episode. 2
【 攻防戦 】
前回より大分ほのぼのです
「ぜっっっっったいに食べません…!!」
檻の外に置かれた美味しそうな見た目のオムライス。これはさっき会長が持ってきたものだ。食べたくない。すっっっっっごく食べたくない。
「え、食べてよ。食べないと死んじゃうよ? これ以外に蒼井に食べ物なんてないし」
「それでも嫌!です!!」
言ってしまえばこれは誘拐犯が持ってきたご飯だ。市販のとはいえ、開封済みの。そんな怪しいもの易々と口にするほど僕は馬鹿じゃないぞ。八尋さんじゃないんだから。
「蒼井に拒否権ないからね。ほら、たーべーて。」
「嫌です!押し付けてくんな!!」
「え〜…。じゃ、どうやったら蒼井は食べてくれる?」
「…そ、れは……」
出来ればどんなことをされても食べたくない。何が混入してるか分かったものじゃないんだから。
しかし、ここでそんなことを言って逆上されたら溜まったものでは無い。さて、どうしたものか。
「じゃ、じゃあ…」
「じゃあ?」
「なら、それ今ここで食べてみてくださいよ」
最悪、変な薬が混じってるんじゃなければいい。いや、本当は血とか混じってるんじゃないかとか思うけど、それは最悪食べてしまっても構わない。いや嫌だけど。
「どうです、」
「…うーん…」
「な、なんですか、!」
「や、そこまで言われると悲しいなあって。まあいいけどさ。」
「えっ?」
会長はひとくち分をスプーンですくって、口の中に放り込む。ごくりと喉が上下した後、会長は僕の方へとスプーンを向ける。
「はい、食べて。」
「うっ、うう…」
「…これでも嫌なの?我儘だなあ。」
「っそ、それは…」
「ほーら、僕が食べたら食べるって言ったのは蒼井でしょ。早く食べてよ。」
食べたくない、物凄く食べたくない…!!
でも、会長割と躊躇いなく食べたし、少なくとも死ぬことはない、筈…
「はあ……っわあ、勢いすごいね。」
こうなってしまったらもう諦めて食べるしかない。勢いよくかぶりをスプーンを咥える。
「やっぱりお腹すいてた?はは、いいよ、もっと食べな。」
「…はい。スプーン貸してください」
「え?やだよ。」
「は?」
「僕の手からだって食べられるでしょ?はい、あーん。」
「…………」
「無言で拒否するのやめてよ。」
僕がこうしてうだうだしている間にも、会長は「さめちゃうよー」やら「死んじゃうよー?」やらうるさい。分かってる。実際既に少しおかしいくらいお腹が減っている。僕ってそんなに食いしん坊キャラじゃなかったはずなんだけどな。
「もー、お願いだから食べてよって」
「…はあ、どうしてアンタはこう…」
そもそも、僕はここに閉じ込められている意味もあんまり分かっていないのに。濁しやがってふざけるなよ。
「はいはい。さ、食べて。」
にこにこ〜っと、人好きしそうな笑顔をこっちに向けてくる。馬鹿か、僕にそんなの効かな…
…ぐぅうぅううう…
…しょうがないから、今日は諦めることにする。
コメント
2件
一見ほのぼのだけど全体的にみたら闇深いの好き好き大好き〜 茜くん、ずっと拒んでて可愛いね(●´ω`●)あと、いちいち心の文面の最後おもろくて好き、ここで普通に食べれてしまう人=八尋さんなのほんまに好きw🫶そこまで拒否られるとちょっとしゅんってなっちゃってる輝兄も可愛いよぉ!! 最終的にはあーんして食べてるの可愛いね、(でも、大前提として監禁されてんだけどね(●´ω`●))