気配がしたのは一瞬。
1人…いや、2人。
私とそんなに背丈の変わらない人だと思う。
気配に、色があった。夢の中の緑色と水色。
私の濁った色とは違う、太陽のように輝いた2色。
そうだ、あれは夢じゃないかもしれない。
輝いた色が窓の外に───…窓の外に期待を抱えて、目線をやる。
…何も、ない。花畑が見えるだけ。
やっぱり、夢か。私の家の周りは花畑が一面に広がっている。水色も緑色もどこにもない。
少し窓を開けよう。食パンをトースターにセットしてから、窓に手をかける。
視界の端で、何かがキラッと光る。
花畑に輝くものなんて…
「───海、だ…。」
窓に近づくまでは気が付かなかった。花畑の奥には海があったんだ。…やっぱり、夢じゃなかったんだ。
海面が太陽の光を乱反射して、キラキラ輝いているんだ。宝石のように、とどまらず輝いて。
じゃあ、緑はどこで見たんだろう?
家の中にも、花畑にも、それっぽい緑はどこにもない。きっと、どこかにあるはずなのに。
『あ───。』
「えっ?」
誰かの声がして振り返るも、誰もいない。人の声がした気がしたのに。低くて、心地の良い…。
気付けば、食パンはいい焼き色をして顔を覗かせていた。
人の声じゃなくて、パンが焼けただけか。
私の気のせいか。
「雨栗…。」
ばか…