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「ぺいんと、もう暗いから帰りな」

げんぴょんが買ってきた夕飯を食べて、レウクラウドさんが作ってくれた不思議でおいしいお菓子を食べて、色々あって疲れたのか眠くなった頃、らっだぁにあやすように話しかけられる。

「やだ…まだ帰んない…」

「ふは、眠くて言動がほんとにガキになってる。また今度ね」

「……今度って、いつぅ…?」

「今度は今度だよ」

森の端まで送ってあげるからと抱きかかえられ、玄関の扉を開けた所で涼しい風が肌を撫でる。だって、今日このままお開きになってしまったら次をどうやって作る?らっだぁは俺を傷付けまいと今日我慢しただけであって、また会いたいなんて思っていないんだ。きっと。俺が架け橋になってあげなくちゃいけないのに、俺がらっだぁにしてあげられることはそのくらいしかないから。なのにらっだぁはお構い無しに帰り道を進んで行く。

「眠いんでしょ。お迎え来てくれるように伝えてあげるから大人しく帰りな?」

「やだぁ…ぐちつぼさん…」

「……またな、ぺんさん」

「ぺいんと、こっち向きな」

「ん…?」

らっだぁの肩に乗せていた顔を上げ、らっだぁの目を真正面から見る。片手で前髪をあげたらっだぁに額を合わせられ、まずいと思ったときにはもう遅かった。

一瞬まばゆい光が広がり、目の前が晴れた瞬間にはぐにゃりと視界が歪む。

「うっ…!らっ、だ、やだこれ…!」

「早く寝ないとその気持ち悪いの続くから。睡眠の魔法だから目を閉じれば寝れるでしょ、ね?」

「うぐぅ〜〜… 」

俺が頑張って抗っているというのにらっだぁの顔は穏やかで、少し後ろから着いてきているみんなも何も言わずに見守っている。わかってるよ、俺がでしゃばるべきじゃないって。でも、このままは嫌だ。みどりくん達は悪い人じゃなかった、ちょっと価値観が違うだけだった。このままじゃみんな幸せになれない結末になってしまう。

「らっだぁ、人間の子供にその魔法は酷だよ」

「……わかってるよ、でもぺいんとはこっち側と親和性高いから耐えられるはず。 ……はぁー…強情だねお前も。仕方ない、クラッシュしよう」

はく、と息が漏れた。何されるかわかったから。だとして、俺にできることなんてなかった。

次に目が覚めたときは、よく見慣れた俺の部屋のベッドの上だった。








「ねぇ!俺昨日どうやって帰ってきた!?」

勢いよく階段を駆け下り、転びかけながらもリビングにいる紫色の友人に叫ぶ。

「昨日?城門まではらっだぁさんが、そこからはともさんが送ってくれたらしいですよ。『途中で寝ちゃったから』って」

「途中で寝ちゃったから…?あの野郎まじで…!」

「あの野郎って…まずお礼でしょ?言わなくちゃいけないのは!夕飯も食べさせて貰ったくせに 」

「それはそうだけど…」

「だけどもへったくれもない!ほら!昨日のうちにクロノアさんが色々包んでくれたから!忘れない内に行ってこい!!」

だんだんしにがみくんがオカン化していく。9割俺のせいだろうけど。反論する隙も与えられず気がつけば森の入口に立っていた。

1歩踏み入れば強風が吹き景色が変わる。何度も経験しているのにこの魔法らしい演出は胸が高鳴ってしまう。布のかけられたカゴを揺らしながら歩いて少しすれば、昨日も見たあの家が姿を現す。コンコン、と控えめにノックをして、扉が開くのを待つ。

「ピッ!」

ドアノブが下がり、ゆっくりと扉が開いて行き1匹のラタミがお出迎えしてくれた。ラタミの頭を撫で、家へと入る。

「…え、」

開いてすぐの1番大きな部屋へ進むと、椅子に座って項垂れるらっだぁがいた。その瞼は固く閉じられていて、呼吸も浅い。

「らっだぁ!?らっだぁ大丈夫!?」

「…ないで……」

「え?何?」

「ゆらさないで…ゥオエッ…」

「あ、ぺんさん。おはざます〜、コレはただの二日酔いだから気にしなくて良いっすよ 」

「…ふつかよい?」

ふと周りを見てみれば、空き瓶や空き樽や…酒の入っていたであろう物がそちらこちらに転がっていた。なんならげんぴょんも床に転がっている。気づかなかった…

「おれは…飲んだんじゃなくて…飲まされたんだよ…」

「飲まされる方も悪い。俺は免除だけどな」

「だって…お前下戸だし…酔うと暴れるじゃん…」

「らしいっすね」

「……んぇえ…?なんかぺいんとがいるぅ…おーヨシヨシ」

「酒臭い!!ぐちつぼさんげんぴょん俺から剥がして!!」

「はーい。ほれげんぴょん離れろー」

「ぺいんとはこんな大人になっちゃだめだよ…」

「ならないよ…」

酒は飲まない。市場の大人達は時々酒を勧めてくるが毎回クロノアさんやトラゾーが断る理由が身に染みてわかった気がする。この国では16歳になれば飲めるけど、当分は飲まないようにしよう…

「ぺんさん酒飲んだことあります?」

「ないよ!俺まだ飲める歳になってないし。あと2年すれば飲めるけど…」

「あー…ノアさんはぁ?飲んでんのとか見たことない?」

「クロノアさんは今年から飲めるけど…あんまり飲んでるの見たことないかなぁ」

「ほっかぁ…………あ、吐く」

「は?ぎゃぁぁあああ!!!!」

ぐちつぼさんに抱えられたままげんぴょんが吐いた!ちょっとゲロかかって最悪……

「ぺいんとー…風呂場にタオルあるから拭いてきなねー…」

「了解!」

「らっだぁ俺の事心配しろよ!!!!」

「えー…ぐちつぼはそのゲロ撒き散らし野郎しめといて…」

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