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前作
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城の中は何よりも金で作られた装飾が多く住む美術品と喩えた方がピッタリとハマる様な空間だった。
絵画で飾られた大広間には大きなシャンデリアが吊り下げられていて窓を開いておかないと熱気が篭ってしまうのではないかと思うぐらいの蝋燭が置かれていた。
いずれ魔王を殺す勇者への戴冠式の様な、装具の受け渡しが終わり肥えた豚(王様)に言葉を吐きかけられながらようやく出た王室の向こうで、俺は広間を抜け城から出ようとしていた。
すると、奥方様が何人かの使用人を引き連れご命運をお祈りします、と言って涼しい顔で去っていった。
少し遅れて俺は、何時もよりも大きい声で必ず倒しますといつも通り平坦で低いその声でまるで騎手の如く言ってみせた。
静かになった広間から、大きな扉を引き外へと出た俺は真っ先に薔薇園から抜け城下町の路地裏、またその奥へと向かった。
「あ、ようやく来たんね、遅いんね!」
小さな少年…イタリアはぐちぐちと喧しく文句を言うが俺はそれを無視して、奥の少年、日本へと装備を渡した。
イタリアはナイフを使うのと逃げやすい性格から装備という点に於いては少なくても大丈夫だと考えたのだ、対して日本は体も小さいのでダメージを受ければ直ぐに出血量によって死んでしまう。そうなれば此方もやりにくいと言うもの。
そうして俺は日本に装備を渡した後、未だぐちぐちと口を閉じないイタリアに装備を投げて渡した。
「わっ投げるんじゃないね!!」
*
俺たちは城下町を抜けて、いつしかスラム街の様な場所に出て、そこすら抜けた国の入り口の門に出ていた。
「ここを出れば旅が始まるんねっ!楽しみなんね」
騒ぐイタリアの頭を無理矢理手で後ろに引っ込めて、検査官であろう人物にパスポート(王から装備として貰ったもの)を手渡して、後に入念に荷物検査をされてからイタリア・日本を連れて門を出た。
(検査中、二人の怯えた様に子鹿の如く震えていたのは愉快さを覚えた)
国を出ると、すぐ側に置かれてあった移動用の馬車が置いてあり、二人目の検察官が王が勇者様へと、と声をかけてきたので俺が使っても良い物だと分かった。
お手前の感謝を述べ、早速と馬車に乗り込む。
後ろではイタリアがioもioもと、行こうとしていたが日本がそれを無視して颯爽と入っていくので少し不貞腐れていた。
「は〜い勇者様、一体どこへ行きますか?」
謎の声が響く、聞こえた先を見ればそこには女が馬の手綱を握り端の方で座っていた。
「「わっ!?」」、誰なんね」
二人がハモった声で驚くと、彼女はそんな二人を見て軽い笑い声を響かせた。
「はは、驚かせてしまいましたか?私はベルギーです、ドイツさんの討伐劇を是非この目でと、馬車の運転をさせて貰うんです。ところで…」
ベルギー(と名乗った彼女)は、コチラを見て微笑むと横に座っていた二人にそちらの方は、と遠慮がちな声色で聞いてきた。
「コイツらは俺の旅に同行する…言ってみれば仲間の様な者だ」
「そうなんですね!やっぱり、一人じゃ戦力であれ旅であれ、心もとないですもの。それじゃ、馬車走らせちゃいますよ〜!」
*
馬車に揺られながら、横で眠そうに船を漕ぐイタリアに寝ても良いぞと声をかけたら案外素直に頷き眠ったので、コイツは警戒心が無いぞと肝を冷やした数十分後。
日本は背筋を伸ばして、刀に手を遣り視線を真っ直ぐに向けているのでこれはこれで面倒くさいと思いながら頬杖をつくと日本が俺に問いかけてきた。
「何処へ向かっているのですか?」
そういえば、言ってなかったかと失念をしてしまった事に後悔の念を抱きながらカムパネルラの街だよと言葉を返す。
そうすると、丁度話を聞いていたのかベルギーがカムパネルラの街はですね!と、話を続けていた。
(俺自身はよく分かっていなかったので、大分助かったのは言わないでおくとしよう)
「魔王軍の最初の被害にあった街の近くで、ちょうど沢山の避難者の方がいらっしゃるんです!
なので、お話をそこで聞いた方がいいんじゃないかと側近の方々が仰られていました」
日本は少し黙りこくり、顎に手をやりさいですか…と呟く。
*
カムパネルラの街付近、横で眠るイタリアにそろそろ着くぞと声をかける。
「…ん?そろそろなんね…」
「ああ、だから起きろ」
モソモソと動き出し、大きな屈伸をした後背筋を伸ばしたかと思えば再度腕を前に突き出し屈伸をしていた。
イタリアさん、イタリアさん。
日本の呼びかけに応えるイタリアを横目に、俺はベルギーに感謝を伝えて、段々速度を落としていく馬車にまた揺られるのだった。
「は〜い、ここがカムパネルラの街です!お気を付けてお泊まりになって下さいね!」
元気はつらつ、俺はベルギーにお前はどうするんだと疑問を問いかけた所自分も適当な場所に留まるのでお帰りになる際は是非私の宿の方まで…と伝えてきたので安心しながら装備のせいか動きが鈍る日本の手を取って馬車から降りた。
イタリアはジャンプして、大袈裟に馬車から降りていた。
→(𖦹_𖦹)えんそ🇷🇸さん
✨イラスト凄く可愛い人です😍😍😍👌