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私は私の事。市田 怜央を憎んでいる。
こんな体で生まれてきてしまった事を。
私はとある1家の”長男”市田 怜央として生まれた。
顔立ちも他の人と比べたらそれなりに綺麗で、女の子によく間違えられた。
3歳にもなると女の先生は口を揃え私に、『可愛い!!』と言った。
(私は可愛いんだ。)その頃から私は自分は可愛いという概念を持った。
そして妹も産まれました。
お洋服屋に行くと私は迷わず可愛いワンピースのある所に行く。
それを見た母は、私が他の子とは違うということに気づき、
私の好みの服を買ってくれた。
髪の毛も長いし、まつ毛も長い、華奢だし誰が見ても女の子。
小学校に上がると、お母さんが学校側に女の子として接してあげてくださいと、
直談判をしてくれた。
修学旅行は参加できなかったけど、それなりにみんな優しく接してくれた。
中学校に上がった。もちろん制服はスカート。
でも問題が起きた。
私はとても悩んでいた。何不自由なく育ってきた。だけれど
成長するにつれ悩みは拡大化した。
14歳にもなると、声変わりなど体毛が生えてきたり、男らしい体つきになってしまう。
それがとても憎らしい。
朝起きたら毎日風呂に入って泣きながら毛を剃る。
ありえないほどのストレスが私を襲ってる。
最近は筋肉をつけたくなくて、ご飯は野菜だけ。
そんな生活を続けていたら、内臓脂肪が減りすぎて、
心臓に繋がっている太い動脈が私の腸を縛り付けて、腸閉塞を起こしてしまうようになった。
そんな事が度々起きて、吐いて、食べて、吐いて、食べてを繰り返した。
もうこんな生活は終わりにしなければならない。
でもそれは私自身を否定することになる。
でもこのままじゃ死んでしまう気がした。
いや死んだも同然。
でも死ぬのは嫌だった。
そして私は髪を切った。自信を殺したのだ。
顔立ちが女っぽいから眼鏡をして隠した。
ズボンも履いて、学ランも着て、ご飯もちゃんと食べた。
体は成長した。だけど感情なんてものは成長もせず、もはや消えていた。
お母さんはそんな僕をとても心配していた。だけどそんなお母さんも
どうしていいか分からず悩んでいた。
そんな僕は、悩むことをやめた。
周囲も疑問に思っただろう。
そして今年。僕は高校にあがった。
ピンク色の可愛らしい花が降る季節。だが。
僕の目には色のない花が散っていた。
誰よりも早く学校についた僕はひとり教室に座っていた。
『何もかもがどうでもいい』
もう全てを諦めていた。
『なに1人でブツブツ言ってんだ?』
後ろから突然と声が聞こえた。
ビックリした
後ろを見ると、死ぬほど顔がいい、茶髪のセンター分けをした男がいた。
『イケメン…』
『は?』
声に出てしまった。やらかした。
『お前、伊達メガネか?』
『伊達メガネ』
『なんで伊達メガネなんかしてるんだよ。』
『それは…』
面倒くさすぎる。
『外してみろ』
仕方なく外した。断れる訳ない。
『お前可愛い顔してんな。』
イケメンに褒められた…
『別に…』
『顔赤くなってるぞ』
あぁ。まじで死にそう。
僕はイケメンには弱い。バイ・セクシャルというやつだ。
『あっち行って』
男に好かれたって嬉しかないよな。と僕は彼を突き放した。
『おう。また後でな。』
後で来るつもりか?…
入学式当日厄介なのに絡まれた。もう僕は男だ。
女じゃない。
完全に僕は死んだ。