テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
自己解釈しかないです。捏造とかあるかも。
歴が浅いので色々事実と異なる可能性あり。
降谷さんと景光の話です。
**–**–**–,
水族館。
仄暗い空間の中に水槽がぽつぽつと照らされている。
特に見たいものも無いので悠々と泳いでる魚を横目に館内をぼんやりと歩いた。
気付くと一番最後の展示室、クラゲの部屋にいた。
他の部屋よりも少し明るく反射的に目を細めてしまう。
奥には一際大きな水槽。中には白く半透明なクラゲが青や赤色の光に照らされていた。
__ミズクラゲ。
学名はAurelia coerulea、ミズクラゲ科に属するクラゲの一種。
脳や中枢神経が無く痛みを感じない。また、身体の約90%が水分で出来ているため死ぬと海中に溶ける。
パネルに書かれている説明をざっくりと読むと、ふと彼のことを思い出した。
……綺麗な青色がかった目。
自分の中に強い芯を持っていて、でもどこかふわりと消えそうな男だった。
なんというか、クラゲみたいな人。
あの時だって、あと少し俺が早く着いていたら死ななかったはずなのに。
携帯を壊すためにわざわざ自分の胸を撃ち抜いた。
安らかな死に顔だった。
肩を叩けば、声を掛ければ、いつもみたいに「おはよう」と起きてくれると思った。
彼は、クラゲのように溶けて消えてしまったのだ。
彼は今辛く無いだろうか。
苦しくは無いだろうか。
まぁ、きっとあの世であいつらと仲良くやっているはずだ。
『ゼロ。』
名前を呼ばれたような気がしてはっと目を開ける。
目の前には先程と変わらない光景。
「ははっ…」
君が溶けていなくなったとしても、絶対に僕の心からは消えない。
忘れてたまるか。
そんなことを考えながら水槽を後にした。
終。
1,250
る あ .
795
コメント
1件
亜硫酸さん、読み終えました。 とても静かで、胸の奥がぎゅっとなるお話でしたね。水族館の仄暗い水槽のなか、透き通るようなミズクラゲを見つめる降谷さんの視線が、あまりにも優しくて切なかったです。「クラゲのように溶けて消えてしまった」という景光さんの描写が、彼という存在の脆さと美しさを同時に描いていて、その一文に全部持っていかれました。 ご自身の心から決して忘れない──という最後の一文に、降谷さんの強い意志を感じて、じんわりと温かい涙がこぼれそうになりました。素敵な作品をありがとうございます。