🌷精神障がい者施設での日々とティアの過去 朝食を食べ終え、洗面所で顔を洗い、歯を磨いて、部屋に戻り、服を着替えました。白いブラウス、水色のスカート。靴は水色のパンプスです。
午前10時から、お昼近くまで職業訓練としてデータ入力の仕事があります。この仕事では賃金が発生するのでティアは得たお金で、施設内の売店でお菓子や飲み物を買うのが楽しみになっています。データ入力では、紙に書かれたものをパソコンに淡々と入力することで、ティアの気は紛れデータ入力の時間に問題行動を起こしたことはありません。しかし、自分で行動を決定しなければならない時、ティアは難しい状態になるのです。
データ入力の仕事が終わるとお昼休憩になり、午後からは利用者によって違うプログラムです。ティアは、午後1時30分からミリアとのカウンセリングの時間です。大人になってから自然には話せるようになったティアは、ティアの話に耳を傾けてくれるミリアとのカウンセリングは、心が軽くなる時間になっています。幻聴に疲れ、頭の中で声を聞くことに疲れていたティアは、行動で休むしかなかったのです。しかし、子供の頃あまりにもそうやって心の力で楽しさを引き出した代償で、大人になってからティアの行動は荒れたものとなっていました。だからミリアが自由に話すティアの言葉に耳を傾けてくれることにティアはずいぶん救われ、気持ちが楽になったのです。
子供の頃7歳の時に幻聴があらわれ、ティアは学校へ通うかわりに児童精神科へ通院するようになりました。児童精神科の先生は優しい男性でティアのペースで無理なく勉強を教えてくれました。考えを音声言語で口に出すことが難しいティアに書く学習と遊戯療法を中心とした学習でした。この児童精神科の先生にもティアの心はずいぶん救われたのでした。
大人になって自然になら話せるようになった音声言語なので、考えたことを意識して話すということが難しいティアにとって、そういうことを強いらない環境はありがたかったのでしょう。