テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
よく晴れた、いちご学園入学式の日。俺は今日から高校生だ。俺は今まで散々女子に告白されてきたり休み時間に付きまとわれたりしていたが、たった一度しかない青春の高校生活だから女子に付きまとわれるのは嫌だ。なので俺はあることを思いついた。「マスクをしたら、俺の顔がわからなくなるんじゃないか・・・?」と。だから俺は少し息苦しいがマスクをして入学式に出ることにした。
「なぁ」
無事入学式が終わって、俺がぼーっと休み時間を過ごしていると、隣の席の男子に話しかけられた。彼はオレンジ色のサラサラしたきれいな髪で、目もエメラルドのような透き通った緑色だった。
「・・・なに?」
「なんで、マスクしてるん?風邪引いてるんか?それとも花粉?」
「そう、風邪を引いてしまって・・・ごほ」
俺は一旦誤魔化すためにわざとらしく席をしてみた。すると彼は目を丸くして更に俺にこういった。
「そうなん!・・・・あれ・・・あんたって、桃中学のさとみくんやろ??やっぱ超イケメンやなあ・・・!」
「え、なんで俺の名前知ってんの!?」
俺はお前が誰かしらないんだけど。この人関西弁話してるから大阪とかの人だろうか。もしこの人がこの高校に通うために大阪あたりから最近上京してきたのであれば、俺の名前は関西まで広がってることになる。それだったらやばいなあ・・・
「あんたは、どこ中学だったの?」
「おれは橙中学。相当有名人やったで。女子がわーわー騒いでたもん」
橙中学は桃中学の一つとなりの中学校だった。全然遠いところじゃなくて良かったと俺はひとまず安心する。
「まじか・・・」
俺が静かにそう相槌を打つと、彼は急にこんなことを言いだした。
「なあ、ちょっとだけマスク外してみてや!目元だけやなくて顔全体見てみたい」
「!!??」
急に「素顔を見せろ」と言われて俺は声にならない変な声が出る。そういえば、俺マスクしてるから全然誰からも俺を気づかれなかったのになんでこいつには気づかれたんだろう?
「・・・普通に無理」
「なんで!?ちょっとぐらいみせてくれてもえーやん!!」
「風邪を移してしまったら大変じゃん。だから無理!」
俺がきっぱりと断っても、まだ彼は「見せてやー!」「はずしてや!」と俺に訴えてきた。
「・・・実はさ、さっきは風邪って言ったけど、実は顔を隠すためにマスクしてんの。だから無理」
俺は彼の耳元でこそっと、風邪は嘘だということを打ち明けた。すると彼は「やっぱりね」というような、「はじめから分かってましたよ」と言いたげな顔をして、少し大きな声でこういった。
「やっぱそうなんや!えー、やっぱりさ、中学の時に女子からまとわりつかれてたから?てか、声もめっちゃええなあ!俺でもドキッとしたわ!」
俺は彼の言葉に疑問を持つ。俺って声もいいの?ていうか、声がいいってどういうことだよ。
「んー、じゃあ、誰もおらへん場所やったらええってことやな?」
「え・・・まあ、そういうこと?」
俺が疑問に思いながらもそう返すと、彼は大事なことを思い出したかのような顔をした。
「そういえば、おれ、自分の名前言ってなかったわ」
さっきまで俺の顔を話していたのに、今頃気づいたのか。「なんか騒がしいやつだな」と俺は心のなかで少し笑いながらも呆れる。
「おれの名前はジェル!よろしくな!ちなみにおれは大阪出身で、中学から東京に引っ越してきたんや」
「へえ・・・もう知ってるだろうけど、俺はさとみ。よろしく〜」
彼―――ジェルが自己紹介をしたので、俺も一応自分の名前を言ってみた。するとジェルは緑色のきれいな目をキラキラさせて、
「なあ、さとちゃんって呼んでもええ?」
と、俺にあだ名で呼ぶ許可を取ってきた。「さとちゃん」???なんだそれ???
「え。。。なんで?普通にさとみじゃだめなん?」
「だめ!なんかさ、さとちゃんって呼ぶと特別感湧くやろ?俺のこともジェルちゃんって呼んでええから!」
と言い、俺の方に近づいてきた。
「呼ばねーよ」
俺はそうすぐにツッコミを入れ、「ジェルちゃん」と呼ぶことを拒否した。
「えぇ〜!まあ、おれをジェルちゃんって呼ばんくてもおれはさとちゃんをさとちゃんって呼ぶからな〜!な、さとちゃん!」
ジェルは不満そうな声を上げたあと、「さとちゃん」の連発の言葉を言われ、俺はもうどうでも良くなってくる。
「あーはいはい。どうぞご勝手に〜。俺はジェルちゃんって呼ばねーからな―」
俺は机に実をつきながらわざと不機嫌そうな表情をしてそういうと、ジェルはにっこりと笑って、
「なにはともあれ、これからよろしくな〜、さとちゃん♡」
と言った。「さとちゃん」のあとに無駄にイケボでハートを付けてきたのが少し腹たったが、そんなことはどうでもいい。これから始まる高校生活は、騒がしくなりそうだなと思いつつも、楽しい生活になりそうな、ワクワクした気持ちが心の隅にあるような気がした。