「どうやら、面倒くさいことになったな…」
──────いえもん視点──────
ノイズはそう呟く。そんな彼の姿は霧がかかったかのように直視することが出来ない。いや、その言い方は語弊が生まれるであろう。直視ではなく、ノイズが霧掛かっていて輪郭を留めていない。男性の姿をしたかと思えば女性の姿に見えることもある。なんとも摩訶不思議な姿だ。夢だからといってこんなことがあっていいのだろうか?
そんな俺の疑問を見透かすかのようにノイズは聞いてくる
「何?俺の姿がそんなに気になる?」
表情は分からないが、声に疑問を乗せている。…だと思う。声にもノイズがかかっているため、感でしかない。ただ、なんかそう感じる、その程度だ。しかし、俺の疑問に思うその様子が気に入らないのか、呆れたかのような、親切心なのか分からないが、ノイズが指をパチンット鳴らす。
その瞬間ノイズに変化がおきる。霧が晴れたかのように彼の姿に輪郭が現れ始める。
段々とその姿が見覚えのある姿に変わっていく。お茶のように深い緑の髪色、短髪のその髪型は少しうねっている。灰色の短いローブをはおり、中心には深い青色を灯し、魂のような形をしている。どこをどう見ても俺と瓜二つの姿だ。
ノイズは自分自身の姿を確かめるかのように手、手首、肘、肩、足、膝、腹回り、後ろ、服、髪に触れたり、見たりしている。
しかし、唯一俺と違うのはその瞳だ。瞳にはお天道様を入れ込んだかのような黄色の光を帯びており、美しく輝いていた。
俺は、そんなノイズの姿に目を疑う。
「これでどう…?姿は見えるようにしたけど…」
俺は耳も疑う。
先程までノイズのかかった声だったのが、俺と同じ声帯を持っているかのように、全く同じ声が聞こえる。どことなく嫌悪感を抱く声だが、言動が先程までとは違い、慈悲深く、優しい声を響かせる。
そんなに驚きが声に出ていたのか、ノイズは少し不安げな様子で答える。
「多分だけど…口調が変わったように聞こえるのかな?まあ、姿がない時は、君に馴染みのある口調になってるからねぇ…」
ノイズは親切に、優しく教えてくれる。先程までの口調もまるまる変わっているし、自分の姿でそんなことをされると違和感でしかない。そんな感情は心の内にしまう。
そして、ノイズは本題へと話題をずらす。
「まあ、この話はまた違う機会に話そ?君と話せるのは君が寝ている時のみだから。それにしても厄介なことになっちゃったな〜…」
彼は眉毛を下げ、悲しげに瞳を揺らす。そんな姿に俺はひとつの疑問を抱く。
「厄介な事ってなんですか…?」
俺は何が起きたのか、それと、起きたことの重大性を知らない。厄介なこと、と言われてもそれは極めて抽象的な事だ。わかるわけが無いのだ。しかし、そんなことを言ったら優しくなってしまったノイズに申し訳ないため、やんわりと伝えたつもりだ。
ノイズは俺の疑問に丁寧に答えてくれる。
「うーん…簡潔に言うなら、俺の事をみんなが忘れちゃったんだよね…。ほら、ぐさおさんとの戦い、あの出来事を忘れられちゃってるんだよ。君もさっきまで忘れてたでしょ…?」
そんなことを言われれば確かにそうだ。先程まで、ノイズと入れ替わってたことなんて忘れていた。まるで切り取られたかのように…いや、切り取られるとはまた違う。思い出そうとする度にノイズがかかったかのような感覚だった。
もしかして…
「あれ、全員がそうなってるの…?」
その時、俺の中で、最悪の仮説を立てる。出来れば違うことを願うが、ノイズは力無く頷く。
「うん…おそらくは。それに君が寝ているせい?おかげ?で体の外の影響が見えないんだよね…」
そう言いながらちょいちょい、と小さく手招きをしながら、少し移動する。そこには、水色の虹色の光を帯びた水晶が輝く。透き通っているのに、そこに映し出されているのは真っ黒で、何も見ることは出来ない。困惑した俺にノイズが説明してくれる。
「これは、君の目に繋がってる…いわゆる器官、かな?これを通して外の世界を見ている…君も見てたんじゃない?俺が戦ってた時の光景を、ここで。」
記憶を辿れば、その通りだ。俺は確かに、この水晶を通して外の光景を見た。まだ記憶が混濁していて曖昧になっている。
ノイズは説明口調で俺の状態を説明する。
「まだ記憶にノイズがかかってるのかな?…あぁ、説明を忘れてた。さっき切ったのは、記憶操作が闇属性で出来てたから光属性で切った。って感じかな?」
分かりやすく説明をしてくれて助かる。だが、それならば全員の記憶を取り戻す方法がある。
「ノイズが全員切れば思い出すんじゃない?」
しかし、ノイズは肩を竦め、申し訳なさそうに話す。
「んーん。俺たちの脳は2人でひとつ、みたいな感じだと思っておいて構わないんだけど…だからどこら辺にノイズがかかっているかわかってるから正確に切れたんだ。だから、他の人は無理かな。ごめんね…」
なるほど、と俺は頷く。確かに、ノイズはいつの間にか俺の中にいたのだ。脳は共通なのかもしれない、なんて安直な理由で納得した。
ここで切ります!2000文字くらい吹っ飛んだので書き直してたら遅くなりました!!
それでは!充電がないのでおつはる!!
コメント
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今回しょうがないとはいえ当たり前のように誤字るのね…