「とうちゃく！」

今日は18号が関東に来るのに合わせて女研飲み会！

当然その後はホテルに宿泊ってことで、私もそれに乗っかって泊まることにして…つまりは女子会も開催！

そして、それが今

「じゅはちー、買って来たもの冷蔵庫いれとくから荷ほどきとかしててー」

「やりながらでいい？とりあえず始めよ」

「ん！いいよー、じゃあ改めて」

「「かんぱい！」」

そこからはひたすら喋って、話して、しゃべる！

ここに来るまでも、そこそこ飲んでたから結構酔っていたのだろう

だからつい、普段は胸にしまってることを口にしていた

「いいなあ、はちは」

「えー？なにが？」

「んー、みんなに優しくされてるなーって」

「そう？」

「あたしの扱い、ちょっとひどい時ない？でもさ、皆…じゅはちにはなんだかんだ優しいし」

言葉にしたら、少し落ち込んできた

と同時に、18にはどうにもならないことを言ったことに気づいた

「あーーごめん、なんか気分悪くさせること言ったよね！？ごめん！」

「まちこは、そんな風に見える？」

「あっ、えと、はちが悪いとかじゃないよ！」

やけに落ち着いたトーンで18が返してきたから、謎の焦りが沸いてきて、弁解の言葉が出る

「なんでそうなってるのか…わかる？」

「な、なんでって…え？」

コトッ

18が自分のグラスを置いて、私に近づく

グイって音がするくらい前のめりに身を乗り出してきた

いや、なんならこれは…もう一押しされたら後ろのベッドに倒されるやつ

私はなんてことを言ってしまったんだ…？

絶対に怒らせた…

「まちこ」

「はい！」

「わざと、だよ」

「…え？」

な、なんて？いや、なにが？

意味を理解できなくて、ポカンと口を開けたまま固まってしまった

「皆にちやほやされるように、わ・ざ・と、してるの」

あ〜そーいうこと、って

「えええええそうだったの！？なんかっなんか意外！！」

「それもなんでか、わかる？」

まだあるんですか？？

なんて口に出す間もなく、軽く肩を押されて…身体が柔らかいベッドに沈む

……やっぱり怒ってます？

こうなったら何でも受け入れようと覚悟を決めてギュッと目を瞑ったら、頬に手を添えられて…

「まちこのこと、皆が好きにならないように」

耳元で囁かれた

瞬間、バッと目を開けると少しだけ泣きそうな18と目が合った

言葉の意味もその表情の意味もわからなくて、うろたえる声しか出ない

「どっ…どどっ！？」

「……ふふ、びっくりした？」

「え、えぇ？」

さっきまでの顔はあっという間に消えて、イタズラっぽい笑顔になっていた

情けない声を出すしかない私に満足したのか、18が起き上がる

「そろそろ寝る支度しよっか。まちこ、わたし先にシャワー使っていい？」

「あっ、う、うん」

「えーっとコレと、コレ持って…じゃあお先に」

「い、いってらっしゃい」

確実に遊ばれた…しかも置いてかれている

まったく、人を翻弄させるのがうますぎる

現に、私の心臓はバクバクと音を立てて止まない

「まちこ」

ぼんやりとバスルームへと向かう背中を眺めながら、心の中で一人ごちているとノブに手をかけた18に名前を呼ばれた

「さっきの…意地悪でも、ウソでもないか ら」

バタンッ

それだけ言い残して18は中へと姿を消した

なっっっ……出題数多くない！？

何が起こっているんだと、ベッドの上でゴロゴロと転がりながら一連のことを振り返る

可愛いのは意図があって、それは私が原因で、ウソじゃなくて、多分普通に考えたら、あたしのことが嫌いで…

でも意地悪ではないなら…

いやいやいや、それはない！！

あり得ない答えに辿り着いて全力で自分にツッコミをいれる

でも、もし、仮に…そうだとしたら？

小さな可能性を意識した途端、心臓からさっきとは違う音が聞こえた

ーー私はまだ、この音の正体を知らない