テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
AZ

91
277
ユナ語尾にゃん&関係者再募集中
97
44
俺は、無駄に警察署内で待たなくてよくなり、内心ほっとした。
自分の恋人が酷い目に遭ってしまったことは、まだどこか他人事だった。
そして考えていたのは、このことが本当に不可抗力で起きたことなら自分は
彼女を責めるべきではないと──そんなことだった。
そして逃げるかのように交際をやめるというのも、卑怯な気がした。
渦中にいる今、結論を出すべきではないし、いつか自分たちがどのように
流れていくかは、時が解決してくれるだろう……そうも思った。
里穂の部屋に戻りスマホを見て時間を潰していたが、時計を見ると15時30分近くに
なっていた。
そういえば、今日から大相撲の九州場所が始まってたなぁ~と、思い出しちょうど
時間つぶしにテレビを見ようと思い、俺はテレビのスイッチを入れた。
電源が入ったらすぐにNHKにチャンネルを回そうと思い、リモコンに手をかけるも──
驚いたことにTikTokをやっている里穂の姿が現れた。
見ると、パソコンとテレビの端子にケーブルが差し込まれていた。
オフ会に行く前に見ていたのか? 帰宅後見ていたのか?
『なんだよ、これ』
警察へ一緒に行く前に、今回のあらましは聞いていて、そもそもが彼女の始めた
TikTokが事件の発端だったことは理解している。
だが、目の前の映像は、聞かされて抱いていたイメージからは大きく乖離していた。
媒体などは見慣れているし、きっと里穂が写っていたとしても普通の格好で見たなら、
それほど衝撃は受けなかっただろうと思う。
何が衝撃って──
今まで見たこともないセクシーなファッションで彼女が登場していたこと。
『こんなふうにTikTokをやっていたなんて聞いてない』
コメント
1件
読み終えました。第44話、心理描写がとてもリアルですね。主人公が「まだ他人事」と自分に言い聞かせる距離感、そして「卑怯な気がする」と逃げ出さない自分を律するあたり、すごく人間らしい揺れ動きが伝わってきました。 最後の──“今まで見たこともないセクシーなファッション”の彼女。聞いていた話と目の前の映像の乖離が、この先にどんな波紋を投げかけるのか。ここで切れるのが上手いなあ。次が気になります。