気がしたのは随分先になってからだ。