knkzです。🔞ではありませんが、匂わせる描写はありますので、苦手な方はお控えください。
『』叶
「」葛葉
叶side
『・・・ん』
目が覚めて時間を確認しようと携帯に手を伸ばした時だった。
『・・えぇ?!?!』
思わずデカい声を出してしまった。そのせいでもちろん隣に寝ている葛葉を起こしてしまった。
「・・んだよ朝から、、、はぁ?!?!」
目を覚ました葛葉も僕の姿を見た途端、同じく大声をあげる。
「おま、、え、え?!、俺?!」
『・・僕もわかんない、なにこれ、、 』
そう、朝起きたら僕と葛葉の身体が入れ替わっていたのだ。漫画みたいな展開だが、現実に起こるとこんなにも奇妙なものなんだと妙に冷静に考えてしまう自分がいる。
「・・なぁ、なんかしたっけ、?」
『いや、特に、、まぁえっちはしたけど』
「っ!言わなくていい!!」
僕の姿で顔を赤くして布団にくるまる葛葉を笑いながら、とりあえず今日1日どう過ごすかをまだ寝ぼけている頭で考えはじめる。
『・・今日さ、別だったよね』
「・・ヤバい」
『・・どうしよう、でも言う訳にもいかないよね』
「ん、、てかまず信じてくれないだろ」
『・・だよね、、』
こんな時に限って別々な収録スケジュールであることを恨みつつも、朝ごはんを食べながらお互いの予定を確認して、今日1日なんとかお互いになりきろうという話になった。
『じゃあ、行ってくるね、葛葉。いや、叶。』
「あぁ、俺も、あ、僕も行ってくるよ、葛葉。」
まだニヤニヤして若干余裕のありそうな僕の姿の葛葉と別れて僕はタクシーに乗り込んだ。
確かに今日は僕の方がハードルが高い。なぜなら今日の葛葉はまさかのコラボ案件だったからだ。僕の方も案件ではあるが僕1人でやるものだ、多少おかしくてもごまかしがききやすいだろう。
『・・はぁ、よりによって、、』
タクシーの後部座席で思わず溜息をついてしまう。そんな僕をタクシーはスムーズに現場に運んで行く。
スタッフ「葛葉さんお疲れ様です!」
葛葉マネ「遅刻しないの珍しいですね」
『いやいや、、コラボなんで、、』
できるだけ葛葉っぽく振る舞うようにしながら僕は案内された控え室に入る。
?「あ、おつかれさまですー」
『っ!お疲れ様です!』
部屋に入るとすでにコラボ相手が座っていたのでついビクッとしてしまう。
?「葛葉さん、原稿見ました?」
『いや、まだあんま見てないっすね』
?「www 結構やばいと思ってますわたくし」
『まじっすか、委員長がそう思うならやばいかも』
そう、何を隠そう、今日の葛葉のコラボ相手は委員長なのだ。まぁ僕もよく知っている相手なのは有難いが、委員長の観察力、考察力、そして何より我々くろのわとも何かと仕事の多い相手だ。
気を取り直し、一度トイレに向かう。トイレの鏡を見てもやはりうつっているのは紛れもなく葛葉だ。
・・俺って言わないと、、僕、葛葉みたいにポンポン言葉出てこないからなぁ、、いや、でも今頃葛葉も僕になりきって頑張ってるはず。なんとしてでもやりきらないと、、
今日は文房具の案件配信と聞いている。とりあえず当たり前に事前資料は読んでないから、さっさと部屋に戻って資料を読もう。
(控え室にて)
『・・うーーん』
委員長「どうしました?葛葉さん」
『あ、いやっ、俺普段文房具とかあんま使わねーなと思って』
委員長「確かに最近もう使わないですよねー、あ、でもわたくしはイラスト描くからまだ使う方かも」
『ぼk、俺まじで絵も字も書かないからまじで使わないっす』
委員長「あはは!葛葉さんってほんとは一人称僕なんですか?」
委員長は笑いながらそんなことを言う、もちろん冗談で言っているのだろうが、今の僕は心臓が止まるくらいビビってしまう。
『バレましたねー育ちが良いのが』
委員長「あ、そうか、名家ですもんね吸血鬼の」
委員長はまだ笑っている。
・・良かった、バレていなそうだ。
スタッフ「月ノさん、葛葉さん、そろそろお願いします!」
スタッフに呼ばれ部屋を出る。
葛葉side
・・やばい、やばすぎる。コラボじゃないだけまだマシかと思ったが、よく考えたらあの完璧人間の叶になりきるって相当やばいことだぞ、、できる気がしねぇ、、
叶マネ「叶さんおはようございます」
「あ、おはようございます」
俺は若干下を向きながら叶マネに着いていく。
叶マネ「叶さん、なんか今日疲れてます?」
「へっ?!・・いや、そんなことないですよ」
叶マネ「ほんとですか?なんか口数少ないなと思って」
「あ、ちょっと考えごとしてました」
・・おいおい、叶いつもどんだけマネと喋ってんだよ、、やめてくれよ、、
控え室に案内され、椅子に座る。叶マネによると、まだ時間は30分程度あるようで好きにすごして良いらしい。
叶マネ「あ、叶さん、これいつもの置いときますね」
そう言うと大量の水のペットボトルが俺の前に並べられる。
「ありがとうございます」
・・まじかよあいつこんなに飲むの?!やばすぎるだろ、膀胱破裂すんだろこんなの、、
叶マネはスケジュールの確認をして部屋を出ていく。俺はポケットからスマホを出す。
(メッセージ画面)
「やばすぎ」
『いやこっちもやばいよ』
「いいんちょ、気づきそう?」
『今んとこまだセーフっぽいけど、、』
「お前まじで水飲みすぎ。どーすんだよこんな水もらって」
『www 僕だって高千穂のカフェオレ3本も貰ったよ』
「おい交換してくれ」
『こっちのセリフだよww』
叶も叶で大変らしい。そりゃそーだ、あいつの横には多分今も委員長がいる。よりによって委員長ってのがな、、勘鋭そーだし、、
・・・
スタッフ「お疲れ様でしたー!!!」
「ありがとうございましたー」
スタッフ「叶さん、結構プライベートでもシャンプーこだわってるんですか?」
「あー、そんな詳しくないですけど、行ってる美容院で買ったりしてます」
スタッフ「へー!確かに美容院って売ってますもんね」
スタッフに振られたシャンプートークをなんとか交わしながら足早に控え室に戻る。今日叶はシャンプーの案件動画撮影だった。ただ俺は叶と一緒に住んでいるから、あいつがどんなことしてるか大体わかる。シャンプーの種類も、ドライヤーの乾かし方も、ヘアオイルの付け方まで。本当にこの案件でよかった、、、
叶マネ「叶さん!」
「は、はい?!」
急にドアを勢いよく開けて入ってきた叶マネにビビって声が裏返ってしまう。
叶マネ「あ、良かったまだいた、、来週のこのスケジュールなんですけど、、」
叶マネからスケジュールの調整について話される。家のパソコンを見てからまた返事をすると俺は返す。
叶マネ「わかりました!じゃあその方向で、、あ!そういえば、葛葉さんの件ってどうなったんですか?」
・・は?葛葉さんの件?なんだそれ、聞いてないぞ俺、、
「えっと、なんでしたっけ?」
叶マネ「USJですよー葛葉さんを誘おうかなって昨日言ってたじゃないですか」
「あーーーまだ会えてないから確認できてないんですよ」
叶マネ「そうなんですか、もし行くことになったら教えてください、買ってきて欲しいグッズあって、、」
「わかりました」
・・あぶねー、おいおい聞いてねえよそんなの、、あいつUSJ行きてーのな、今日帰ったら聞いてみるか、、
叶マネとも別れタクシーに乗る。
「・・あぁ、、疲れた、、」
運転手にも聞こえないほどの小声で溜息をつき、自宅に戻る。
叶side
委員長「気をつけ、着席!以上月ノ美兎とー」
『葛葉でしたぁー!』
スタッフ「お疲れ様でしたー!!!」
・・なんとか終わった、途中結構やばかったけど、とりあえず終わった、、良かった、、
委員長「葛葉さん、お疲れ様でした!」
『委員長こそありがとうございました』
委員長「なんか今日めっちゃ丁寧じゃないですか?笑」
『え?そうっすか?あんま意識してないっすけど』
委員長「なんか変な言い方ですけど、叶さんみたいな感じ?最近わたくしがくろのわと絡むのが多いからですかね」
『叶聞いたら怒りますよ、こんなんじゃないって』
委員長「そっか、でもなんか一緒にいる期間が長いと似てきたりしますもんね」
『委員長もあるんすか、そーゆーの』
委員長「わたくしの場合は同じ人の配信見続けてると、ちょっと口癖うつっちゃうみたいなのあります」
『あーでもちょっとわかりますね、それ』
委員長「こないだひまちゃんと長い時間いたんで、なんかこう、あのほんわか感が若干うつったというか」
『ござござ言ってたんすか?』
委員長「それはバカにしてるだろww」
無意識に核心を着く委員長の言動にもはや感心しながらなんとか葛葉っぽく返事をしてやり過ごす。
委員長とも別れ、葛葉マネとちょこっと話してタクシーに乗り込む。葛葉から聞いてはいたが、葛葉マネは本当に最低限しか話しかけてこない。だから逆に今日葛葉は僕のお喋りマネの相手大変だったんじゃないだろうか。焦りながら頑張って話す葛葉を想像して僕は笑いそうになる。
ガチャガチャ
『ただいまーー』
「あ、おかえり」
『「やばすぎ!!!!!!」』
顔を見合わせるなり同時にハモってしまう。
葛葉は僕の姿でいつものジャージを羽織り、ソファにどかっと座っている。
「お前大丈夫だった?委員長」
『いやまじ危なかった、もしかしたら若干バレてたのかも』
「え?」
僕は委員長との最後のやりとりを葛葉に話す。
「いやーたしかに委員長だったらありえるな、、」
『そうだよね、こんなことあるわけないって決めつけなさそうだもんね』
「てかお前USJ行きたいなら先に言ってくれ」
『あ!!忘れてたそれ、誰から聞いた?笑』
「お前のマネだよ!!」
『www』
「帰ろうとしたら急に、そういえば葛葉さんの件ってどうなったんですかー?って言われて、もう頭真っ白よ」
『ごめんごめんwww』
「んで、行くなら連絡ほしいって。買ってきて欲しいグッズがあるとかなんとか言ってたわ」
『強欲だな、わかった』
僕の姿の葛葉と、葛葉の姿の僕がお互い大笑いしながら今日1日の思い出を語る。
『でもさ、地味にすごくない?多分バレてないの』
「いやすげーよ、てかお前のやつシャンプー案件だったじゃん?だから良かったわ」
『あぁ僕の使ってるやつとかわかるからってこと?』
「そうそう、全部答えてやったわ」
『すごw 理解王じゃん』
(続く)