時間はもうすぐ正午。冬花が部屋を出ていくと、彼女がお腹空いたというから簡単にピザトーストを作ってあげた。
「ボクだけ? 夏梅の分は?」
「僕はいい」
「まだあの動画を見たショックが消えないのか?」
彼女の言う〈あの動画〉とは彼女が陸とセックスして中出しをせがんでいるもののことだろうが、今まだ食欲がないのはおそらくその後飲尿動画を見せられて吐き気を催したせいだ。
〈おれが便器扱いして飲尿までさせていた女を恋人にするなんて!〉
僕と彼女の関係を知って、陸は腹を抱えて笑ったのだろうか? 陸は今まで自分より下だと判断した誰かを笑い飛ばしてきた人生だったに違いない。その報いを受けるときが来たのかもしれない。
「どうしても警察に行くのか」
「君も陸をかばうの?」
「馬鹿言うな! 夏梅の身が心配だからだ。陸はケンカが強くて仲間も多い」
「どうせ僕はケンカが弱くて仲間もいないボッチだよ」
ケンカの強さ、仲間の多さ、性器の立派さ、セックスのうまさ――
陸と比較されて何一つ勝てる部分がない自分が情けない。
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