今日も家にワイマールが来た。きっとまた国民からのお使いという名の借金返済で来たのだろう。フランスは天使の如く可愛がっているワイマールを家に招き入れた。ただ、いつものワイマールとは違って微妙に挙動がおかしかった。
「…服の下、見せてくれる?」
「……うん。」
違和感を感じ取ったフランスは、ワイマールに許可をもらって服を捲った。見ると、背中に少し浅めのアザができている。もしや、と思ったフランスはワイマールの後頭部も確かめた。やはり小さめとはいえ、タンコブが見えた。
「……ワイマール」
フランスは愛おしい天使の名を呼んだ。平気なふりをしていたみたいだが、本当は怖かったのだろう。天使は静かに泣き出してしまっていた。
「ごめんねワイマール…。守ってあげられなくて、ごめんね……。」
フランスは優しく抱き締め、泣いているワイマールに謝る。別にフランスが悪いわけではない。けれども弟みたいな立ち位置であったワイマールがこんな辛さを背負っていると思うと、どうしても守れなかった悔しさが出てくるのだ。
「…お兄ちゃんが悪いわけじゃないし、このくらい大丈夫だよ。」
ワイマールはそう答える。彼は優しいが故に、国民に石をぶつけられようが反抗しない。そもそも自分が石を投げられたりする理由は分かっているのだ。国民にとってフランスやイギリスは敵国であった。なのにワイマールはその敵国と親しくしている。そんな自分に国民から不満が出ないはずがない。自分と同じような目に遭わないよう、ワイマールは“国民からのお使い”というものにナチを同行させなかった。せめて片割れのナチだけでも、あんなふうになってほしくなかったからなのである。
「…また、なのですね。」
ワイマールのアザの件はイギリスにも伝えられる。何ならナチにも伝わっている。ナチは兄弟に酷いことをする自国民が許せない。しかし国民に復讐したら、思いやりの塊であるワイマールは悲しむだろう。だからナチは双子の兄のために大人しくしているのだ。
「そう、か…。兄貴がまた自国民にやられたのか。」
次はドイツ家にとって後輩にも当たる日本家に大震災が襲いかかった。これにはワイマールもナチも借金返済を優先すべきか日帝の支援を優先すべきか悩んだ。長い時間で考えた末、ワイマール達が出した結論は後者であった。
「……という訳で、ごめんねフランスお兄ちゃん…。」
「謝らなくて良いんだよ?
僕や僕の国民達のことは気にしなくていい。ワイマールが決めたんだから、今すべきことにワイマールのお金を使いなさい。」
「私からも言います。ワイマール、貴方が決めたことなのですから、できる内にやっておきなさい。」
フランスも、イギリスも、ワイマールの決断を後押しした。
「Danke.
フランスお兄ちゃん、イギリスお兄ちゃん、ありがとう!」
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