イザナside
自身の腕の中で小さく震わせる○○の細い体を、絶対に逃がさないようにと抱き締める。
“悪い噂を流した”のも、“いじめを始めるようにクラスの奴らを動かした”のも、全部オレなのに○○はそんなことも知らずオレに泣いて縋って来る。
こうやって、オレだけが○○の味方になれば○○はオレだけを見てくれる。
オレだけに縋って、オレだけと喋って、オレとだけ関わる。
この感情が子供ながらの所有欲ではなくただの独占欲だということは当の昔に気づいていた。○○の存在がこんなにも自分の心を乱すということに酷く驚いたのを覚えている。
でもこうでもしなければ明るく人懐っこい犬みてェな性格の彼女はどんどんオレ以外の人間に漬けこんでいってしまう。それだけはどうしても許せなかった。
「オレのこと好き?」
少し○○から体を離し、顔を覗き込む。
涙に濡れた濁りのない酷く澄んだ黒い瞳は不安そうに揺れていた。
『好き、大好きだよ』
『…お願い、好きだから離れないで…』
フルフルと何かの余韻のように震える声を舌の上で弾ませ、オレの制服の袖元を弱弱しい力でグッと掴み、何かに怯えたような目つきでオレのことを見上げる○○を視界に留めた瞬間、我ながらどうかしてしまった、と思うほど酷い恍惚感を感じる。
少し離れただけだというのにこんな風に不安定になって縋って来る○○の姿はいっそのことめちゃくちゃに殴って、殺して、食べてしまいたいほど可愛くて体の中に埋め込まれている自身の心臓が限界まで高鳴る。
「…ン、ずっと一緒に居ような。」
ドクドクと激しく脈打つ自身の心臓に蓋をするようにオレは目を閉じた。
Contrived Love
コメント
2件
最高すぎたよ!!!こういうのもっとみたい!!!!相変わらず表現が素敵ですね✨