コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
◇◇◇◇◇
王国付近のヘルサイズ拠点にて。
紅蓮頭:「アズワド様。ただいま戻りました。」
アズワド:「おー、お前か。ちょっと待ってろ。
で、どうするよ?」
アルビル:「まあ、慌てるな。
俺もまだ国軍は動かせん。
王都でことを起こすのはまずい。」
アズワド:「じゃあ、次に王都から出る時を待つしかねえな。」
アルビル:「そうだな。
ただ、俺もバレるとまずいからな。
早めに段取りをつける。
予定がわかったら、連絡する。」
紅蓮頭の男が戻った時には、すでにアルビル第一王子と何やら話をしている最中であった。
アズワドに呼び出されたアルビルは、少数の近衛兵を連れて、巡視の名目でヘルサイズ拠点に来ていた。
アズワド:「オーケー。例の女については、こちらでなんとかするからよ。」
アルビル:「わかった。もう失敗するなよ。」
アズワド:「ああ、前回は油断したからな。
今度は幹部である俺様が行くからよ。
万が一にも失敗はあり得ねえよ。」
アルビル:「あー、頼むぞ。」
一通り、アルビル王子との話は終わったらしく、紅蓮頭の男に話を移す。
アズワド:「おー、待たせたな。
で、例の女はどうだった?」
紅蓮頭:「はい、例の女と少年は当分の間、王城に居を構えるようです。
先程、ギルドでのやり取りを確認しましたが、ギルド支部長と何やら話しておりました。
その後、例の女はAランクに、少年はCランクに昇格しています。」
アズワド:「なんだそりゃ。
そいつら、Eランクだったよな?」
紅蓮頭:「はい、間違いなく。」
アズワド:「なんらかの取り引きがあったってことか。
よくわかんねえが、まあ、殺るだけだな。
王子は何か知ってるか?」
アルビル:「いや、俺も王城に住むことすら初耳だな。
そうだな。俺もちょっと会っておくか。
なんかわかったら、連絡する。」
アズワド:「おー、そうしてくれ。
まあ、俺がいるからには、イージーゲームだよ。この国も大国になっていくからよ。
そんときゃ、王子が国王で、俺が大将軍ってわけだ。」
アルビル:「その話はここだけの話だ。
あまり、言うなよな。」
アズワド:「おー、そうだった。わりいな。
お前ら、この話は聞かなかったことにしてくれよ。
じゃあ、お前は引き続き、例の女を監視しておけ。順調に進めば、俺も大幹部よ。そんときは、お前も幹部にしてやるからな。」
紅蓮頭:「はい、ありがとうございます。
承知しました。」
◇◇◇◇◇
ところ変わって、ドルアド帝国・エドワーズ辺境伯領都にて。
ときは少し遡って、その日はエドワーズ辺境伯三男リオの告別式が行われていた。
リオが領都を出発して間もなく、森で魔物に襲われ馭者のマルクスのみが帰ってきたことがニュースとなり、それから魔物の森の捜索が行われていた。
名目は捜索だが、実際は死体の確認である。
だが、捜索の甲斐なく死体が発見されなかったため、捜索は1週間で打ち切られ、魔物に襲われた場所から推測し、リオは魔物に喰われてしまったと結論づけられた。
辺境伯は、帝国に対し戸籍抹消の手続きを取らねばならず、形ばかりの告別式が執り行われているのであった。
とは言っても、貴族の告別式であるため、通常よりも大きな形で領都民も参列していた。
喪主のエドワーズ辺境伯より告別式の挨拶があった。
「みんな。今日は我が息子であるリオのために参列いただき感謝する。
13歳と言う若さでこの世を去ったリオは残念であるが、これも運命である。
生まれ変わって、幸せな人生を送ってくれることを祈っておる。」
これをリオが聞いたら、お前に祈ってもらわなくても、幸せになってるわ!って言いそうだけど……。
今となっては、リオにとって実の母親への仕打ちも含めて、この家族全員には恨みしかない。
案の定、この葬儀の中、家族も含めて誰もリオの死を悲しんでいるものはいない。
唯一仲の良かった領民の一人を除いて……。
このあと、リオの戸籍は完全に抹消された。
◇◇◇◇◇
冒険者ギルド『ハンターズ』大陸本部にて。
幹部:「ユウサック総帥。
ちょっとお知らせしておきたい情報が。」
ユウサック:「ん?なんだい?モグモグ。」
幹部:「はい、冒険者登録から1ヶ月足らずでAランクに昇格した者が出ましたので、一応念のために。」
ユウサック:「ほぅ。それはすごいねぇ。
あ!これ食べる?」
幹部:「はい、いただきます。」
ユウサック:「で、どんなやつだ?」
幹部:「モグモグ、ゴクン。
はい、17歳の女性でリンドウ・ササキというものです。
固有スキルがサムライという聞きなれないものでして。
その女性は、先日に単身でAランクのクロムジャイアントサイクロプスを無傷で討伐しています。
また、ヘルサイズ紅蓮頭をこちらも無傷で瞬殺したとのこと。
闇懸賞金は現在1千万ペロです。」
ユウサック:「ほぅ。さらにすごいねぇ。
そんなやつが野に埋もれていたとは驚きだねぇ。素性はわからんのかい?」
幹部:「はい、突然現れたようで、過去には情報はありません。
ただ、この女性は主人である少年に同行しており、現在はその少年と2名のグループで活動しているようです。」
ユウサック:「はぁ。余計にわからんねぇ。
その少年の素性は?
あ!もう一個食べる?」
幹部:「はい。モグモグ、ゴクン。
その少年は13歳のリオ・ルナベル。
こちらも戸籍上にそれらしい情報は見当たりません。
この少年も、女性と同じく冒険者登録から1ヶ月足らずですが、現在はCランクになってます。
剣術の腕はそれほど高くないようですが、2属性持ちの剣士だそうです。
固有スキルはわかりませんが、おそらく、魔導士か魔導剣士あたりではないかと。」
ユウサック:「なんじゃそりゃ。
えらいコンビがいたねぇ。
で、今どこにおるん?」
幹部:「はい、サザンオール王国の王都にいるようです。」
ユウサック:「そうか。グレコのところだねぇ。」
幹部:「そうです。この情報はグレコからで、例の計画の協力を要請して賛同を得たと。
元々、彼らの情報は弟のバルカンが出所だそうです。」
ユウサック:「ほぅ。バルカンか。懐かしいねぇ。
あの兄弟は世話が焼けたからねぇ。
まあ、そいつらはこっちについてるんならいいんじゃないの。その分なら、遅かれ早かれ会うことになるだろうからねぇ。覚えとくよ。
それより、例の計画については、そろそろ、グレコのところにSランクを派遣しておくかねぇ。あそこはうちも戦力が薄いからねぇ。」
幹部:「そうですね。
それじゃ、人選して派遣します。」
ユウサック:「ん。そうしてくれる?
グレコと揉めない奴で口の堅い奴ね。
しかし、ヘルサイズも懲りないねぇ。
それとも、サザンオール王国の拠点幹部が馬鹿なのかねぇ。」
幹部:「たぶん、後者でしょうね。」
ユウサック:「だろうねぇ。
あそこは小さいくせに動きが派手すぎるよねぇ。まあ、よろしく頼むわ。
あ!これ、持ってっていいよ。」
幹部:「はい、ありがとうございます。
承知です。失礼します。」
バタン!
ユウサック:「へぇ。面白いルーキーが出てきたねぇ。」
◇◇◇◇◇