★ Wakai Hiloto side
『わーかーいーー』
遠くから涼ちゃんの声が聞こえてくる。
「……んあ、…涼ちゃん?」
『…ねてた?』
「…ねてたかも?」
知らぬ間に眠りについていたようで、首がぐきっと痛い音を鳴らす。
『…うわあ』
涼ちゃんは引きつった笑顔で俺を見上げる。
「ねえ引かないで!?!?!?涼ちゃん!?!?!?」
『こっせつした?』
『しっぷでもはる?』
「いや湿布で骨折治んねえわ」
と、コントのような会話を終えたところで、 涼ちゃんは俺の隣に座った。
俺の肩に頭を預け、元貴の頭をちょんとつついた。
『もときねてるの?』
「うん。なんかねた」
『なんか…?』
不思議そうな顔でこてんと首を傾げる涼ちゃん。
「…元貴がお菓子食べたいって言って取り行こうとしたら退かなくて、そんまま寝た」
『……ほぇ〜…』
『…………わかいとはなれたくなかったんじゃない?』
「なわけあるか」
北国居んのかよお前。ってぐらい冷たい元貴が????
俺と離れたくない??????
死んでも有り得ないだろさすがに。
『………そーなのぉ?もとき』
『…なに?』
不機嫌そうな、いつもより少し低い元貴の声が聞こえた。
「うわまた起きてんのかよお前」
『すぐ寝れるわけないじゃん、のび太くんじゃねーんだからさ』
……あ、そうだこの人ショートスリーパーだ。
寝てばっかだからのび太くんのようなものかと……
と言えば、元貴に頭をどつかれた。
『で?わかいとはなれたくなかったのー?もとき』
『……………………べつに』
ぼそ、と呟くように言う元貴。
顔はほんのりと赤色に染まっている。
「あ、顔赤い。」
『こっちみんなかす!!!!』
「はあーーー????」
分かった。こいつ不器用なんだ。
いや元貴が不器用なことは分かりきってんだけどさ。
こんな不器用だとは……………………
離れたくないとか可愛いかよこいつ。
なんかむかついてくる。
『………』
ぎゅ、と俺の服の裾を掴んでくる涼ちゃん。
「…ん?涼ちゃんどした?」
『………なんでもない!』
またね。と言ってどこかに行った涼ちゃん。
頭にはてなマークを浮かべつつ、元貴を見る。
『なに?』
「…なんでも?」
案外繊細で、寂しがり屋で、 不器用な元貴。
いつもより小さくて、すこしかわいく見えた。
コメント
2件
うわ〜不器用すぎて口悪い❤️最高です…!!💛ちゃんもちょっと嫉妬しちゃってるのかな…?!鈍感な💙良いですね👍