TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する






「綾と申します 。」




その一瞬 、私は心を打たれた

ふわふわとした髪型がきっちりと括られ

色素の薄い肌や灰色の髪によく映える 、

藤色や金の簪を纏った彼女は 。


確かにほかの花魁より人目置いていた



そんな彼女は年は

まだ十四ばかりなのにも関わらず

はやくして新人遊女として働いていた



彼女と私はふたつしか変わらなかった 。







そんな彼女のはじめてのお客が私だった






「….お茶はいかがですか」


『嗚呼 、少し頂きたい』


「はい 、少々お待ちください 。」







そうしてまもなく 、彼女は素早い捌きで

お茶を立てた 。その姿はとても美しく

目を奪われるほかなかった





「はい 、できました 」


『あ、あぁ 。ありがとう 』


「っ 、主さん 。

遊女に触るべからず、です」



『おっと 、そうだな 。すまない』




そんな決まりは無かったはずだが 、

と思いつつもさっき自分はある人物と

この花魁を重ね 、つい手が伸びてしまった





だが 、いくら似ていると言っても

その願いは叶うわけが無いのだ

なぜなら彼はもう 、居ないのだから










『綾は舞が軽やかでまるで蝶の様だ』




「…..嬉しいかぎりでございます」



『 ….. 私にもな 、

お前によく似た後輩が居たんだ』


「後輩 、ですか 。」


『あぁ 、事情があってもう

半年も会えていないんだがな』


「…左様ですか 。」



『少し無愛想なやつだった 。

でもヤツは私にはよく懐いていた

そんなヤツを私はいつの間にか好いていた


でもある日 、とある任務でな

それっきり帰ってこなくなった 。』





「….任務 、」


『ただの仕事だよ』





「でも、なぜそれをぼ …わっちに 。」



『….さぁな 、ただ 。

元気のなさそうなお前の姿が

どうも重なって見えてしまうのだ 。』



「….?はぁ 、」



『….だから 、綾 。

なにかあれば、、私に言ってくれ 。

しょ、初対面だからあれだが 、、

私だってお前より年上だからな 。

頼って欲しい、』




我ながら変なことを言った自覚はある


どうしても他人とは思えなかった


学園長の思いつきの任務は

いつも悩まされるものばかりで今回も同様

嫌々の任務だった 。


でもいま 、ひとつの希望を持てたのだ





綾は__だということを













__________________





「なぁ仙蔵 、

今日アノ任務だったらしいじゃねぇか」


「いい花魁居たかぁ??」


「あー私も行きたかった!!!!」




まったく 、あの性欲の塊アホ3人ときたら

人の気もしないで言いたい放題







『….あぁ 、危うく惚れる 、、

否 、惚れてしまった女がいたな』



「おぉ!?!仙蔵が惚れる女など

どれほど別嬪なのだ!!!気になる!」


「もぉー 、下品だよ〜」


「そういって 、お前のソレはどうなる?」


「う、うるさいよ文次郎!!!!」



「…..その女の名前はなんと言う」





「 「 長次が女に興味を持った!? 」 」




そりゃあ 、長次も女ひとり

興味を示さないわけないだろうが、、


普段からは垣間見えすぎないというか 。




『あ、あぁ … 名は綾 。

年は十四と花魁としては早すぎる歳だ』




名前を聞いて全員が固まった




「あ 、綾?

….. どんな姿をしていたの?」



『….灰色の長い髪に

大きな濃いぶらうんの瞳 、

なにより 、あまり感情を出さない女だった』





「….寝たのか?」


『初回じゃあしないさ』


「初回 、ねぇ 。」



『 ….でもあの学園長命令も

たまには役に立つもんだ 。』



「….今度は誰が行くんだっけ?」


「確か 、五年ろ組竹谷八左ヱ門だな 。」







『はぁ 、しかし 。

どうやってあいつを連れさればいいのだ』


「身請けをするには 、五、六年全員の

お金を合わせても少し足りねえな」



「じゃあ無理やり連れ去る?」


「吉村は厳重な監視が着いている 。

見つかれば全員の 、ソイツの命も危ない」




「一体どうしたらッ「お任せ下さい!!」




聞き慣れた声が小平太の叫び声を遮った




目の前にはアイドル学年と呼ばれる学年

四年生が揃いに揃っていた 。



「話は粗方聞きました 。

その任務 、是非四年生も参加します!」



「 「 は、はぁぁぁぁ!?! 」 」








『お前ら 、何を言ってるのか

わかっているのか!?!』




「お、おぉおまえらッ 、

色の術、、房中術は習ったのか?」





「少し習っています 。

あとはタカ丸さんから 、、、、」



「….斉藤〜ッ!!!」



「てへっ」




場が和んでしまったとき

また元に戻したのは 、あヤツの同室である

平滝夜叉丸だった 。




「….私達もキハチロウの噂は常々 。なんと 、

吉原に男の遊女がいるとの噂も耳にしました」



「つまり 、それが喜八郎と 。」



「まだ決まってはいませんが 。

あの半年前の単独任務の日 、

あの吉原付近のお城の忍びでしたから 。」




『….まぁ 、及第点だな 。』





そうして我々はその吉原の男の遊女が綾であり

その綾は 、半年前 単独任務から

ぽっくり姿を消した 。

忍術学園 四年い組 綾部喜八郎

ではないかと説をたてた 。






だとすると 、我々は

色々覚悟しなければならない 。



我々が今まで大事に大事にしてきた

喜八郎に対する恋衣を出す事なく 、

綾として吉原で働く喜八郎と夜を共にすること



これは 、学園長命令だった 。




_________________






「最近 、町で吉原で男の花魁が

働いていると噂があるんじゃ

もしかすると 、それは四年い組

綾部喜八郎ではないかのう 。」







「えぇいこれは学園長命令じゃ!!!

五 、六年生はひとりずつ吉原へ行き

全員が行き終わったあと 、調査の元

綾部喜八郎を救出してくるのだ!!!」



「これは色の試験 、すなわち房中術でもあり

綾部喜八郎救出大作戦でもあるのじゃ〜!」










「 「 「 えぇぇぇええ!?!?!? 」 」 」
















__________________



房中術 → 性行為


花魁→吉原で働く有名な遊女のこと


身請け→客が花魁の身代金や借金を代って払い

               その勤めから解放させること 。











この作品はいかがでしたか?

250

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚