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まずWiFiが切れる。びっくりするとスマホの電源が切れる。次に時計が止まる。部屋の電気が消える。水道が止まる。四肢がしびれる。太陽が動きを止める。雲が落ちる。空気は凍りつく。足が崩れ落ちる。重力が急激に強くなる。腰から崩れ落ちる。手だけで起き上がる。その手もいずれ力尽きる。這いつくばる。徐々に耳が聞こえなくなる。口も開かなくなる。目も見えなくなる。脳はそろそろ停止する。そんな状態になって僕は、一体なにを考えているのか。
僕の頭の中に浮かんだ風景は、とある日の学校での出来事だった。その時、僕の好きな人が僕の机に突っ伏して笑っていた。その隣の席がその女子の友達であるため、そういうとこ遠慮のない彼女は別に何の考えもなしに僕の机にいるのだろうが、その時、なんともいいがたい、浮き上がるような感情になった。
最後に思い出すのがそんな何の変哲もないシーンか。僕はその恋も他の何もかも遂行せずに死ぬ。でもまあ、最後の瞬間まで恋できたのは、いいこと以外の何でもないだろう。脳が停止する。さようなら、世界。
心臓が止まる。