「涼太くん、学校やでー!」
「分かってるってば…」
「だって久々やろ?お友達さんも嬉しかろうなぁー」
「…だといいけど…」
「ん?何か言った?」
「ううん、何でもない。」
「涼太くん、これお弁当。」
「わぁ…目黒さんありがとう…!」
「ふふっ、そんな嬉しい?」
「うん!すごい嬉しい…」
「これからは3人の誰かが必ず作ってくれるから。」
「やった…!」
「涼太くん嬉しそー!」
「あ、ラウールさん。うん、すごい嬉しい。」
「僕も作ってあげるからねー!」
「うん、ありがとう。」
「ほら、はやくせんと遅刻するでー」
「うん。…いって、きます。」
「「「行ってらっしゃい!」」」
挨拶をしたら返ってくる、そんな当たり前がすごく嬉しくて。少し緊張しながら学校に向かった。
「よ、涼太。」
「あ、翔太。おはよう。」
「はよ。体調は?」
「良くなったよ。大丈夫。」
「…そ。よかった。」
「…ね、翔太。」
「…ん?」
「あの時はごめんね。」
「…いーよ。俺も言いすぎたし。俺は涼太が元気ならそれでいい。」
「…ありがと。」
「…っ、何か照れんな。」
そう言って顔を少し赤くさせる翔太に笑いかけると、翔太も笑い返してくれた。すると後ろからとんとんと肩を叩かれる。
「…?」
「舘さん!おはよー!」
「あ、みんな。おはよう。」
振り返るといつものみんながいた。
「舘さんの家に行ったんだけどいなかったから。学校行ったんだーって思って嬉しくてみんなでダッシュで来た!ほら、阿部ちゃん死にかけー」
そう言う佐久間の後ろには、息が絶え絶えの阿部がいた。
「…阿部、大丈夫?」
「大丈、夫…!」
「…大丈夫じゃなさそー…」
「阿部がこんな状態で言うのも何なんだけど…昼休み、話があるんだ。」
「おー?何だろ?」
「とりあえず了解。今日はみんなはやめに来るようにしよっか。」
「はーい!」
そんな会話をしているうちにチャイムがなり、それぞれ自分の教室に戻った。俺は昼休みに話す内容を頭で整理しながら授業を受けた。
「…んで、話したいことって?」
「…えっと…」
待ちに待った?昼休み。みんなお弁当を食べ終わったところで翔太が話を切り出す。正直、どうやって話だそうか迷ってたからこれは助かった。
「…えと、朝さ、佐久間が俺が家にいなかったって言ってたじゃん?」
「…?言ったねー?」
「…それって俺が引っ越したからいなかったんだよね。」
「「「「「…え!?」」」」」
「舘さん引っ越したの!?」
「うん。」
「何処に?」
「…えと、その…」
「ゆっくりでいいよ。」
「うん。…その、病院の先生の家に…お世話になることになって…」
「「「「「よかったぁ…!」」」」」
「…え?」
今度はこっちが驚かされる番だった。みんなは嬉しそうな顔をしている。
「…何で、そんな嬉しそうなの?」
「だって舘さんが家で1人じゃなくなったってことでしょ?すごいいい事だよ!」
「今日もお弁当だったもん!いつも購買のパン1個とかだったのに!いつも心配だったんだよ?そんだけで足りるのかなぁって。」
…思っていた以上に心配をかけてしまってたらしい。すると、翔太がはっとした顔で俺の方を向いた。
「そういえば…その、いつもお金を渡してくれてたおばさんは?」
「…あぁ…それはね、」
あの後おばさんに3人と住むって話をしたら、あっさりと了承してくれた。元々あんまり俺のことが好きではないようだったから、親権だけはそのままにしておくらしいが、お金はもう渡さないし、援助もあまりしないらしい。形だけしとくみたいな感じだ。
「…ということになった。」
「…そっか。」
「まぁあの御三方ならよくしてくれるよ。今の舘さん見てたら分かる。」
「…うん。」
「涼太ー、今度遊びに行っていいー!?」
「え?」
「だって、俺もまた目黒さんとかラウールさんと話したいもん!涼太が家ではどんな感じなのか聞きたいしー!」
「それ、俺も気になる。」
「俺もー!ね、舘さんいい?」
「3人がいいよって言ったら何時でもいいよ。」
「やったー!楽しみだねぇ!」
みんなが楽しそうにしているのを見て、自然と笑顔になった。
「あ、チャイムなった。授業遅れるよー」
「やばっ、みんなまた放課後ねー!」
「うん、またね。」
そしてみんなそれぞれの教室に戻った。
コメント
1件
ゆり組❤️💙 お互い照れてるの可愛い🤭