テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
1,313
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
あまりにも人垂らしすぎるtb
tb愛され
「つぼ浦!ちょっと良いか?」「つぼ浦〜、ちょっと良い?」「は?俺が話しかけてたんだが?」「知りませ〜ん。別に順序は関係ないでしょ。」「あ、つぼ浦センパイ、ちょっと良いッスか?」「オイ抜け駆けすんな!!」「抜け駆けなんてしてないですよ!ねぇ、つぼ浦さん?」
顔面だけは良い男たちの無意味な言い争いを眺めながらつぼ浦はどうしてこうなったかなァと遠い目でひとりごちていた。
腕を引っ張られたり盾にされたり、時には言い争いに突然巻き込まれたりなどとばっちりを受けつつ食べるハンバーガーの味はいつもよりもあまり美味しくない。正直なところ此処から逃げたいのだが、少し前にソレをやったら追い掛け回された経験があるため出来ないのである。もうここまで来たら、オレはなんて可哀想なオトコなんだろう………と現実逃避をする他ないだろう。実のところ、それもこれも全部彼の生まれ持ったその性が原因であった。
つぼ浦匠は天性の人垂らしであった。勿論、日々特殊刑事課として精進している………まあ言ってしまえば破天荒で暴れまくるヤバいヤツであるが、彼は太陽であった。その光を当てて、その暖かさで包み込み、困っているものには手を差し伸べ救う。そんな彼に好意を持ってしまう人は大勢いるのだ。それに加えて困ったことにも彼は来るもの拒まず去るもの追わずの姿勢であった。誰にでもその暖かさを分け与えてくれる、それはたとえ敵組織であろうとも、だ。彼は職種を問わず色々な人を誑し込んでいった。
しかし、幸運にも彼はそんな自分の面倒な性について理解していた。まあ、ロスサントスに来る以前からその性は彼の人生を狂わせてきたためそんなのは当たり前だろう。どんなアプローチをされてもどうしたら躱すことが出来るか彼は様々な経験から覚えていた。だが、不幸なことに、貪欲な人間たちにはそれは逆効果だった。自分のものにしようと躍起し伸ばしてくるその手はのらりくらりと躱す。手に入れたくても手に入れられないのに関わるとその陽だまりのような性格に触れてしまいもっと好きになってしまう。躱し方を知り尽くした彼はもはや底なし沼と化していた。
さて、ここでもっと面倒なのがつぼ浦の持つ”ソレ”が女性だけでなく男性にも適用されることである。彼は別に変な差別を持っているワケでもないので好意を持たれるのに嫌悪感がないが、時には強引な人もいるのだ。相手が女性なら無理矢理逃げることだって出来るが、男性(しかも自身より運動の得意な者)であったら物理で来られてしまえば少し不利になってしまうことがあるのだ。
実際、日本で過ごしていた時に路地裏に連れ去られそうになったり、押し倒されそのまま刺されそうになった経験だってある。まあその都度股間を蹴ったり目潰しをしたりして事なきを得ているが、このロスサントスとなるとそうにもいかない。なんてったって銃などの武器がある上に治安がとっても悪いのだ。今だって目の前で乱闘騒ぎになっている。
「チクショウ、拉致が明かねェな………もう全員爆破するか。」
しかしロスサントスで住む事で良いこともある。自衛の仕方が多種多様な上にギャグ路線で行けるのだ。ロケットランチャーを担ぎ、言い争いをしているバカ達に向かって撃つと綺麗な花火が打ち上げられる。「フン、コレで一件落着だぜ!ヤレヤレ、今回は大変だったな。」とカッコつけながら彼らに近付くと「つぼ浦テメェ!」「やってくれたな!!!」と褒め言葉が飛んでくるので真顔でダブルピースをカマしておいた。まあ変に言い争いをする方にも非があるのでつぼ浦はあまり咎められないだろう。彼はそれを分かっていたので「ザマァねェな!」と倒れるバカ達を鼻で笑いながら愛車で逃走した。
そんな茶番と説明はさておき、日々人々を躱しながら好き勝手正義を振り回す彼にも苦手なものがある。白髪を風に靡かせ憂うように目を伏せながら退屈そうに紫煙を吐く目の前の男に、ストレスから頭を抱えたくなる気持ちを抑えながら「またかよ。」と思わず呟くと男はコチラに気付きほくそ笑み「つぼ浦じゃねェか。」と低く圧のある声で告げる。
「お前も飽きねェな、ハンバーガー!」
「ヴァンダーマーだ、クソガキ!」
そう、ヴァンダーマーである。勿論、このワクワクおじさんは捕まえた時にシリアスに見せかけたとんでもコメディワールドを起こすためとても(イジるのが)面白い。しかし、この男、恋愛面となるととっっても面倒臭い上に一枚上手なのだ。他の警官が大型の対応に行っているタイミングに来る用意周到さに眉を顰めつつ、「ンだテメェ、何の用事だァ?」とガンつける。
「お前に会いに来た。」
「捕まりに来たのか?ソレはご苦労なこった!」
「違うのはとっくに分かっているだろう?私たちの仲じゃないか………」
いつの間にか至近距離にいたヴァンダーマーがイヤな手付きで腰に手を添えようとしてくるので手を叩き阻止しながら「オレとお前に仲もクソもねェだろジジイ!」とファインディングポーズを取る。目の前の男はそれをものともせずくつくつと笑って頬を撫でてくる。チクショウ、マジで怯まねェなコイツ。今日も今日とて厄介だぜ。内心苛つきながら男を睨むと、「反抗的な犬みたいだなァ、つぼ浦?」と甘く囁く。
ぞわりと背筋に何が走る。いつも言い争いをする相手がこんな甘く囁いてくるのに未だ慣れないからか、怖いイメージがある筈の男が甘ったるい瞳でこちらを見てくるからなのか、また他の何かなのか、分からない。つぼ浦はこの感覚が嫌でたまらなかった。慣れないのだ、仕方がないだろう。
「オレはれっきとしたニンゲンだぜ?お前の目は節穴か?」
「私から見たら犬のように見えるけどなァ。黒い首輪がさぞ似合うだろう………」
「お前マジで、相変わらず歪んだ思考してんなァ。」
ヴァンダーマーが苦手な理由の一つとして彼の歪んだ恋愛観もあった。自身を囲いそのまま鳥籠に閉じ込めて愛玩しようとしている、今までにないくらい強い独占欲と征服欲は純情なつぼ浦にとっては勿論諸々の経験で慣れてはいるが、恐怖の対象であった。
頬を撫でていた手がするりと首に添わされていき、命の危険を感じて思わず手首を掴む。男はふ、と笑って「怖いのか?」と問い掛けた。怖いに決まっているだろう、目の前のコイツは本当に首を絞めかけない。だが、そう素直に答えるのはなんだか恥ずかしい。
「誰だって命の危険を感じたら回避しようとするぜ。」
「はは、別に首を絞めたりはしないんだがなァ?」
「お前ならやりかねないだろ。」
「想い人にそんな手荒な真似はせんよ。私はそんなに非常識ではないさ。」
「首輪発言してる時点でもう非常識だとは思うが?」
「ソレはお前の常識だろう?」
「拉致が明かねェなコイツ。」
眉を顰める自身に口角を上げる目の前の男が憎たらしくて仕方がない。いつの間に首から手は離されていたようで、安堵したようにふぅと一息つきながら手首を離してやろうとすると自然な動作で恋人繋ぎをされた。手慣れたような、当たり前かのようなそのスキンシップに一瞬気付かず受け入れそうになるのも、つぼ浦がヴァンダーマーを苦手だと思う理由であった。
「テメェ離せ!!!」
「愛らしいなァ、つぼ浦。ほら、離せるモンなら離してみろ。」
「クッソ、強すぎるだろ!もっと力緩めろよ!!」
「嫌に決まっているだろう。まだまだだな、つぼ浦?」
自身を揶揄うようにくすくすと笑う彼に苛つきと共にぎゃふんと言わせてみたい気持ちがふつふつと沸いてくる。冷たい態度をとってもどうせツンデレやら何やら言われるだけだし、暴れ回ってもまた犬とか言われるのだろう。ならば、もう、吹っ切れるしかねェのか?つぼ浦はきっと顔から火が出るほど恥ずかしいが確実に目の前の相手を怯ませる、いや、どちらかというと驚かせる、そんな方法を思いつきふぅ、と息を吐く。チクショウ、背に腹は代えられねェ。彼のその骨ばっているが逞しい手を握り返し彼の手の甲を自身の頬に当てさせる。
「そんなオレに骨抜きにされて、死ぬほど口説いて自分のモノにしようとしてンのは誰だよ、ヴァンダーマー?」
そう囁いた後悪戯に笑って見せては態と上目遣いで彼を見詰める。目を見開き此方を見る姿にしてやったり!と満足し、驚きから硬直しているのを放置しながら握っていた手を離せば「あのヴァンダーマーも好きなコには弱いんだなァ?」と煽る。それでも反応しないので、なんだコイツと怪訝そうに見詰めているといきなり腕を強い力で掴まれた。痛いじゃねェか、何すンだよ。
「ふふ、あはは、オイつぼ浦!私は絶対お前を手に入れてやる!」
「チクショウ、逆効果だったか。」
なんだか逆に火をつけてしまったようで一気にテンションが下がりながらじとりと彼を見ると、なんだかニタニタと嫌な笑顔で笑っていて気色悪いので「何見てンだテメェ!」と文句を言う。するともう片方の手が自身の耳へと伸びていき耳の形を確かめるように指でなぞられていく。
「耳真っ赤だなァ、つぼ浦?」
「ッ、テメェ!!!!!」
羞恥心からぶわりと顔が熱くなり思わずバットを取り出す。「照れるなよ、可愛いだけだ。」なんて揶揄う言葉に彼を睨んでいると彼の後ろからふとドス黒いオーラを纏わせた悪魔が忍び寄るのに気付く。オイオイ、マジかよ。恥ずかしさから興奮していた頭も段々と冷静になっていく。どうやら、もう大型は終わったようだ。自身が怒られないとしてもとんでもないオーラに冷や汗をかきつつ、ヴァンダーマー終わったな、と少し哀れんでやった。
「ウチのつぼ浦に何してんスか、ヴァンさん。」
緩いが圧のある声でそう問い掛ける空の悪魔は、サタンよりも怖かったと思われる。
おまけ:厄介2代巨頭
「匠はいつも疲れないのか?」
署内で同期2人とチルしていると、ふと青髪の彼女、オルカからそう聞かれる。実はこの同期2人は自身を純粋な友愛として慕ってくれている貴重な存在である。相談したり助けてもらったりする有難い人材としてとても重宝しているのだ。いつもありがとう、これからもよろしく。
なんとなく、彼女の質問の意図は理解できるが、まああやふやだとアレだし一応聞いておいたほうがいいだろうと「なんのことだ?」なんて首を傾げると彼女は口を開いた。
「色んな人に好かれて口説かれて、疲れはしないのか?」
「アー、あんまり疲れないぜ。マ、慣れだな。」
「慣れちゃ駄目だろ!!」
オルカがギョッとしたようにツッコむので「コレばっかりはどうしようもないんだよ………」と呟くと労るように肩を叩かれた。優しさが染みるぜ。
「あ、因みに誰が厄介なの?」
「厄介ィ?そんなン聞いて何になンだよ。」
「いやぁ、いち早く警戒とか出来たら嬉しいしさ?」
「オルカも気になるぞ!」
「はぁ、厄介かァ…………」
つぼ浦は手を顎に添え考える。厄介と言えばあの白髪野郎だろ?あとは…………色々なヤツの容姿が思い浮かびつつもふとある人の顔が浮かびアレもまた厄介だな、と思い口を開く。
「ヴァンダマンとアオセンだ。この2人が厄介2代巨頭だぜ。」
「ヴァンダーマーとらだお!?」
「これまた凄いメンツだな………でも、ヴァンダーマーは言わずもがなだな。」
「そうだな。アイツオレの1個上手行くからダルいんだよ。あと計画性あり過ぎて人の目が全くない時に会いに来るから助け呼べないんだよ。」
「ウワ、面倒だなソレ!」
「だからよく色んな人に詰められてんのか………でもらだお先輩は?」
「別にらだおは何もしてないんじゃないか?」
納得したように頷く2人につぼ浦もウンウンウンと同調するように頷く。悪魔やら署長やら色々な人に怒られているのに全然懲りないのもヤバい。総じて厄介度MAXである。
さて、では青井らだおはどうだろうか?いつも皆に優しく平等な彼。つぼ浦の為によく怒ってくれたり労ってくれたりするところも度々見かけるので同期2人が「なんでらだおも?」と疑問に持つのも理にかなっているのだろう。つぼ浦は眉を顰めながら「アレはなんというか………」と考えながら話し始めた。
「普段は無害だけど、一線を越えたらヤバいんだよ。」
「一線?」
「ンー、多分、あの人が持つ特有のラインが色々あるんだと思うんだよ。」
「あー、確かにあの人線引きしてくるところあるもんなぁ。」
「線引きか?オルカ的には怒るラインだと思ったぞ。」
「アー、どっちも含むぜ。その線を超えた時あの人唐突にドロドロになンだよ。会話している最中にその線を越えてしまうと凄えドロドロになるし、オレが何か迷惑を被ったら怒るライン超えて凄え怒る。」
「おー、でもヴァンダーマーの方が厄介じゃないか?」
「ウーン、別の厄介さがあるな。ヴァンダーマーは憎まれ口を叩けたり逃げたり出来るけど、アオセンは逃げられないんだ。」
特有の圧と被り物の奥でどろりとした何かを孕んだその空のような瞳を思い出しつぼ浦はぶるりと体がを震わす。穏やかな声と裏腹にその視線でいつも理解させられるのだ、この人は自分を逃がす気がないと。まあ、頑張って躱そうとはするしいつもは助けてもらっていて本当に有難い気持ちもあるが、それはそうとて厄介すぎる。
「アイツら2人の厄介さはとんとんだぜ。アオセンに関してはな、たとえ助けてもらっているとしても、今みたいに見られているって考えたらプラマイゼロだ。」
自身の背後のほうを親指で指し示す。先程から、いや、前から時折感じるこの視線はきっと彼のものだろうとつぼ浦は気付いていた。最初は鬱陶しいと感じていたその視線も今は慣れ、なんならいつでも助けてもらえるからもう諦めたまであるのだ。そんな事もつゆ知らず呑気に話していた同期2人は少し後ろで同僚たちと話している青鬼がコチラにピースしている光景に少し顔色を悪くしている。その光景に最初はビビるよなァとつぼ浦は呑気に共感するだけであった。
「マ、意外となんとかなってるしな、コレからもなんとかなるだろ。」
「ええ、雑だな………まあ、人の好意を浴び続けるのはいつか疲れるだろうし何かあったら俺らに頼ってね?」
「そうだぞ!何かなくても頼ってくれ!」
「まるんにしてはマトモな事言ってくれんじゃねぇか。お言葉に甘えて程よく甘えさせてもらうぜ。
因みにロケランの弾を」
「あー、ちょっとよく分かんないなぁ。」
「それとこれとは別だ!」
「食い気味じゃねぇか。チクショウ、無理だったか、やられたぜ………」
甘えが失敗ししょぼくれているとキャップが通りかかったのでバットで何発か殴っておく。煩い悲鳴が上がったので少し前の記憶を無くしつつ迫真な声で「どうしたんですかキャップーー!!!!」と叫んでおいた。