コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
続きを書きました。見てください。
「じゃあ、駅前のあのカフェ……まだあるかな?」
「うん、たぶん。あそこのアイスコーヒー、好きだったでしょ?」
「覚えてるんだ、俺の好み。」
「……なんとなく。」
二人で並んで歩くのは、どれくらいぶりだろう。
人混みの中、わずかに空いた隙間に、彼の腕が触れそうになる。
私はそれに気づかないふりをした。
カフェのドアを開けると、懐かしいベルの音がした。
思い出も、一緒に鳴ったような気がした。
「変わってないね。内装も、匂いも。」
「うん。あのときと、同じ。」
二人で窓際の席に座る。少しだけ距離のあるテーブルの向こう、
彼がメニューを見ながら、ふと顔を上げた。
「こうやって会うの、久しぶりだけど……あんまり“久しぶり”って感じしないな。」
「そう?」
「うん。たぶん、ずっと頭のどこかに、佐倉がいたから。」
「……そういうの、反則だよ。」
私はつい口に出してしまったけど、すぐには彼の顔を見られなかった。
照れてるのか、戸惑っているのか、自分でもよくわからない。
「ごめん。…でも、ほんとに思ったこと言っただけ。」
テーブルの下、私の手が震えてる気がした。
でもそのとき、彼がそっと言った。
「今も……左足から止まるんだね。」
「……うん。」
「俺、たぶん、それに気づいたときから――」
「西嶋くん。」
私は、彼の言葉をさえぎった。
まだ、聞くのがこわかったから。でも、次の言葉はゆっくりと、
自分でも意外なくらい落ち着いた声で出た。
「少しずつでいいから……また話そうよ。今日みたいに。」
彼は驚いたように目を丸くして、それから――やさしく笑った。
「……うん。俺も、そうしたいと思ってた。」