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若井の膝に頭を置いたまま、腕で顔を覆って泣いた。しゃくりあげてしまうほど…
二人の戸惑いが伝わってくる。
若井「元貴…」
若井が頭を撫でてくれる。
暫く泣き続けて、その間、二人は俺が落ち着くのを待ってくれてた。
起き上がって座り直す。
大森「…っ…ん…っす…ん…」
藤澤「落ち着いた?」
俺は無言で頷く。
若井「話せる?」
ここまでボロ泣きしといて「言えない」は、無いよね。二人は許してくれるかもしれないけど…でも…言ったら…
大森「……言ってスッキリしたい…でも、二人は俺の側に居なくなっちゃうかも…」
素直に不安を口にできた。
藤澤「っ、そんなわけないじゃん!何があっても僕は元貴のそばにいるよ。」
若井も力強く頷いてくれた。
大森「は…そうだといいな…」
自嘲気味に響く俺の言葉に、自分自身が嫌悪感を覚えた。
この感情が限りなく独りよがりで、受け入れてもらえる可能性なんて無いのに、二人には逃離れていけないように予防線を張って…俺って…最低…
大森「俺、分かんなくなってたんだ。二人に対する気持ち。メンバーで、友達で、家族以上で…って。二人が大切なんだって気持ちを歌にしようと思って。実際、溢れるくらいの言葉が出てきた。でも、どれも違和感があって…なんなんだろうってモヤモヤしてて…分かんなくて…気付かないふり…してたのかも。気付きたくなかったのかも…二人が…好きだって事に…」
若井、藤澤「…。」
一気に喋る俺の言葉を、二人は黙って聞いてくれた。
大森「俺、女の子好きなんだよ。今までの恋愛感情も女の子に向けてのものだった。家族とか、メンバーのそれとは違ってた。だけど…気付いちゃったんだよ…二人といる時、ここにある感情がソレと同じ物だって。」
俺は拳を胸に当て、俯きながら絞り出した。怖くて二人の顔を見れなかった。また自然と涙が零れ、自分の服を濡らしていた。
若井「元貴…」
若井は俺の顔に手を添えて自分の方を向かせた。指で涙を拭うと、
若井「ありがと」
と言った。
大森「へっ?」
自分でもビックリするくらいの素っ頓狂な声が出た。
若井「俺も、元貴の事好きだよ。」
藤澤「僕だって元貴の事好きだし。」
と、今度は涼ちゃんが俺の頬に手を添えて自分の方に向き直させる。
藤澤「僕たちが離れていくくらいの話って言うから怖かったけど、安心してよ。嬉しい話だったよ。離れてなんて行かないよ。」
若井「そうだね。」
二人のその反応に、俺は感情を爆発させた。立ち上がって喚き散らした。
大森「…っ!ねえっ!何なの!分かってんの!?好きだって、メンバーや友達よりちょっと多く好きとかじゃないんだよ!っ…キス…したいっ、とか、あ、の、エッ…チ…し、したぃ…とか!そういうヤツだよ!…キモいでしょ!引くでしょ!?…ねぇ…っ…言わせないでよ…」
もう、最後は消え入りそうな声だった。
肩で息をしながら止まらなくなっている涙を拭う。
二人が立ち上がるのが分かった。顔を上げて身構えると、そのまま若井に口付けられた。
大森「…!?…」
藤澤「あ、若井!」
抗議の声を上げた涼ちゃんが若井の顔を押しのけてキスしてくる。
大森「んっ!?、んんっ!?…」
何が起こっている?
大森「…っは、」
唇は開放されたが、思考が追いつかない。
若井「と、それからこの先もヤりたいんだっけ?」
藤澤「ここじゃ無理だから僕んちに移動しようか。」
大森「っと…ちょっと…まっ、て…待って……色々追いつかない…何…」
イヤ、ホントに…
若井「シないと分かんないんでしょ?俺の気持ち。」
藤澤「言葉だけじゃ伝わんないんだよね?」
えっ…何か…怒ってる?
大森「あの…何か…怒ってる…の?」
若井「疑ってるんでしょ?俺が元貴の言う意味での好きを持ってるか。」
大森「や、信じる方が無理じゃない?俺も今日…さっき気付いたし。えっ?…若井はひょっとして…あの…前から俺の事…?」
若井「いや、俺も気付いたのはさっき。ただ、思い返してみると、元貴への感情ってそう言うことなんだなって分かった。」
藤澤「僕もそうかな。元貴が言葉にしてくれたから、そっか!ってしっくり来た感じ。」
何…それ…
藤澤「まだ疑ってる?これでも?」
そう言うと涼ちゃんは俺の腰を抱き寄せ、自身を押し付けてきた。
大森「あっ…涼ちゃっ…」
すると若井も後ろから抱きしめながら押し付けてくる。思わず身体が跳ねる。
大森「…若井…」
二人は左右の耳それぞれに唇を寄せて、
藤澤「僕んち、行こうね。」
若井「いっぱい触らせて。」
大森「…っあ!…それやめてっ!」
藤澤「耳弱いんだ〜。」
若井「元貴は耳が良いからね。」
なんて言いながら、俺から離れるとサクサク片付け始める。
ん…?
大森「ね…あの…さ、三人で…スるの?」
二人が俺を好きだって思ってくれてるのは分かった。…でも、二人は?
藤澤「えっ!?そうでしょ?…違うの?若井?」
若井「えっ?するでしょ。三人で。」
大森「あ、あの、二人は、いいの?それで。」
藤澤「??…!あぁ!僕と若井はそれぞれどうかって話?僕、若井とも出来るよ。若井は?」
若井「もちろん、俺もだよ。」
そう言うと、二人は目の前で濃厚なキスを見せてくれた。
そうか…。と、妙に納得した。お互いがお互いを大切に想ってるのか。
藤澤「元貴、僕たち変かもしれないけどさ、そんなの僕たちが分かってて、僕達が良ければ正解でしょ?」
その言葉にハッとした。そうだった。俺たちは、俺は、それを軸に生きてるんだった。
大森「そうだね…そうだったね。」
藤澤「さっ、片付けよ。」
…ん?…
大森「涼ちゃんち…行くの…?」
藤澤「え?言い出したの元貴でしょ?」
大森「や、あの、それは…二人に俺の気持ちの本当の所を分かって欲しくて…だから…あの………」
若井「元貴…」
若井が急に深いキスをしてくる。
大森「…っん、…ふっ…ん…はっ、ぁ…」
唇を開放した若井は、
若井「今更止まれないよ…ね、シよ。」
縋るような甘えた声。普段滅多にそんなことしないからズルい。
結局二人に促されてスタジオを後にした。