君と出会ったのは、偶然だった。
たまたま定期テストが近くて、夜中まで勉強していた。数学が予想より難しくて、悪戦苦闘していた。
気づいたら、夜中の一時。ずっとやっていたから肩コリも酷かった。足を伸ばすとビリッと足が痺れて悲鳴を小さくあげる。
少し息抜きに外の空気に当たりたくて、黒のオーバーサイズのTシャツに、膝が出るくらいの半ズボン。それに薄めの上着を着て、家族を起こさないよう慎重に外に出た。
外に出ると少しひんやりとしていて、昼間の暑さが嘘のようだった。上を見ると星が瞬いており、満天の星空が広がっていて、思わずため息をつく。
しばらく空を眺めながらどこに行こうかとあてもなく歩きながら考えて、近くにある公園に行こうと思った。そこの公園は湖があって、小さい頃によく行っていた、お気に入りの場所だった。
五分ほど歩くと公園に着いた。懐かしいな、と思った。何も変わっていなかった。ブランコ、滑り台、シーソーの様な遊具は何もない。ベンチがあるだけのこの公園が、何故だか私は好きだった。そういえば、もうよく覚えていないけれど、よく一緒に友達とここで鬼ごっこしたりして遊んだっけ。懐かしいな。
湖近くに行ってみると、真夜中だったので水は呑み込まれそうに黒かった。この湖は、昔来たときは透明度が高かったが、もうすっかり濁ってしまっていた。それでも湖近くは涼しいのでしばらく湖沿いを歩いていると、ベンチに誰かが座っていた。
珍しいな、と思いつつも通り過ぎようとしたその時、「こんにちは!」という声が後ろから聞こえた
ぎょっとして後ろを振り向く。そこには、先ほどベンチに座っていた人がいた。
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