「次移動教室じゃん」
「あ、ほんまや」
「俺そろそろ戻るね」
「うん」
「また来る」
「二度と来なくていいよ」
「酷いね」
隣の席の人の椅子に座ってた角名は、だるそうに立って 自分の教室へ戻って行った。
次の移動教室が実験室だったから、私は忘れ物がないように荷物を確認して教室を出ようとした。
「遥〜、一緒に行こうや」
「……銀、一緒に行くぞ」
「ええよ〜」
「ちょ!無視すんなや!」
「…」
「はぁ、ほんま冷たいわ〜」
「少しは老人を労わってくれや」
「一緒に行きたいなら、早く立ち上がれください、じじいさん。」
「なんやねん、どつくぞ」
銀と一緒に教室を出ようとしたところを侑に止められたから、心優しい私と銀が待ってあげている。
早くしてほしい所存だ。
「おいてくよ」
「せっかちばあさん待ってくれや」
もう知らん。
「あ!ちょ、待ちぃや!すまん!悪かったって!遥!」
慌てる侑の声を後に、私達は教室を出た。
「今のは侑が悪いわ〜」
「だよね、こんな美女にばあさんとかあいつ目ん玉ついてないだろ」
「…(笑)」
「おい、銀?」
「なんや?」
まぁ、銀は良い奴だから今回は追求しないでおこう。
「今回は許したるわ」
「お、おう…」
____________
「ほんま遥、容赦ないわ〜」
移動教室の帰り
侑は口を尖らせて言った。
「誰のせいだよ」
「遥のせい」
「お前引っぱたくぞ」
「すんません」
「まぁでも、銀は侑が悪いって言ってたよ」
「ね?銀」
私は、左隣にいる銀に問いかけた。
「お、おう…」
「はぁ?!俺悪ないやろ!」
「ま、まぁどっちもどっちやと思うで?」
ん?銀島?
さっきまで侑が悪いって言ってただろ。(勘違い
「いや俺悪ないやろ!」
「仮にどっちもどっちだとしても、お前に非はある」
「どこがやねん!」
「私の事をばあさん呼び、人の事待たせる。しかも悪気ない」
「これのどこが悪くないんですか」
「うっ…ぐぅのねも出ぇへんわ…」
「だろ。そゆことだよ」
私は侑にドヤ顔を決め込んでやった。
「その顔ムカつくわ〜」
「論破しちゃってごめん」
「一発殴ってええか?」
「やれるんもんなら」
「お前らやめとけって」
私と侑の、仲良いのか悪いのか分かんない会話に仲裁を入れてくれる銀にはほんとに助かってる。
「お、遥やん」
いつも通りの会話をしながら廊下を歩いてたら、後ろから聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「お、治じゃん」
「げっ、」
「おいツム、げっ、って何や」
「別に何もないわ」
「なんやねんお前」
仲悪いなこの双子
今更か。
「てか、移動教室やったんか」
「そゆこと」
「治は何してたん?」
「俺は今日の購買の日替わりメニュー見に行っとった」
「相変わらずやな(笑)」
銀の問いかけに、治は日課のように答えた。
こいつもしや毎日行ってんのか……。
「え、それ毎日行ってんの?」
「当たり前やん」
「お前そろそろ飯と結婚しろよ」
「できるならもうとっくにしとるわ」
こいつえぐいな。
前世飯か何かだったのかな、
塩むすびとかでも違和感なさそうだけど。
「お幸せに」
「どうも」
「結婚式呼んでね。友人スピーチする」
「頼んだで」
「お前何飯と結婚しようとしてんねん」
コメント
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治相変わらずすぎて可愛い笑 続き待ってます!!!