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まだ春とは言えない寒い日、澪は、神社の掃除をしていた。
「…それにしても、伊織と日向はどこに行ったんだろ…」
怒りとも呆れともつかないため息を吐き、澪は掃除の手を止めた。
(探しに行こうかな)
あいつらには家屋の掃除を頼んであるし。
(いや、でも、颯太とか優香に手伝って貰えばいいのでは?)
そう思うと、澪は首を横に振った。
「ダメダメ!あいつらにはこんな手口でサボられた事何回もあるんだから!」
結構大きな声だったのだろうか。その声を聞き、近くにいた優香が駆け寄り、聞いた。
「どうしたんですか?澪さん」
「ああ…大丈夫。急に大きな声を出してしまってごめんなさい」
それを否定するかのように優香は手を横に振った。
「そんな事ないですよ!たまたま聞こえただけですって!ほら、私、兎の妖神でしょう?だから他の人よりも結構耳に入ってくるんですよ!」
「そうなのね…」
澪がほっとしたように言うと、後ろの茂みが、ガサガサっと音を立てた。
「おお〜?なんの話してんの〜?」
挑発するかの如く言ってきたのは日向だった。
それに、
「あれ?まさかお取り込み中だった?」
日向とは真反対に、ばつが悪そうな顔をし、伊織が出た。二人とも、片手には団子を持っている。
それを目ざとく見つけた澪は、伊織と日向の方に向いた。
「その手に持ってるのは何?団子よね?ここにはそんな団子置いてないんだけど?家屋も掃除していないくせに和菓子とか買ってこないで?」
「は〜い」
日向と伊織は、「バレてしまったな」というような表情を浮かべ、そう言った。
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