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「ふぁ〜」

僕は大きな欠伸と共に目が覚めた。

「目が覚めたか?」

「あ、夜刀神さんおはよう〜」

身体を起こして背伸びをし、軽く体操をした。

「今日は何をするんだ?」

「ん〜…今日は倉庫の片付けと、新しい野菜植えたりしたいなぁ」

僕は早速倉庫の掃除に取り掛かった。

倉庫には古い道具や何が入っているか分からない小さな棚などでいっぱいだった。

「こんな沢山あるのか……掃除結構大変そうだな…」

至る所に積もっている埃を払い、必要なものと不要なものに分けた。

棚の中には祖父母が書いたであろう古い手紙や白黒写真が沢山出てきた。

「おじいちゃんとおばあちゃんってほんとに仲良かったんだね。1度でいいから喋ってみたかったな」

そんな事を呟きながら写真の整理をした。

数時間後気が付けば日が暮れかけていた。

倉庫は整理され綺麗になっていた。

「夜刀神さん〜そろそろお風呂入らない〜?」

「もうそんな時間か…」

それからお風呂の火を焚き、風呂に浸かった。

「そういえば今結構悩んでいることがあるんだけどさぁ…」

「何に悩んでいるんだ?」

「都会に出てって昨日寝る前に言ってたけど、そもそもお金なんてないし近くに店もないから働けないし、どうしようかなって…」

「ここから街に出るにはどれくらいかかるんだ?」

「多分車で20分ぐらいだから歩きだと2時間ぐらいかかるし、それに街に近づいても都会に出るには電車じゃないと行けないと思うから、結局のところお金がないと行けないんだよね…。でも、大丈夫だよ。軽い夢だからここにいれるなら幸せだから」

夜刀神は少し悲しい表情をしていた。

その日は疲れていたのもありすぐに寝落ちてしまった。

次の日の朝。

僕はふと目が覚め起きると外はすっかり朝になっていた。

そこにはそばで寝ていた夜刀神の姿がなかった。

「夜刀神さん…?どこ…?」

僕は嫌な思い出が頭をよぎり、家の敷地内を探しまくった。

すると倉庫の方でカツンっと音が聞こえた。

僕は急いで倉庫に向かうと埃まみれになっている夜刀神がいた。

「夜刀神さん…何してるの?」

「あ!おはよう。目が覚めたのだな。いいタイミングだ。」

「どういうこと…?」

夜刀神の視線に目をやるとそこには紙が落ちていた。

「これは…?」

「実はな、昨日お前が寝ている時に倉庫を色々漁って見ていたんだ。そしたら一通の手紙を見つけたんだ」

「なんの手紙だろう…」

「まだ生まれていない孫へ、おばあちゃんはあまり長くは生きれないから顔を見ることができないけれど、この手紙が孫へ届いているなら嬉しいな。おばあちゃんはこんなことしかできないけれど、全財産を床下に隠してあるからそれで学校や夢を追いかけて欲しい。おばあちゃんはもっと生きたいな。あなたの顔を見たかった…元気で頑張ってね。おばあちゃんより」

拙い文書を読んでいるうちに目から涙が止まらず、僕はしゃがみこんでしまった。

夜刀神は僕を囲うようにして抱きしめてくれた。

「おばあちゃん…ありがとう……本当にありがとう…頑張るね…夜刀神さんも見つけてくれてありがとう…」

「構わない。我も少し不満だったんだ。お前がいなくなるのは寂しいが、夢を追いかけたくても追いかけれないのはとても辛いだろうからな…」

それから僕たちは床に不自然に浮いている板があり、そこをバールで持ち上げると札束が数個埋まっていた。

「あった!!」

「これで街に出られるな」

僕は少し寂しいし、怖かったけど手紙と夜刀神の言葉で行く決断が出来た。

そして次の日僕は家を出るための準備をした。

「もう、行くのか?」

「うん!行ってくるよ!」

「またここに戻ってきてくれると信じて待っているからな。忘れないでくれよ?」

「うん!絶対に帰ってくるよ!どんなに遅くなっても絶対にここに戻るから、夜刀神さんも僕のこと忘れないでね?」

そして最後に軽くハグをした。

その時、頭の中は夜刀神さんとの思い出や記憶が走馬灯のように走った。

それから僕はただひたすらに歩いた。

最初は緊張や恐怖、寂しさで感情はぐちゃぐちゃだった。

2時間歩いて最寄りの駅にたどり着き、電車で都会へと向かった。

都会への道のりは複雑で長くとても疲れてしまっていた。

そして都会で家を借り、仕事も見つけ最初は順調だった。

だけどそれからは仕事も上手くいかず、分からないことだらけで心も体もヘトヘトになっていた。

「なんのために都会に来たんだろ…」

気がつけば都会に出てきて5年が経っていた。

僕は日に日に仕事が手につかなくなっていき、ついにはクビにされてしまった。

「もう、これ以上は無理なのかな…」

橋の柵につかまって空を眺めていると、突然後ろから女性が叫んで走ってきた。

「早まったらだめ!!!」

「え…?だ、誰ですか…?」

「今、そこから飛び降りようとしてたでしょ!」

「い、いえ……空眺めていただけですけど…」

すると女性はホッとしたような顔をしていた。

「そうだったんですね…ごめんなさい、急に叫んでしまって…。でも、貴方元気がなさそうだけど大丈夫なの?顔色も悪いし、痩せすぎてる…近くのカフェに行きませんか?私奢るのでお話聞かせて欲しいです」

最初は断ろうとしたが、少しはいいかもしれないと思い、女性の誘いを受けた。

カフェに着くと女性は飲み物とご飯を何個か注文していて、女性なのにそんなに頼むのかと思っているとすべて僕の為に頼んでくれていた。

「何があったんですか?」

「実は、田舎から色々なことにチャレンジしたいって出てきたんですけど、最初以外上手くいかなくて、5年続けた会社もクビにされてしまって…」

僕初めて誰かに弱音を吐いた。

「なんで、そんなに痩せこけてるの…?」

「仕事でのストレスで食欲が湧かなくて…水しか飲んでなかったからだと思います…」

「そんなことしちゃダメだよ!ちゃんと食べなきゃ…お腹いっぱいになるまで奢ってあげるからちゃんと食べて?」

僕は人の優しさに初めて触れ、涙を流しながらご飯を食べた。

「ご馳走様でした。迷惑かけてすみません…」

「いいの!いいの!」

それからは彼女が毎晩僕のために家に訪れてご飯を作ってくれた。

次第に僕は彼女のことが好きになっていった。

そしてしばらくして、彼女の務めている職場に紹介で入社した。

僕はまたやる気を出して仕事に励んだ。

するとある日、彼女の方から突然のプロポーズをされた。

「ねえ!渉くん!もし良かったら私と一緒になって欲しい!」

「こちらこそ!結婚して欲しい!」

そして僕らは結婚した。

蛇神様は少年の拠り所

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